いつも島村楽器をご利用いただき、誠にありがとうございます。
バイヤーの平林です。
PRSバイヤーズブログの第17回目は、2026年1月下旬に約1年ぶりとなる“PRS Factory Dealer Visit 2026”に参加し、PRS本社兼ファクトリーの視察、Private Stock & Wood Libraryオーダーにあたっての木材選定を行ってまいりましたので、その様子をレポートいたします。
過去のPRS Factory Dealer Visit レポートは、下の記事をご覧くださいませ。
2025年記事
2024年記事
Factory Dealer Visit 2026 Movie
最初に動画で雰囲気を感じていただければ幸いです。
DAY1〜2:出国→入国→現地到着

羽田空港→ワシントンD.C.ダレス空港→メリーランド州スティーブンスヴィルというルートで向かいますが、アメリカ東海岸に記録的な大寒波が到来しているため、当初予定していたANAのフライトが欠航となり、急遽代替便を予約して、現地に向かいます。

機内ではダレス空港に着陸できるかは不透明な状況とアナウンスがありましたが、12時間のフライトの末、無事に到着しました。エクストリーム・コールドというメタルミュージックのジャンルのような気候のため、最低気温がマイナス15度、最高気温でもマイナス5度という凍てつく寒さです。
空港での除雪作業待ち時間もあって夜になったため、安全を考えて空港近くのホテルを予約して宿泊します。
DAY2~3:移動→ファクトリークローズ

翌日、UBERでPRSファクトリーのあるケントアイランドへ向かおうとした矢先、PRSファクトリーが天候の影響で今日はクローズするという連絡が入りました。
実際に現地へ行ってみると、チェサピーク湾が凍っており、積雪も50cm程度という状況ですので、ホテルでPRS USAチームとオンラインMTGをしながら明日以降の再開を待ちます。

夕食を食べに行こうとしましたが、近隣のレストランも全て休業ということでしたので、ホテルでハンバーガーとワインを頂いて就寝します。ホテルのハンバーガーも美味しいのが、さすがUSAですね。

翌日の朝食最中に、なんと本日もPRSファクトリーがクローズするというニュースが入ってきました。メリーランド全体がクローズ状態にあり、学校も休校しているため、保護者の仕事も休みになるという、アメリカらしい文化です。
約10年間現地を訪問していますが、初めての経験ですので、再びPRS USAチームとオンラインMTGを実施して、明日以降の擦り合わせを行います。延泊するのか、1日で予定していた工程を実施できるのかは不透明な状況ですが、明日稼働することを祈ってホテルで仕事をします。

夜には近隣のレストラン“フィッシャーマンズ・イン”が再開したため、ようやくPRS出張らしいディナーです。
オイスターは日本と比較して小振りですが、旨味が凝縮されています。

汽水域でシーフードが美味しいのですが、ステーキも負けず劣らず絶品です。
DAY4:PRS ファクトリーオーダー

ついにPRSファクトリー兼本社が再開すると連絡がありましたので、早朝からホテルを出発します。帰りのフライトも天候が不安定ということもあり、当初3日間で行う工程を1日で実施する濃密なスケジュールです。
今回は、ミーナ町田店スタッフの石田(写真左)と一緒です。石田とは10年以上の付き合いですので、こういったスケジュールでは大変心強いです。

出国してから丸4日、ようやくエントランスまでたどり着きました。

いつものように EagleとArchtopⅡ ギターが出迎えてくれます。
このギターを見ると、ファクトリーに来たという気持ちが高まってきます。

今回新たに誕生したのが、エンプロイ・フォトウォールです。
従業員を大切にするPRSらしい取り組みで、なんと退社したスタッフの写真まで飾られています。関わる人すべてを「PRSファミリー」と呼ぶ、その素晴らしいスピリットが象徴されています。

もちろん、ポール・リード・スミス氏がセンターに鎮座します。

PRSスタッフの皆様にご挨拶をしたあと、早速オーダーに取り掛かります。
Wood Library Order

PRSのCoreシリーズをベースにした、セミオーダーシステムの「Wood Library」ですが、専用の木材保管庫がシリーズ名の由来です。
一時期は生産体制からディーラーセレクトを廃止していた同プログラムですが、久し振りにウッドセレクトを行うことができることになりました。

世界トップと称されるほどハイエンドなマテリアルを有するPRSですら良質な木材の確保が難しくなっている「キルト・メイプル」をボディトップに使用するため、一つ一つ丁寧に確認していきます。
なお、キルトメイプル材を使用したWLオーダーや選定は、現地に赴き、マテリアルがあった場合にのみ可能となっています。

セールスディレクターの Jim Cullen 氏にご協力いただきます。
Jim 氏は日本を訪問しているだけでなく、弊社店舗も数多く視察しているため、国内マーケットにも精通しています。

ご覧いただいた通り、上記のような素晴らしいマテリアルをセレクトすることができました。
Jim 氏も思わず“Private Stock”と唸るほどです。

一つ一つのマテリアルに対してテンプレートを当てながら、上下、表裏、どの位置が最適なのか決めていきます。

オーダーするモデル、カラーを想定して、生地の色、杢目の出方や深さを確認しています。

Custom 24 2モデルを各10本、合計20本をオーダーすることができました。

以前より、厳選された数量となり選びやすくなったことで、予想より早く終了しました。
2027年が弊社アニバーサリーイヤーということで、スペシャル・スペックを採用しますので、お楽しみにお待ちくださいませ。
Private Stock Order

続いて Private Stock のオーダーに移ります。

本ブログをご覧の皆様には説明不要かと思いますが、PRSが誇るカスタムオーダー・プログラムが Private Stock です。
Private Stock の魅力やオーダー方法は こちらの記事 をご覧くださいませ。

世界最高峰のウッドルーム”The Vault”にはPRSの歴史を感じるアイテムが飾られています。

レジンのサンプルは、美しいシェルの容器に入れられています。

各種インレイ素材を自由に組み合わせ、仕上がりイメージを事前に確認できる新たなシミュレーションツールです。

こちらはネック材を保管するラックです。
左上の黄色くマーキングされたマテリアルが、インターナショナルで使用可能なブラジリアン・ローズウッド材です。
最も人気が高いオプションですが、昨年の約半分程度に減少しているため、限られた貴重な資源を大切に使用していきます。

フィンガーボード用のマテリアル・ラックが整備され、非常に選び易くなっています。
他メーカーでは使用頻度が少ないマテリアルも含めて、バリエーション多くストックしています。

こちらのラック3つがボディトップ用のメイプル材です。
奥から East Coast Figured Maple、West Coast Figured Maple、Quilted Maple という順で保管されています。
前述の Wood Library でもご説明しましたが、世界的に良質なキルト・メイプルの流通が減少しており、価格も高騰しています。
ギター業界の最大手ブランドでも、カスタムショップ・ラインですらオーダーができない場合もあるほど貴重なマテリアルとなっていますが、さすがPRSという素晴らしいクオリティと数量からセレクトすることができました。

Private Stock Director である Paul Milies 氏と対話しながら、位置取りを決めていきます。



こちらの素晴らしい3枚をセレクトすることができました。

ボディトップ材もマッチングを考えて、吟味しています。
Figured South American Mahogany のボディバック材も、少数ですがオーダーしております。
Paul Reed Smith氏によるウッドセレクト

2027年が弊社アニバーサリーイヤーということで、ポール氏から何か手伝えることはないかとヒアリングがあったため、ボディトップ材のウッドセレクトを依頼したところ、なんと快諾いただきました。
基本的にポール氏によるウッドセレクトは様々な事情から行われないため、大変貴重な機会をいただくことができました。この場を借りて、改めて感謝を申し上げます。

こちらが、セレクトいただいたポール氏らしい“East Cast Figured Maple”です。硬質かつワイドな杢が出た極上のマテリアルです。

こちらの1本は、せっかくなら特別なカラーでステインしたいと考え、下記画像のカラーをセレクトしました。

MEMORIAL FADE/TINA’S EMP GUITAR と記されているこちらのカラーですが、久しぶりにティナ氏と会って話をする機会があったので、詳細を伺うことができました。

アメリカ文化、メリーランド州ケントアイランドに根差す企業であることや地域との関わり、ティナ氏のエンプロイ25thギターへの思い等々を、直接伺うことができましたので、こちらのギターの完成時に皆様にエピソードをお伝えさせていただきます。

特別なギターには特別なネックをということで、ブラジリアン・ローズウッドをセレクトしました。
ポールマイルズ氏に、全てのマテリアルからタップトーンや木目を確認いただき、最適な1本に絞っています。

2027年が弊社アニバーサリー・イヤーですので、マテリアルだけでなく、PRS社にご協力いただき特別な内容を企画しておりますので、ぜひご期待くださいませ。

弊社周年記念SEモデルに関する PRS COO Jack 氏とのミーティングの様子もご覧くださいませ。
ギター買付&ファクトリー視察

PRSファクトリー内に新たに設置された、ギター買付ルームです。
展示本数約200本の中から、カスタムカラーや Sprayer’s Choice といった、ファクトリー直結ならではの貴重な品々を買い付けています。

Sprayer’s Choice は、Crackles、Holoflake 等々の、PRSが誇るスプレイヤーによる特別なフィニッシュを採用した新たなプロダクトです。

買い付けたギターは、その場で全ての個体にPRS氏にサインを入れていただきました。こちらは2026年3月ごろに順次入荷予定です。

PRS 氏の部屋の入口には、Ted McCarty 氏の写真が飾られています。Ted McCarty 氏は、PRSの師といえる存在です。

ファクトリー内では、オーダー中のPrivate Stockを確認することができました。

こちらは、2025年に Paul Miles 氏から提供いただいたボディトップ材を使用した1本です。Paul Miles 氏らしいカラーで依頼しています。

Modern Tree Of Life インレイを使用した Private Stock Singlecut Archtop です。
PRSを象徴するバードインレイが共存する美麗を極める1本です。
バックサイドは、完成をお楽しみにお待ちください。
以上、ファクトリーでの滞在時間は8時間ほどですが、濃密な時間を過ごすことができ、当初予定してたプログラムも完遂できました。
ポール氏をはじめとするPRSチームとディナーで、今回の現地訪問も終了です。
DAY6:帰国

悪天候による飛行機の欠航、ファクトリーのクローズ等という、様々なハプニングがあったPRS Factory Dealer Visit 2026ですが、無事に帰国の日を迎えることができました。
現地でお世話になった皆様、誠にありがとうございます。
ギターを愛する皆様、PRSファミリーの皆様に少しでも楽しんでいただければ幸いです。
今後とも、島村楽器を何卒よろしくお願いいたします。

平林 大一プロフィール
埼玉県出身。現在は静岡県に移り住んで15年が経過。
趣味は釣りとワインで、自然の中でリラックスする時間や美味しいワインを楽しむのが大好き。
2024年現在、PRS USAファクトリーでのオーダーやGIBSONナッシュビルでのバイヤー業務、国内外のギター・ベース、アンプやペダルのオーダーに携わっている。
所有楽器はPRS Private StockやAMPをはじめ、Fender 1963 Stratocaster、Gibson CS LP、Ken Smith BSR5、Vintage Ibanez & Maxonなど多岐に渡る。








