【今さら聞けない】ギターで使われる木材事典! Part7 ~ローズウッドの危機!~

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【今さら聞けない】ギターで使われる木材事典! Part7 ~ローズウッドの危機!~

記事中に掲載されている価格・税表記および仕様等は予告なく変更することがあります。

木材事典⑦


いよいよ木材事典五十音順最後の回、や~ん行です。といってもわ行の樹はギター業界で使用されていなかったのでありません。んは言わずもがな。

目次

屋久杉 ~Yakusugi~


屋久杉もスギなのでさ行で一度紹介しましたが、あまりにも有名なので一つの種として取り上げます。

スギですからもちろんスギ科スギ属の針葉樹。しかし「屋久杉」と名が付くためには以下の条件を満たさないといけません。

「鹿児島県屋久島の標高500mを超える産地に、自生している天然木である事」
「樹齢1000年以上」

そして屋久杉は栄養の少ない花崗岩の上に生えるため、成長が遅いのが特徴。そのため木目が詰まっています。さらに湿度の高い環境から、樹脂成分が多くなり腐りにくいです。そうした特徴から、「高級材」として古くから認知されています。

古くは1500年代から伐採が始まった屋久杉。2001年には天然屋久杉の伐採が終了となっていますが、その間伐採された木材がギターの工場に眠っていたりします。


2013年、ヤイリギターにお邪魔した際に発見した屋久杉トップのアコースティックギターもそういった材を使用して作られたものです。

やはりスギの仲間なので木材自体は柔らかめですが、その詰まった木目から、粒の揃ったクリスピーなサウンドを聞くことが出来ました。

スギ
スギ
種類 針葉樹
別名 屋久杉
産地 鹿児島県屋久島の標高500mを超える山地
気乾比重 0.4
強度 2

木材画像提供:府中家具工業協同組合様「木材図鑑」

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リッチライト ~Richlite~


▲Gibson Custom Shop Les Paul Custom

こちらは木材ではありませんが、触れておかなければいけない素材なので取り上げます。

近年エボニーが枯渇してきた関係か、GibsonやMartinといった名門ギターメーカーの指板に「リッチライト」という表記が踊るようになって来ました。リッチライトとは何者なのでしょう?

1943年に創業されたRichlite社。同社から販売されているSkateliteという名のスケートランプ専用素材が有名で、スケートボードのハーフパイプ滑走路で使用されています。そのRichlite社が開発した新素材が楽器で使用される、いわゆる「リッチライト」なのです。


▲1957 Les Paul Custom 3Pickup VOS。こちらはEbony指板。

人口樹脂であるため「乾燥に強い」「メンテナンスが容易」、サウンドもエボニーとの変化がほぼ分からないと言われています。さらにはGibson社のテストから、フレット打ち等のテストを何度も繰り返したのちに採用されたとの事なので、品質面での安心感はありますが、「人口樹脂」というワードに対して、世のギタリスト達の反応がどうなるか、現時点ではまだ分かりません。

しかし木材枯渇問題は後述のローズウッドでも生まれていて、今後さらに深刻化する可能性もあります。こういった人口樹脂や新素材への活路は、ギター界において必要不可欠なのかもしれませんね。

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レースウッド ~Lacewood~


高級家具や高級車内装などに使用される、「ヨーロピアンプレーン」の中でも柾目面に斑点のような組織が浮き出て、「斑紋杢」が見えるものがレースウッドと呼ばれます。杢の美しさからボディトップ等装飾の目的が主として使用されますが、高級なためあまり見かけません。

スズカケノキ
スズカケノキ
種類 広葉樹
別名 プラタナス/ヨーロピアンプレーン
産地 ヨーロッパ
気乾比重 0.62
強度 3

~レースウッドを使用したギター・ベース~

木材画像提供:Strictly 7 Guitars

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レッドウッド ~Redwood~


アメリカ西海岸に自生する針葉樹。シダーと似た特性を持ち、アコースティックギターでも使用されますが全くの別物です。エレキギターで使用する場合は、レッドウッド特有の、キルトの様な杢の出た材を使用する事が多いようです。


画像の様なバール材もたまに採れるため、「レッドウッドバール」という言葉で聞きなじみのある方もいらっしゃるかもしれません。

いずれにせよレッドウッド単体での使用というよりも、化粧板的な使用方法が多いようです。

スギ
セコイア
種類 針葉樹
別名 セコイア
産地 北米西岸
気乾比重 0.45
強度 4

~レッドウッドを使用したギター・ベース~

木材画像提供:府中家具工業協同組合様「木材図鑑」/Strictly 7 Guitars

次ページではギター・ベース材の肝、ローズウッドに焦点を当てますよ。

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ローズウッド

ローズウッドはマメ科ツルサイカチ属に属する樹。高温多湿な地域であれば生息している、非常に広範囲に分布する種です。それ故に産地によって呼び名が付けられ、多少なりとも木目や性質に変化も出ます。ここでは楽器でよく使用されるローズウッドをメインに紹介します。

インディアンローズウッド ~Indian Rosewood~


ギター・ベースで最も使用頻度の高いのがインディアン・ローズではないでしょうか。切ったばかりの新鮮な材は、バラの様な香りがすることから名付けられた、マメ科ツルサイカチ属の樹で、インド産のものを指します。

他の産地の物と比べても気乾比重も強度も高いため、指板やアコースティックギターのサイド&バック材としてあまりにも有名。音の立ち上がりが速く、クリアに響く材として重宝します。「ローズウッド」とだけ記載されている楽器も、ほとんどがインディアンローズウッドだと思ってほぼ間違いないでしょう。そのくらい一般的な材です。

日本では「紫檀」と呼ばれる事もあります。

マメ
ツルサイカチ
種類 広葉樹
別名 紫檀/インド・ローズウッド
産地 インド/パキスタン/ネパール
気乾比重 1.04
強度 6

~インディアンローズウッドを使用したギター・ベース~

木材画像提供:フジゲン(株)様

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ブラジリアンローズウッド ~Brazilian Rosewood~


ギタリストの憧れ、ハカランダPart5「ハ行」でも取り上げたため詳細は割愛しますが、高級な材です。

マメ
ツルサイカチ
種類 広葉樹
別名 ハカランダ/ジャカランダ
産地 ブラジル
気乾比重 0.87
強度 5

~ブラジリアンローズウッドを使用したギター・ベース~

木材画像提供:フジゲン(株)様

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ホンジュラスローズウッド ~Honduras Rosewood~


中米、ホンジュラスで採れるローズウッド。気乾比重もインディアンローズに迫るくらい高い材です。特徴は独特な縞模様と辺材-心材の色の濃淡。画像は辺材に近いため白っぽくなっています。中央だともっと紫褐色となります。

これも比較的高価なため、高級家具の材料としても珍重されています。楽器で使う場合においても、やはり比較的高価な楽器に使われます。

マメ
ツルサイカチ
種類 広葉樹
別名 ニューハカランダ
産地 ホンジュラス
気乾比重 0.94
強度 5

~ホンジュラスローズウッドを使用したギター・ベース~

木材画像提供:フジゲン(株)様

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マダガスカルローズウッド ~Madagascar Rosewood~


ブラジリアンローズに次ぐ高級なローズウッドとして扱われる、マダガスカルローズ。アフリカ大陸南東海岸部から沖へ約400キロメートル離れた西インド洋にあるマダガスカル島で採れる材。サウンド傾向がブラジリアンローズに近い事、美しい縞模様が浮き出る事が高級となっている理由。

もちろんマダガスカルローズを使用した楽器も少々値が張る傾向にありますが、硬質さの中に少し粘り気のある音の質感は、ファンが求めてやまないローズウッドサウンドと言えます。

マメ
ツルサイカチ
種類 広葉樹
別名 パリサンダー/本紫檀
産地 マダガスカル/東インド
気乾比重 1
強度 6

~マダガスカルローズウッドを使用したギター・ベース~

木材画像提供:フジゲン(株)様

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ソノケリン ~Sono Keling~


インディアン・ローズウッドの種をインドネシアで植林して生まれた種。これもPart3「さ行」で取り上げましたので、詳細は割愛します。

マメ
ツルサイカチ属
種類 広葉樹
別名 インドネシア・ローズウッド
産地 インドネシア
気乾比重 0.9
強度 6

~ソノケリンを使用したギター・ベース~

木材画像提供:府中家具工業協同組合様「木材図鑑」

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■その他

キングウッドココボロゼブラウッドもマメ科ツルサイカチ属という事でローズウッドという呼び名を付ける場合もあるようですが、楽器界ではそれぞれがその名前で市民権を得ているので、敢えて備考として書いておく程度にします。それぞれの詳細はリンク先で記載済みです。

CITES(サイテス、サイツ)

“the Convention on International Trade in Endangered Species of Wild Fauna and Flora”、すなわち「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」、ワシントン条約の事です。

2016年9月24日(土)から10月4日(火)の11日間にわたって、ヨハネスブルグで開催されたワシントン条約第17回締約国会議で、楽器業界に大きな激震が走る事となる決定が採決されました。

「附属書Ⅱに、ブビンガ属3種とツルサイカチ属全体が掲載」

簡単に言ってしまうと、「ローズウッドすべてが国際取引の規制対象になった」という事です。これまでブラジリアンローズウッド(ハカランダ)は規制されていましたが、今後はすべてのローズウッドです。2017年1月2日からすでに規制は始まっており、ローズウッドおよびローズウッドを使用した製品を輸出入する際には、書類による申請が必要となります。

そうです。 申請して承認が下りれば、現時点では輸出入は可能なのです。(2016年3月現在) もちろん国内にすでに入荷しているローズウッド材を使用して国内で製作した楽器は、国内で販売OKです。
しかしワシントン条約で規制が始まったという事は、今後絶滅が危惧される樹である事は間違いのです。楽器業界でローズウッドが素晴らしい材であるからと言って、絶滅を気にせずに使用し続けるのもいけないと思います。

そういった意味で、今回取り上げたリッチライトの様な新素材や、まだ楽器で採用されていない木材を開拓する事は非常に重要なことですね。ぜひ楽器メーカー各社には新たなチャレンジをいろいろ期待したいところです。

まとめ

今回で木材事典シリーズは完結です。ありがとうございます。
ギターには様々な木材が使われていることが分かりました。今後もこれまで使用してきた木材の枯渇で、代替材やリッチライトの様な木材ではない素材でのギター製作が進んでいくと思われます。そうなった際も木材の気乾比重や質量、その他さまざまな要因でギターのサウンドは決定されるので、新時代のギターがどんなサウンドになっていくのかも楽しみですね。

木材画像提供

木材事典シリーズ

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