【徹底検証】ギター・シールド徹底比較 その15 ~魅惑のクライオジェニック~
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というワケで今回は「魅惑のクライオジェニック」と題して、クライオ処理されたシールド達を取り上げて行きます!!
クライオジェニック処理とは
まずはクライオジェニック処理(クライオ処理)について簡単に把握しておきましょう。ALL PARTS JAPANさんの扱うAETパーツにもクライオ処理がされているという事で、分かり易い説明が載っていました。ここではそれを引用させて頂きます。
不可能とまで言われた液体によるクライオジェニック処理(極低温処理)を独自の段階工法で可能にした、21世紀の熱処理技術です。極低温化では原子間の摩擦が減少するため、加工によって生じたストレスをナノレベルで解消できる特徴があります。(ALL PARTS JAPANサイトより引用)
分かり易い...ごめんなさい、分かりづらいですね。
要は、「超低温で金属を処理して分子配列を整える」というのがクライオ処理。音の歪み成分が緩和されて、クリアなサウンドになる傾向があるとの事です。
ちなみにこのクライオ処理、「金属を強化するという意味では確実に意味があるものの、音楽分野では眉唾」とも言われています。今回もギタセレスタッフはフラットな目線で検証しますよ。変わらなければ「変わらない」と勇気を持って断言するのであります( ̄∧ ̄)ゞ
weed
このステッカーを見た事がある方も多いでしょう。weedはエフェクターのモデファイ屋さんとしても有名。dragonflyギター/ベースなども製作するHARRY'Sさんのブランドです。国内で組み上げられるギター/ベース、モデファイ・エフェクター、さらにはキャビネット、シールドはプロ・ミュージシャンの間でも非常に評価も高く、その知名度を確固たる物にしています。
今回取り上げるシールドもG&H社のプラグを使用しながら、国内で1本1本丁寧に組み上げられています。
①WGC-RG
(型番/JANコード) WGC-RG 3M SS / 4571349590492
メーカー希望小売価格 (税込) ¥4,950 (税抜 ¥4,500)
販売価格 (税込) ¥4,950 (税抜 ¥4,500)
まずはweedのクライオ処理されていないシールドからチェックして行きます。
シールドケーブルは、weedオリジナルで製作されたものです。
プラグは人気の高いG&H社製。ANALYSIS PLUSやDiMarzioでも採用されていました。
【ギター】とっても素直な特性のシールドです。どこにピークがあるというわけではなく、全体的にフラットです。シールドで色付けしたくないと考えている方には最適でしょう。シールドの径がCANAREよりも太いのにしっかり柔軟性のある仕上げも素晴らしいです。
【ベース】フラットなんですが、まとまりと、柔らかさがある印象です。その分、艶やかな感じは多少抑え気味。よりジャンルレスな印象です。
全体的に、非常にフラットで味付けのないシールドという印象です。派手さを求めず、実直にギター/ベースの音をそのまま出力したいと考えている方には最適でしょう。CAJのStandard Seriesギターケーブルと同様の方向性です。
②WGC-01
(型番/JANコード) WGC-01 3M S/S / 2355000106749
メーカー希望小売価格 (税込) ¥6,380 (税抜 ¥5,800)
販売価格 (税込) ¥6,380 (税抜 ¥5,800)
いよいよクライオ処理されたシールドの登場です。
外観はWGC-RG同様、weedオリジナルのもので変わりなさそうですが、こちらにもクライオ処理が施されているとの事。
もちろんG&Hのプラグにもクライオ処理されています。
一見しただけでは分かりませんね。
さあ我々は素直にクライオ処理の真価を評価しますよ!!
【ギター】クライオ処理の効果か、高域に煌びやかさが加算されています。Weedらしいフラットな特性に、クリアさが加わっている事で音の分離感が増して聞こえます。
【ベース】フラットなんですが、なんでしょうこの艶っぽさ。不思議な色気を感じます。音の特性はナチュラルなんですが、全体的なクリアさが音をより良く活かしてくれています。
本当に素直に評価してみました。クライオ処理によって音にクリアさが加わったのは紛れも無い事実でした。シールド自体の評価も、クライオ無しのWGC-RGがかなりのフラットさだったため、それにクライオ処理が足される事で音が近代的になる感じ。かなり歪ませても分離が良くて、重宝しそうです。
クライオ処理の真価、実感しました...
Barbarossa
weedとは対照的に、なかなか目にする事が無いこのロゴ。気になりますね?
ギターサウンドは何か?ベースサウンドとは何か?サウンドとは何か?を追求したときに求められる「表現力」を徹底的に追い求めていくことをコンセプトにBarbarossa(バルバロッサ)は誕生しました。(Barbarossaサイトより引用)
とHPにも紹介されている通り、表現力重視、クオリティ重視という事でエフェクター1個が10万円を越えるものまでラインナップするBarbarossa。一度鳴らすともう後戻り出来なさそうです。
製品全てが「ブラインドテスト」、「アンサンブルテスト」を通ってから販売開始されるという徹底ぶりもプレイヤーにとっては嬉しいブランドです。
③BR-CB100
(型番/JANコード) BR-CB100 3.0m S/S / 4560184904281
メーカー希望小売価格 (税込) ¥7,150 (税抜 ¥6,500)
販売価格 (税込) ¥7,150 (税抜 ¥6,500)
今回はもう一本、クライオ処理されたシールドを取り上げてみました。Barbarossaです。
(なんでしょう、この名前から来る存在感♪)
シールドは編みこみのシールド。これによってシールドケーブル全体の柔軟性がUPしています。
そしてSwitchcraftプラグにプラグカバー全体を覆う収縮チューブ。矢印で方向性が書かれています。
このプラグにクライオ処理が施されているという事です。
【ギター】高音域の煌びやかさはクライオ処理ならではの印象。サウンドは明るくなりながらも低音が残っているという、ある意味オイシイとこ取りなシールド。コストパフォーマンスが良い!
【ベース】いわゆるハイファイな印象。華やかなサウンドながら、抑えるところは抑えている。元の音を基本にしつつ、聞かせるサウンドにまとまります。
同社ではギター用の「BR-CB200G」や楽器指定の無い「BR-CB300」、「BR-CB400」、そしてベース用「BR-CB200B」といった上位モデルも過去に生産されていましたが、現在はこのBR-CB100のみ。BR-CB100はどちらかと言うとギターに特化しているような印象を受けました。そのサウンドは、とにかく明るいの一言。近代的なサウンドはクライオ処理の特長でもありますが、それ無しでも多分かなりHi-Fiに仕上げているのでしょう。
「バルバロッササウンドの基本は音抜け、豊かな音色、そして音の立体感」とサイトにも表記されているように、その言葉がそのまま音に現れています。
検証後記
「クライオジェニック処理」という世間でいろいろ言われているワード。本当に音が変わるのか、その真偽の程が知りたくて今回のweedとBarbarossaを取り上げてみました。結論を言います。
「クライオジェニック処理でシールドの音は変わる!」
Barbarossaに関してはクライオ未処理の物がありませんが、weedは未処理と処理済を検証できたので、上記の言葉は自信を持って言えます。なんてったってクライオ処理というもの、我々ギタセレスタッフはそこまで詳しくないので、理論的にどう変わるとかこうなるなんて言えません。だからこそ、音で聞き分けるしかありませんでした。その結果がコレなので、確かですよ。
そして今回のweed、Barbarossaのシールド、総じてコスパ良すぎです(笑)