ギターマニア石田純一の逸品入魂~気ままに想いを綴ります~Vol.18“TS好きが最強のTSを考えてみた”

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ギターマニア石田純一の逸品入魂~気ままに想いを綴ります~Vol.18“TS好きが最強のTSを考えてみた”

記事中に掲載されている価格・税表記および仕様等は予告なく変更することがあります。

皆様こんにちは!石田でございます!

今回はマニアック回。
みんな大好き(!?)緑のアイツの紹介です。

1970年代から製造され続けている、エフェクター界でも不動の人気を誇るチューブスクリーマー。
私も昔から好きで、様々なモデルを買ってきました。
TS808はもちろん、SoundtankシリーズのTS5、Tone-LokシリーズのTS7なんかも使いやすくて好きですね。

そんなTSシリーズをもとに「より一台で色んなシーンに対応可能で、かつルックスも特徴的なものを」ということで考案したのが今回紹介する“KALEIDOSCOPE”です。

Soul Power Instruments KALEIDOSCOPE


今回も静岡が誇る奇才“Soul Power Instruments”のさいとうさんにオリジナルモデルを作っていただきました。
さいとうさんとのなれそめ他はVol.10にて。

今回リクエストした内容は

  • バッファーレスでダイレクトな弾き心地
  • クリッピング切替の3Wayスイッチを搭載
  • もう一つサウンド変化のスイッチを搭載
  • 筐体はオリジナルをリスペクトした形状
  • グリーンのメタリックカラー

という感じでした。
それではどんな仕上がりになったのか、ひとつひとつ見ていきましょう!

バッファーレスで弾き応えバッチリのオーバードライブ


Vol.10でも触れた内容ですが、基本的にTS系オーバードライブは「インプットバッファー」→「オペアンプによる増幅回路」→「オペアンプによるクリップ回路」→「アウトプットバッファー」という構造になっており、2種のバッファーによって滑らかなオーバードライブを生み出しています。

それに対して、そのバッファーを省略することによってダイレクトな弾き心地を実現するバッファーレスTSが近年流行しています。

ギター本体のボリューム操作はもちろん、ピッキングの強弱でも歪み具合が如実に変化するため、玄人好みではありますが、非常に弾いていて楽しいペダルになりました。

普通とは違うクリッピング切替


TS系ペダルでクリッピング切替スイッチを搭載したものは一時期流行りましたが、その多くは

  • ダイオードの種類を変える
  • 対称か非対称かを変える

というような内容でした。
本モデルに搭載されている切り替えスイッチは

  1. シリコンダイオード対称(普通のTSと同様)
  2. クリッピングなし
  3. クリッピングあり/なしの中間的なソフトクリップ

という構成です。
あくまでオリジナルのTSをリスペクトしながらも、クリーンブースター的に使えるノンクリップや、ケンタウルスに代表されるクリーンミックスオーバードライブのような使い方もできるようになっています。

追加クリッピング回路


上記のクリッピング回路とは別にLED対称のクリッピング回路を増設、ミニスイッチでOn/Offできるようにしました。

それによって少しゲインの幅が広がっており、通常のTS系ペダルよりも単品のオーバードライブとしても、ブースターとしても使いやすくなりました。
「メインのクリッピングをなしにしてサブのクリッピングをOnにする」というのもキャラクターが変わって面白いです。

オリジナルデザイン+筐体


「ひと目でTS系ペダルだと分かるようにしたい」という思いがあったので、独特の段差構造の筐体を使用してもらいました。

さらにカラーも個人的に好きなターコイズ系のグリーンをメタリックで。
筐体のデザインも新規で起こしてもらいました。

カレイドスコープのモデル名に合った、素敵なデザインが流石のさいとうさんクオリティです。

畑精密工業製ノブ、フットスイッチワッシャー搭載。


本モデルを企画するにあたって、新規デザインのハタノブをカスタムオーダー。
高級オーディオなどに使用されるUFO型のノブをエフェクターにマッチするようなサイズ感でリデザインしてもらいました。

今回は特別にフットスイッチを固定しているナット・ワッシャーも同色でアルマイト。

より一体感を高めています。

サウンドインプレッション

チューブスクリーマー本来のキャラクターは大事にしつつ、より弾き味や対応力を高めたモデルを作りたいと思っていました。

まさにその通りの出来栄えで、TS9などを使っていて「もう少しゲインがあれば」「もう少しピッキングでコントロールできれば」と思う部分を解消できていますし、アンプのブースターとしての使用でも、アンプのキャラクターを活かしたままゲインの補助がしっかりとできます。

さらにトーンの効き具合。
プレゼンスは保持されたままトレブル部分が変化するのでサウンド全体の抜け具合はそのままに、明るさや柔らかさが変わってくれるため、どのポジションでも魅力的なサウンドが楽しめます。

そしてこのモデルの特徴である2つのミニスイッチ。
切り替えることで様々な表情を見せてくれるため、プロトタイプを試奏した段階でもスイッチを色々と切り替えて遊んでいました。
その切替の時の「カシャッ、カシャッ」という音が「KALEIDOSCOPE=万華鏡」というモデル名の由来だったりします。

ぜひ実際に手に入れて、色々とスイッチを切り替えて遊んでみて下さい。

商品情報


メーカーSoul Power Instruments
型名KALEIDOSCOPE
販売価格|(税込) ¥34,800 (税抜 ¥31,636)
JANコード2370000527905

石田 純一プロフィール

ギター演奏はそこそこに機材いじり(改造、音作り)をメインに楽しむ学生時代を送り、機材好きが高じて、「いつの間にか楽器店の店員になっていた」インドア派。

入社後はPRS(Paul Reed Smith)現地工場でのPrivate Stockオーダーをはじめ、自身の経験を活かし、多彩なブランド・ジャンルでの楽器開発も手がけています。

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