【今さら聞けない】ギターで使われる木材事典! Part7 ~ローズウッドの危機!~
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ローズウッド
ローズウッドはマメ科ツルサイカチ属に属する樹。高温多湿な地域であれば生息している、非常に広範囲に分布する種です。それ故に産地によって呼び名が付けられ、多少なりとも木目や性質に変化も出ます。ここでは楽器でよく使用されるローズウッドをメインに紹介します。
インディアンローズウッド ~Indian Rosewood~
ギター・ベースで最も使用頻度の高いのがインディアン・ローズではないでしょうか。切ったばかりの新鮮な材は、バラの様な香りがすることから名付けられた、マメ科ツルサイカチ属の樹で、インド産のものを指します。
他の産地の物と比べても気乾比重も強度も高いため、指板やアコースティックギターのサイド&バック材としてあまりにも有名。音の立ち上がりが速く、クリアに響く材として重宝します。「ローズウッド」とだけ記載されている楽器も、ほとんどがインディアンローズウッドだと思ってほぼ間違いないでしょう。そのくらい一般的な材です。
日本では「紫檀」と呼ばれる事もあります。
科 | マメ |
属 | ツルサイカチ |
種類 | 広葉樹 |
別名 | 紫檀/インド・ローズウッド |
産地 | インド/パキスタン/ネパール |
気乾比重 | 1.04 |
強度 | 6 |
~インディアンローズウッドを使用したギター・ベース~
木材画像提供:フジゲン(株)様
ブラジリアンローズウッド ~Brazilian Rosewood~
ギタリストの憧れ、ハカランダ。Part5「ハ行」でも取り上げたため詳細は割愛しますが、高級な材です。
科 | マメ |
属 | ツルサイカチ |
種類 | 広葉樹 |
別名 | ハカランダ/ジャカランダ |
産地 | ブラジル |
気乾比重 | 0.87 |
強度 | 5 |
~ブラジリアンローズウッドを使用したギター・ベース~
木材画像提供:フジゲン(株)様
ホンジュラスローズウッド ~Honduras Rosewood~
中米、ホンジュラスで採れるローズウッド。気乾比重もインディアンローズに迫るくらい高い材です。特徴は独特な縞模様と辺材-心材の色の濃淡。画像は辺材に近いため白っぽくなっています。中央だともっと紫褐色となります。
これも比較的高価なため、高級家具の材料としても珍重されています。楽器で使う場合においても、やはり比較的高価な楽器に使われます。
科 | マメ |
属 | ツルサイカチ |
種類 | 広葉樹 |
別名 | ニューハカランダ |
産地 | ホンジュラス |
気乾比重 | 0.94 |
強度 | 5 |
~ホンジュラスローズウッドを使用したギター・ベース~
木材画像提供:フジゲン(株)様
マダガスカルローズウッド ~Madagascar Rosewood~
ブラジリアンローズに次ぐ高級なローズウッドとして扱われる、マダガスカルローズ。アフリカ大陸南東海岸部から沖へ約400キロメートル離れた西インド洋にあるマダガスカル島で採れる材。サウンド傾向がブラジリアンローズに近い事、美しい縞模様が浮き出る事が高級となっている理由。
もちろんマダガスカルローズを使用した楽器も少々値が張る傾向にありますが、硬質さの中に少し粘り気のある音の質感は、ファンが求めてやまないローズウッドサウンドと言えます。
科 | マメ |
属 | ツルサイカチ |
種類 | 広葉樹 |
別名 | パリサンダー/本紫檀 |
産地 | マダガスカル/東インド |
気乾比重 | 1 |
強度 | 6 |
~マダガスカルローズウッドを使用したギター・ベース~
木材画像提供:フジゲン(株)様
ソノケリン ~Sono Keling~
インディアン・ローズウッドの種をインドネシアで植林して生まれた種。これもPart3「さ行」で取り上げましたので、詳細は割愛します。
科 | マメ |
属 | ツルサイカチ属 |
種類 | 広葉樹 |
別名 | インドネシア・ローズウッド |
産地 | インドネシア |
気乾比重 | 0.9 |
強度 | 6 |
~ソノケリンを使用したギター・ベース~
木材画像提供:府中家具工業協同組合様「木材図鑑」
■その他
キングウッド、ココボロ、ゼブラウッドもマメ科ツルサイカチ属という事でローズウッドという呼び名を付ける場合もあるようですが、楽器界ではそれぞれがその名前で市民権を得ているので、敢えて備考として書いておく程度にします。それぞれの詳細はリンク先で記載済みです。
CITES(サイテス、サイツ)
“the Convention on International Trade in Endangered Species of Wild Fauna and Flora"、すなわち「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」、ワシントン条約の事です。
2016年9月24日(土)から10月4日(火)の11日間にわたって、ヨハネスブルグで開催されたワシントン条約第17回締約国会議で、楽器業界に大きな激震が走る事となる決定が採決されました。
「附属書Ⅱに、ブビンガ属3種とツルサイカチ属全体が掲載」
簡単に言ってしまうと、「ローズウッドすべてが国際取引の規制対象になった」という事です。これまでブラジリアンローズウッド(ハカランダ)は規制されていましたが、今後はすべてのローズウッドです。2017年1月2日からすでに規制は始まっており、ローズウッドおよびローズウッドを使用した製品を輸出入する際には、書類による申請が必要となります。
…
…
そうです。 申請して承認が下りれば、現時点では輸出入は可能なのです。(2016年3月現在) もちろん国内にすでに入荷しているローズウッド材を使用して国内で製作した楽器は、国内で販売OKです。
しかしワシントン条約で規制が始まったという事は、今後絶滅が危惧される樹である事は間違いのです。楽器業界でローズウッドが素晴らしい材であるからと言って、絶滅を気にせずに使用し続けるのもいけないと思います。
そういった意味で、今回取り上げたリッチライトの様な新素材や、まだ楽器で採用されていない木材を開拓する事は非常に重要なことですね。ぜひ楽器メーカー各社には新たなチャレンジをいろいろ期待したいところです。
まとめ
今回で木材事典シリーズは完結です。ありがとうございます。
ギターには様々な木材が使われていることが分かりました。今後もこれまで使用してきた木材の枯渇で、代替材やリッチライトの様な木材ではない素材でのギター製作が進んでいくと思われます。そうなった際も木材の気乾比重や質量、その他さまざまな要因でギターのサウンドは決定されるので、新時代のギターがどんなサウンドになっていくのかも楽しみですね。
木材画像提供
- 府中家具工業協同組合様「木材図鑑」
- (株)ディバイザー様
- (株)ハリーズエンジニアリング様
- フジゲン(株)様
- Strictly 7 Guitars
木材事典シリーズ
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