今とっても旬なアンプ・シミュレーター内臓のラック・プリアンプ5機種に機能面、サウンド面から徹底的に競ってもらうこの企画、「世界ラック・プリアンプ選手権」。
Part1では機能的な面やスペックで比較を試みました。
が、しかし!
やはり大切なのは音!!
Part2では実際のサウンドを交えて徹底的に競ってもらいましょう。
出場選手紹介
では改めて、出場選手を簡単に紹介しておきます。
あ、選手紹介のBGMはこれで。
ちなみにワタシはマンセル派。
(1990年メキシコGP、マクラーレン・ホンダのベルガーをアウトから抜き去ったシーンが忘れられません…)
脱線しすぎました(汗)
話を本題に戻しましょう。
LINE6 「POD HD PRO X」/JAN:4907034123056
オープンプライス/売価¥88,880(税込)
手ごろな値段でありながら、アンプモデリング31、エフェクト111、キャビネットモデリング18と豊富なモデリング数は他を圧倒。
アンプシミュレーター界の元祖的存在であり、近年ではモデリングマイクを発売するなど、やはりモデリング、シミュレートという点でははずせないモデル。
また同社のモデリング・ギター、VARIAXとの連携など、拡張性、自由度がかなり高いのも特徴。
低価格でそこまでの機能を搭載したことで、サウンド面へのコスト配分がしっかりなされているのかが要注目。
AVID 「Eleven Rack」/JAN:4571151764647
オープンプライス/売価¥119,900(税込)
Pro Tools Softwareとの連携など、レコーディングという観点ではかなりの優位性を誇るEleven Rack。
アンプモデリングやエフェクト数、もともとは少ないものの、Expansion Packが付属したことでかなり拡張。
ステージでプリアンプとして使用することも想定されているため、フロント・パネルにAMPへのアウトが装備されている。
実際のサウンドが楽しみなモデル。
DV MARK 「MULTIAMP」/JAN:8033829136157
メーカー希望小売価格¥280,500(税込)/売価¥224,400(税込)
ベースアンプで名を馳せるMark Bassが満を持して発表したギターブランド「DV Mark」。
そのDV Markからつい最近発売されたばかりの、パワーアンプ内臓、アンプシミュレーター搭載のプリアンプ。
アナログライクな操作性がかなり魅力的ではあるが、そのサウンドは未知数。
搭載されているパワーアンプとの相性も気になるところ。
今大会のダークホースとなるか!?
Kemper 「PROFILING AMP PW RACK」/JAN:4959112119987
メーカー希望小売価格:¥374,000(税込)/売価¥299,200(税込)
「PROFILING」という新たな技術を引っさげて登場したドイツからの刺客。
とにかく「気に入ったアンプサウンドをそのまま取り込む」というその技術が、どれほどのレベルなのか、注目度マックス!
accessというシンセサイザー・メーカーから生まれたブランドであるKemperなので、バンドサウンドの中での立ち位置を考えたサウンド傾向が予想される。
この機種はパワーアンプ搭載なので、プリ部分との相性は要チェック項目。
FRACTAL AUDIO SYSTEMS 「Axe-Fx Ⅱ」/JAN:4571220042492
メーカー希望小売価格¥341,000(税込)/売価¥341,000(税込)
プロ・ギタリストがこぞって使用し、島村楽器でもこの価格ながらビックリするほどの売れ行きを見せている今大会の本命馬。
前評判では音の良さ、使い勝手、拡張性、成長性などなど、いろいろな良いうわさを聞くが、果たしてその真の実力はいかに!?
クリーン「Fender Twin Reverb」対決
やはりアンプ・シミュレーターなので、同じアンプをモデリングしたサウンドで対決すべきですよね?
って事で、まずは全モデルに搭載されていた、FenderのTwin Reverbをシミュレートしたサウンドで比べます。
サウンド・サンプルは、各機種
- ①本体からミキサー経由の直接ライン録音
- ②本体からパワーアンプ、スピーカーを通したマイク録音
と順に掲載します。
- ※マイク録音はDV MarkやKemper本体のパワーアンプは使用せず、全機種共通で別途パワーアンプを用意して、フルレンジ・スピーカーをステレオで鳴らし、それを録音しました。
- ※EQはどのアンプもフラット(すべて12時の位置)に設定しています。
- ※ところどころ画像撮り忘れ、スミマセン…
LINE6らしく、キレイなクリーンサウンドです。
パワーアンプを通して鳴らしてもクリップしない感じですが、Twin ReverbというよりはJCに近いような…
そのくらいクリアに響いてきますね。
この価格でこのサウンドは優秀だと思います。
ライン録音だと少しヒス・ノイズが気になります。
他機種と同条件ですが、多少S/N比が低いのでしょうか?
ちょっと線が細いような感じもしますが、パワーアンプを経由して鳴らしたときの音はけっこうガッツのある音になって心地イイですね。
低域成分がしっかり出てきていますが、多少コモリがちです。
もう少し中域~高域にかけてのきらびやかな「Fenderベルトーン」が欲しいですね。
EQでトレブルを上げてみましたが、可変幅はそこまで広くないようで、クリーンでは分が悪い…?
ダイナミクスがしっかり出て生々しい感じですが、ライン録音では少々線が細いような気もします。
ただし、Twin Reverbらしくアタックを強めた時にちょっとドライブする点は評価できます。
パワーアンプで鳴らすと、スピーカーの低音再生能力でサポートされてちょうどイイ感じ。
さすがのAxe-FxⅡ。前評判どおりの音です。
ホントにTwin Reverbを鳴らしているかのような印象。
ピッキングのダイナミクスにもしっかり追従してきてくれて、心地よいドライブ感が感じられます。
このサウンドは他を圧倒していますね。
クランチ「Fender Twin Reverb」対決
クランチに関してはライン録音のみとなります。(録音方法は一緒です)
先ほどのTwin ReverbサウンドでGAINをそれぞれ12時まで上げてみました。 各機種、同条件でのGAIN量比較も出来ます。
クリーン同様、クリアな音という感じですね。
あくまでもこの価格と考えればやはり優秀。
ラインでの録音に使用することが多いLINE6だけに、低音が幅をきかせない感じの音作りがされているような印象です。
おや? クリーンの時に比べて少しコモリましたね。
どちらかというとクリーンの方が得意っぽいです、Eleven Rack。
クリアさはしっかりあるので、やはりラインレコーディングに向いてるんですかね。
歪み、けっこうやりますね〜!
ただ、やはりコモる感じは否めない印象。
この低音感をプラスと取って音作りできるかが鍵になると思います。
やはりラインだとクリーン同様、少々薄く感じますね。
元の設定で低域成分を削ってあるのでしょうか。
その辺はシンセメーカー「access」が母体ゆえに、バンドの中でいらない音をあえて出さないようにしているのかも?
キーボーディスト視点で作られたサウンドという印象。
バンドで演った時のトータル的な音抜け感が期待できます。
ぶっといサウンドですね~
帯域全体が出てきているので、いらないところを“削る”音作りできそうです。
Fenderらしいクランチ感を持った上で、しっかり音を前面に押し出しています。