【徹底検証】世界ラック・プリアンプ選手権! ~いま旬のアンプ・シミュレーター5機種~ Part2

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【徹底検証】世界ラック・プリアンプ選手権! ~いま旬のアンプ・シミュレーター5機種~ Part2

記事中に掲載されている価格・税表記および仕様等は予告なく変更することがあります。

対決結果(部門別)

各機種の設定を同条件の下、じっくり比較してきました。
それぞれサウンドの特徴が明確に表れていましたね。
これからシミュレーター機能のついたプリアンプを購入検討される方にとっても有意義な情報となってくれれば嬉しい限りです。

最後に、部門ごとに分けて各機種を採点です!
Axe-Fx Ⅱは前評判からのPole to Winなるか!?
はたしてダークホースは現れるのか!?

Part1のスペック表も大切な要素です。

s-コストパフォーマンス部門

まずは価格です。

メーカー モデル 1 2 3 4 5
LINE6 POD HD PRO X
AVID Eleven Rack
DV Mark MULTIAMP
KEMPER PROFILING AMP PW RACK
FRACTAL AUDIO SYSTEMS Axe-Fx Ⅱ

s-1212line6

これはさすがにPODとEleven Rackの2強でしょう。
PODは昔からプロ・ギタリストの自宅スタジオを取材した録音関係の雑誌記事などにもよく登場しますよね。
その分安心感があります。

はたまた業界スタンダードになっているレコーディング&編集ソフト「Pro Tools」との連携がバッチリのEleven Rack。
それでも価格設定は10万円を切るというこのコストパフォーマンスの高さは魅力ですね。

最終的には1万円ほどお安いPODがグランプリに輝きました!

s-拡張性部門

各機種、単体でもかなり優秀なアンプばかりですが、それぞれが特徴ある拡張機能を持っています。
その模様はPart1でご覧下さい。

メーカー モデル 1 2 3 4 5
LINE6 POD HD PRO X
AVID Eleven Rack
DV Mark MULTIAMP
KEMPER PROFILING AMP PW RACK
FRACTAL AUDIO SYSTEMS Axe-Fx Ⅱ  ★

s-1212kemper

みんな様々な機能を持ってますね~
拡張性という点では、PODのVARIAX&DTアンプとの親和性や、Axe-FxⅡの高頻度なバージョンアップなども有力ですが、KEMPERの「PROFILING」という革命的な技術を投入して、いろんなアンプの音を取り込めるという汎用性の高さが光ります。

ということで、KEMPER「PROFILING AMP PW RACK」が勝利です。

s-可搬性部門

高機能な機種ぞろいだけに、その重さや大きさなどはかなり重要なポイントです。
重かったりしたら持ち運びづらいですし、大きいと自宅でスペースを取ります。

メーカー モデル 1 2 3 4 5
LINE6 POD HD PRO X
AVID Eleven Rack
DV Mark MULTIAMP
KEMPER PROFILING AMP PW RACK
FRACTAL AUDIO SYSTEMS Axe-Fx Ⅱ

s-1212dvmark

各モデル、ラックサイズなので横幅は変わりません。
でも下の画像を見ると、奥行き間は一目瞭然。
PODのコンパクトさは抜きん出ています。

Axe-FxⅡは奥行きがありますね~

KEMPERは3Uラックサイズなので、他機種よりも1U分デカイw
さらに重いw
これは持ち運びにはちょっと不便か!?

最終的には、「パワーアンプを積みながらこのコンパクトさ」ということでMULTIAMPに軍配が上がるでしょう。

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s-レコーディングでの柔軟性、活用しやすさ部門

やはりラック・プリの魅力の一つでもあるレコーディングのしやすさは重要です。

メーカー モデル 1 2 3 4 5
LINE6 POD HD PRO X
AVID Eleven Rack
DV Mark MULTIAMP
KEMPER PROFILING AMP PW RACK
FRACTAL AUDIO SYSTEMS Axe-Fx Ⅱ

s-1212avid

さすがにここはEleven Rackが勝ちですね!
Pro Toolsとの連携ってことになると他機種には真似できません。

ただし、他機種もUSBダイレクト・レコーディングやデジタルアウトを装備していることで、クリアなレコーディング環境が整います。
MULTIAMPはUSBのダイレクトレコーディングが出来ないようですので、残念。
(これからバージョンUPして対応するかもしれません。期待しましょう!)

s-音の太さ部門

アンプとして最も重要な部分、「音」の部門に突入して行きますよ!
まずはギタリストがと〜〜〜〜っても気になる「音の太さ」から。

メーカー モデル 1 2 3 4 5
LINE6 POD HD PRO X
AVID Eleven Rack
DV Mark MULTIAMP
KEMPER PROFILING AMP PW RACK
FRACTAL AUDIO SYSTEMS Axe-Fx Ⅱ

s-1212fractal

これはAxe-Fx Ⅱに軍配が上がります。
どのサウンド・サンプルを聞いても、明らかに音の密度を感じますね。
クリーンでの音の艶や、歪みでの倍音成分の豊かさ、これは他機種との差をかなり広げていると思います。

KEMPERに関しては、元々入っているプリセットだけならもしかしたらPOD同様、少し細めかもしれません。
しかしPROFILINGされたRigを使用することでかなり上位に食い込んできますね。

s-音の明瞭感部門

はい。クリアさです。
太くても、クリアで抜けが良くなければ音が後ろに引っ込んでしまいますから。

メーカー モデル 1 2 3 4 5
LINE6 POD HD PRO X
AVID Eleven Rack
DV Mark MULTIAMP
KEMPER PROFILING AMP PW RACK
FRACTAL AUDIO SYSTEMS Axe-Fx Ⅱ

s-1212fractal

「クリア」と一言で言ってもなかなか難しい部分ではありますが、細くなってしまっては意味が無いです。
コードの分離感だったり、一音一音の音の輪郭だったり、トータル的な評価をしました。
やはりAxe-Fx Ⅱは前評判どおり強いですね。
線が細くならないし、コード感が潰れないところがスゴイです。

s-レイテンシー部門

これは、デジタル・レコーディングでよく起こります。
今回の5機種もデジタル機器なので、内部で演算処理を行って音が発音されます。
その演算処理の時点で多少の遅れが発生してしまうのです。
なのでピッキングしてからアンプを通って自分の耳に音が届くまで、機種によってはレイテンシーを感じました。

メーカー モデル 1 2 3 4 5
LINE6 POD HD PRO X
AVID Eleven Rack
DV Mark MULTIAMP
KEMPER PROFILING AMP PW RACK
FRACTAL AUDIO SYSTEMS Axe-Fx Ⅱ

s-1212fractal

他の機種が「気になって弾いていられない」ってほどのレイテンシーではありませんよ。
Axe-Fx Ⅱのレイテンシーが少なすぎるのです!!
これはちょっとビックリ。

実はこのレイテンシー、弾き手にとってここはかなりのコダワリどころ。
腕が上がれば上がるほど、耳が良くなってきて気になると思います。
今回のマイク録りサンプルでもピッキングの音もマイクで拾っているので、この差をきっと分かってもらえるでしょう。

s-独自機能部門

当初の出遅れを取り戻したAxe-Fx Ⅱが首位を独走している感があります。
ここから他モデルの巻き返しはなるか!?

最後はデジタル・ラック・プリのそれぞれの独自機能の優位性を比べてみましょう。

メーカー モデル 1 2 3 4 5
LINE6 POD HD PRO X
AVID Eleven Rack
DV Mark MULTIAMP
KEMPER PROFILING AMP PW RACK
FRACTAL AUDIO SYSTEMS Axe-Fx Ⅱ

s-1212kemper

ここはKEMPERが強い! ホームグラウンドのようなもの。
やはりPROFILINGは魅力ですよね。

Axe-Fx Ⅱが頻繁なバージョンアップでアンプモデルをどんどん追加しているとはいえ、好きなアンプをWEBで手軽に手に入れられるKEMPERにかなり惹かれます。
実際のPROFILINGがさほどでもなかったら「別に…」「触れ込みだけでしょ」となるのですが、今回MarkⅢを実際にPROFILINGしてみた結果があのクオリティなので、高評価!

対決結果(総合)

さて、部門別に各モデル得意な分野を発揮して見事グランプリを獲得しましたね。
総合優勝はどの機種になるのでしょうか?

「表彰式といえばコレ」という、この曲を再生しながらどうぞ。

総合優勝は…

 

 

 

 

アメリカ代表 FRACTAL AUDIO SYSTEMS

「Axe-Fx Ⅱ」!

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s-総合優勝

s-1212fractal

アンプシミュレーターだけに、どれだけ元のアンプのサウンドに迫れるかっていうのはかなり大切なポイントですが、でもそれだけじゃダメです。
再現したサウンドを鳴らしたときに、しっかりヌケてくれて太い音が鳴ってくれないと、どうしてもデジタルな感じの音に聞こえてしまいます。

その点、サウンド面の各部門でグランプリをさらって行ったAxe-Fx Ⅱの総合優勝は、実力に基づいたものと言えるでしょう。

s-2位

s-1212kemper

2位にはKEMPERがつけています。
何度も言いますが、「PROFILING」がスゴイんです。
ぜひ皆さんにも体験して頂きたい!
本当に元のアンプをそのまま鳴らしているかのような、そっくりなサウンドになります。

欲を言えば、もう少し音にコシが欲しいところ。
(でもシンセメーカーのキーボーディスト的視点に立ったらこの音のほうが良いのかも…)
まだまだ新しい技術、モデルなので、今後さらに進化が期待されます。
すでに著名なギタリストが使い始めているという噂もちらほら…

s-3位

s-1212line6

3位はなんとPODです。
KEMPERにあと一歩のところで惜しくも敗れましたが、10万円を切る価格帯で3位に食い込む実力は本物。
やはりそのコストパフォーマンスの高さが表彰台の一番の要因でしょうね。

アンプシミュレーター界を切り開いた元祖として、堂々の3位だと思います。

検証後記

今回、Axe-Fx Ⅱの総合優勝で幕を閉じた世界ラック・プリアンプ選手権。
Part1、Part2にわたって検証してきました。
それぞれの機種の特徴は把握できましたでしょうか?
価格も目指しているところも各々バラバラではありますが、「アンプ・シミュレーター」という点で比較すると、やはり価格とクオリティがある程度比例する関係にありますね。
「高ければ良いものだ」というわけではありませんが、「良いものは高い」んだと思います。

また、レコーディングでの使い勝手、スタジオやライブでの使い勝手での選択もアリ。
各機種が独自の個性を持っているだけに、選手権優勝したからといって「じゃあFractalだ〜」と選ぶのは尚早かも。
自分の使い方に合わせて選択するのが賢い選び方と言えるでしょう。

特にパワーアンプ搭載/非搭載に関しては、後からパワーアンプを別途購入するコストをかけて、組み合わせによって音作りをするか、はたまたコストをおさえてパワーアンプ搭載を選び、「アンプヘッド」のような考え方で持ち歩くか、非常に悩ましいw
ワタシのオススメは、「せっかく買うならパワーアンプもしっかり選ぼう!」です。
「俺はMULTIAMPがいいな」と思ったら、MULTIAMPにパワーアンプは搭載されていても、あえてさらに相性の良さそうなパワーアンプを探すのも楽しみの一つになりますよね。

Part1から改めて読みたい方はこちら↓↓↓

【徹底検証】世界ラック・プリアンプ選手権! ~いま旬のアンプ・シミュレーター5機種~ Part1

2014年2月13日(木)追記情報

Axe-FxⅡは2014年2月3日に価格改定されて

メーカー希望小売価格¥341,000(税込)
販売価格¥341,000(税込)

となっております。

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