千葉成基氏(CAJ:オカダインターナショナル)によるAxe-Fx Ⅱ解説
●Axe-Fx Ⅱは、「エフェクター」?それとも「アンプ」?
Axe-FxⅡは、FRACTAL AUDIO SYSTEMSでも、オカダインターナショナルでも「プリアンプ」として捉えています。
エフェクター、アンプシミュレーターを搭載したプリアンプですね。
●今、アンプシミュレータにしてもエフェクターにしても世の中にたくさんあります。その中でAxe-Fx Ⅱは、なぜこんなに評価されているのでしょう?
まずは音が良いという点が一番ですね。
それから何かを「やろう」と思ったときに足りないものが無いというのも大きなポイントです。
Axe-Fxが発売された当初はアンプ・モデルが60種類だったのですが(それでも十分すぎるくらいですが…)、バージョン4の頃に70種類、バージョン7で93、最新バージョンである11になって148(!!)まで増えています。
僕らも知らないようなアンプが入っていて、Axe-Fx Ⅱで知ったアンプもあるくらいです(笑)
●エフェクターはどういったものが入っているのでしょう?
ギターで考えられるエフェクターはほぼ網羅していると思ってください。
これまで1種類しか入っていなかったワウも、最新バージョンでは8種類に増えています。
●網羅しているというと、世の中の膨大な数のエフェクターのサウンドがほとんど再現できるということですか?
例えば歪系のエフェクトですが、今発売されている無数の歪系のペダルは、大元になっているような、元祖的なペダルから派生していると言えると思うんです。
Axe-Fx Ⅱは調整できるパラメーターがそれこそ膨大に内蔵されているので、ほぼほとんどのペダルの音を再現できます。
ただ、それには音を聞き分ける耳が必要にはなりますが…
●エフェクターのクオリティも最上級レベル?
そうですね、分かりやすい例だとピッチシフターに関してなんですが、ロングトーンでピッチが裏返ると言うか、俗に言う「ケロる」という現象が起きることがありますが、Axe-Fx Ⅱはありません。
それはピッチシフトをかける前の「ピッチ検出」がポイントになっていて、Axe-Fx Ⅱは音が本体に入力された段階でピッチを検知します。
ピッチシフトのセクションに入る段階ではすでに安定してピッチが把握されているんです。
まあ、もともとピッチシフター機能のレベルが高いので、なかなか気付かないポイントなんですよね。
●自然すぎて逆に分からない?(笑)
そうですね(笑)
そういった意味でも単体ラックマウント・エフェクターのレベルと同等かそれ以上のクオリティです。
ここまでレベルが高いと、足元にエフェクト・ペダルを繋ぐということは考えなくなりますね。
増崎さんのように。
●では、Axe-Fx Ⅱ独自の機能について教えてください。
まずは“Tone Matching”です。
例えばVAN HALENの“Panama”のイントロ。
「あの音を作りたい」という要望を叶えてくれる機能です。
ギタートラックだけのオーディオ・データをAxe-Fx Ⅱに読み込んで
今の自分のギターサウンドを鳴らします。
▲左がエディーの“Panama”サウンド。右が今自分で弾いたサウンド。“Panama”に比べるとローが出すぎてハイが足りないですね。
そこでAxe-FxⅡ自身が違いを検知して、こういった補正EQを提案してきます。
それを足すことでほとんど同じ周波数特性に補正することが出来るので、理想のサウンドが出来上がります。
例えば、「昔はマーシャルの3段積みとラックエフェクト・システムを組んでいたけど、手放してしまった」という方が、昔の音をもう一度出したいと思ったら、当時のレコーディングした音さえあれば、再現できてしまうわけです。
もちろん、「憧れのあのミュージシャンの音を出したい」という方にも最適ですよね。