皆様こんにちは。バイヤーの平林です。
第20回目は、当社カスタムオーダーによる「USA Core Model」をご紹介します。
オーダーから待つこと約一年。
レギュラーモデルでは採用していない「Faded Blue Jean Satin」フィニッシュをまとった、島村楽器カスタムオーダー品がようやく完成しました。
オーダーモデル紹介
今回、PRS USA にオーダーした Core Model は下記の4機種です。




「Faded Blue Jean Satin」の魅力を最大限に引き出すため、この4機種をセレクトしました。
Faded Blue Jean Color × Satin Finish

今回のカスタムオーダーで最もこだわったポイントは「Faded Blue Jean」と「Satin Finish」の融合です。

2004年に「Modern Eagle I」が発表された際、それまでのギターの常識を覆すカラーと質感で大きな支持を得たのがこのフィニッシュでした。生産完了後も根強い人気を誇るその風合いを、現代の Core Model で再現しています。
PRS で最も人気が高いのはラグジュアリーなブルー系ですが、本作ではさらなる魅力である「ヴィンテージ・オーガニック」な質感を追求しました。あえて艶を抑えたサテンフィニッシュを施すことで、使い込まれたデニムのような深い風合いを再現し、唯一無二の存在感を放つ1本に仕上げています。

ボディトップのフィギュアド・メイプルは、深みのあるブルーから自然に色が抜けたような淡いトーンへと移り変わる繊細なグラデーションを見せます。サテンフィニッシュと組み合わさることで、より素朴で温かみのあるヴィンテージな表情を醸し出します。

また、採用されている「Nitro Satin」は、PRS が長年培ってきた塗料業者とのパートナーシップにより実現した専用塗料です。薄く硬質な塗装は、木材の質感やオープンな鳴りをダイレクトに引き出し、プレイアビリティの面でも滑らかな手触りを提供します。
※ポリッシュの使用や磨き方によっては徐々に光沢が出る場合がございます。あらかじめご了承ください。

ボディバックにはナチュラルカラーを採用。厳選されたマホガニーの質感を存分に堪能いただけます。
スペック

こちらは4モデル共通の主要スペックです。
Body Top Wood:10-Top Figured Maple
Body Back Wood:Mahogany
Neck Wood:Mahogany(Custom 24 “Floyd”のみ Maple)
Fingerboard: Indian Rosewood(Custom 24 “Floyd”のみ Ebony)
Pickups:
Custom 24-08:TCI
Custom 24:DMO
Custom 24 “Floyd”:\m/ (Metal)
Modern Eagle V:TCI & NS-01
各モデルの詳細
Custom 24-08

1985年の創業以来 PRS を象徴する「Custom 24」をベースに、現代のギタリストが求める多彩なサウンドバリエーションを追求した進化形です。

まず目を引くのは、圧倒的な美しさを誇るルックス。フィギュアド・メイプルのアーチトップ材を活かす塗装技術やバードインレイなど、随所に高級感を纏った佇まいが魅力です。
全ての USA モデルは、メリーランド州のファクトリーにて熟練の職人によって組み上げられており、その品質の高さはまさに「工芸品」と呼ぶにふさわしいレベルに達しています。

マホガニー・ボディバックにマホガニー・セットネック、そして24フレット仕様。ハイポジションの演奏性も非常にスムーズです。
また、PRS 独自のブリッジやチューナーは高いチューニング安定性を誇り、いかなるシーンでもプレイヤーに寄り添い、信頼できるパートナーとなってくれるでしょう。

独自パーツのアップデートとして、注目されているのが「ウィング・ペグ・ボタン」です。
1982年にポール・リード・スミス氏がデザインしたこの形状は、12フレットのポジションマークにも採用されている「クーパーズ・ホーク」を彷彿とさせます。
従来のメタル製から独自形状の軽量な樹脂製パーツへ変更したことで、弦振動のエネルギーロスが軽減し、自然なサスティーンと豊かな倍音成分を引き出すことに成功しています。また、指にしっかりと馴染む形状は操作性も高く、スムーズなチューニングを可能にしています。

Custom 24-08の心臓部には、独自のチューニングを施した TCI(Tuned Capacitance and Inductance)ピックアップを搭載しています。
このピックアップは、ヴィンテージ・シングルコイルの鮮明さを追求した「635JM」の開発プロセスをベースにしながらも、フルサイズ・ハムバッカーならではの豊かな低域を兼ね備えているのが特徴です。
P-90とも一線を画す、ハムバッカーらしい重心の低い力強さと芳醇な中低域を保持。そこに透明感のある高域が相まって、極めてワイドレンジで厚みのあるトーンを奏でます。

さらに、2つのミニ・トグルスイッチによるコイルタップ機能を組み合わせることで、計8種類ものサウンドメイクを実現。単なる音色の選択肢を超えた、多彩な音楽表現を可能にしました。
PRS が長年培ってきた信頼性と比類なきプレイアビリティはそのままに、現代の多様なニーズに応えるべく究極の進化を遂げたモデル、それが Custom 24-08です。
Custom 24

1985年の創業以来、PRS を象徴するフラッグシップとして君臨しながら、今なお絶え間ない進化を続けているのが「Custom 24」です。


PRS のアイデンティティである「バード・インレイ」の中でも、オクターブ位置である12フレットに鎮座するのは、敏捷な動きで知られる「クーパーズ・ホーク」。鋭い眼差しで翼を広げたその姿は、強い存在感を放ちつつプレイヤーの視認性を高め、楽器全体の気品を一段と引き立てる特別な位置付けとなっています。

Custom 24の真髄は、2基のピックアップと5ウェイ・ブレードスイッチがもたらす、モダンでバランスの取れたトーンにあります。ハムバッカーからシングルコイル的サウンドまで柔軟にカバーし、ロック、ジャズ、フュージョン、メタルに至るまで、ジャンルを問わず活躍できる汎用性の高さこそが最大の魅力です。
さらに、2025年の40周年記念モデルからは、新たに「DMOピックアップ」が搭載されました。
“Dynamic, Musical, Open”の頭文字を冠したこのピックアップは、広がりと透明感、そして「歌声」のような豊かな表現力を目指して設計されています。
驚筆すべきは、ギターを歌わせるという表現が相応しいほどのタッチレスポンス。弾き手のニュアンスを余すことなくアウトプットするため、非常にセンシティブではありますが、弾きこなすことで自分だけにしか出せない唯一無二のトーンを奏でることが可能です。
マグネットには Alnico 2を採用し、直流抵抗値はやや低めに設定されています。1950年代の PAF や P-90にも使用されていた Alnico 2は、磁力が控えめな分、弦の振動を妨げません。これにより、ピッキングの繊細な強弱が忠実に再現され、自然なサスティンとオープンでリッチなトーンを実現しています。
先日、ポール・リード・スミス氏と DMO ピックアップについて直接話す機会がありましたが、使用するマグネットも PRS 特注であり、サウンドの「バイト感」を追求した結果、あえて Alnico 2を選んだとのことでした。
Custom 24 “Floyd”

Custom 24に「Floyd Rose “Original” Tremolo System」を搭載した本機は、シリーズの中でも一際アグレッシブなプレイヤー向けに設計された、美しさと攻撃性を併せ持つハイエンド・マシンです。

ピックアップには、メロイックサインをモチーフにした「\m/ (Metal)」をマウント。その名の通りメタルサウンドに特化したモデルです。
セラミック・マグネットを採用し、直流抵抗値15.7kΩを誇るパワフルな Treble ピックアップだけでなく、あえてパワーを8.4kΩに落とした Bass ピックアップが生み出す「クリスタル・クリア」なトーンも秀逸。深く歪ませても1音1音がはっきりと分離するため、メタルの枠に留まらず、多様なシーンでその真価を発揮します。

最大の特徴である Floyd Rose ブリッジは、過激なアーミングやテクニカルな奏法においても圧倒的なチューニング安定性を実現します。また、多くの金属パーツで構成されるこのブリッジは、サウンド面でも高音域に煌びやかな倍音を付加。これが速弾きやソロプレイにおいて、音が埋もれず前に出る理由の一つとなっています。
Floyd Rose のセッティングにはコツがいるため、苦手意識を持たれる方もいらっしゃいますが、シンクロ・タイプの GEN IIIトレモロもフローティング状態がデフォルトですので、調整のコツを掴めば、デメリットよりも大きなメリットを感じていただけるのではないでしょうか。


指板には漆黒のエボニー材を採用。PRS のラグジュアリーなルックスと相性が良いのはもちろん、その極めて硬質で密度の高い特性により、立ち上がりの速いタイトなサウンドを実現しています。
滑らかな指触りはタッピングなどのテクニカルなプレイにも最適で、摩耗に強く長期間安定したコンディションを維持できる点も大きなメリットです。

さらに本モデルでは、サウンドのマッチングを図るためネック材にメイプルを使用。シャープでアタック感のあるトーンは、ハイゲイン時のリフでも抜群の抜けと明瞭さが得られます。
Modern Eagle V

ポール・リード・スミス氏が長年追求する「1つのギターで多彩なサウンドを奏でる」という理想を具現化した Modern Eagle V。2025年のアップデートを経て、さらなる進化を遂げました。

今回のカスタムオーダー企画を進めるにあたり、この「Modern Eagle」は欠かせない存在としてラインナップに加えています。

従来のシステムでは34種類ものトーンを実現していましたが、最新アップデートでは5-way ブレード・スイッチ、プッシュ/プル・トーン・コントロール、そして2つの EQミニ・トグル・スイッチを組み合わせる方式へとブラッシュアップ。
これにより、演奏中にギターを持ち替えることなく、1本のギターで18種類ものハイクオリティなサウンドを操ることが可能になりました。

サウンドのバリエーションこそ絞り込まれましたが、新たに搭載された EQミニ・トグル・スイッチによるハイパス・フィルター機能が秀逸です。
低域をシェルビング(カット)することで高域がよりクリアかつ音楽的に響き、ハムノイズをキャンセルしたままシングルコイル・サウンドの低域を自在にコントロールするような、緻密なサウンドメイクを実現しています。

単に選択肢が多いだけでなく、一つ一つのトーンが極めて実用的。無限の可能性を秘めた、究極の完成度を誇るモデルへと進化を遂げています。
まとめ
以上、今回オーダーした珠玉の4機種のご紹介しました。
それぞれの詳細は当社オンラインストアでもご覧いただけますので、ぜひチェックしてみてください。
長文にお付き合いいただき、誠にありがとうございました。
この記事が皆様のギターライフをより豊かにする⼀助となれば幸いです。

平林 大一プロフィール
埼玉県出身。現在は静岡県に移り住んで15年が経過。
趣味は釣りとワインで、自然の中でリラックスする時間や美味しいワインを楽しむのが大好き。
2024年現在、PRS USAファクトリーでのオーダーやGIBSONナッシュビルでのバイヤー業務、国内外のギター・ベース、アンプやペダルのオーダーに携わっている。
所有楽器はPRS Private StockやAMPをはじめ、Fender 1963 Stratocaster、Gibson CS LP、Ken Smith BSR5、Vintage Ibanez & Maxonなど多岐に渡る。







