レギュラーモデル未採用の「Charcoal Tri-Color Burst Satin」を纏った、当社カスタムオーダー USA Core Model|バイヤー平林が綴る PRSという美学Vol.12【Paul Reed Smith】

  • ブックマーク
レギュラーモデル未採用の「Charcoal Tri-Color Burst Satin」を纏った、当社カスタムオーダー USA Core Model|バイヤー平林が綴る PRSという美学Vol.12【Paul Reed Smith】

記事中に掲載されている価格・税表記および仕様等は予告なく変更することがあります。

第12回⽬は、当社カスタムオーダーUSA Core Modelをご紹介します。

オーダーから待つこと約⼀年。
レギュラーモデルでは採⽤していない「Charcoal Tri-Color Burst/Satin」フィニッシュによるモダン要素を取り⼊れています。
カスタムオーダー品らしく厳選されたマテリアルが使⽤された品々をご覧くださいませ。

Custom Order 4 Models

今回、PRS USAにオーダーしたCore Modelは下記の4機種です。

Custom 24 10-Top/ Charcoal Tri-Color Burst Satin

Custom 24 “Floyd” 10-Top/Charcoal Tri-Color Burst Satin

Modern Eagle V 10-Top/ Charcoal Tri-Color Burst Satin

Mark Tremonti Signature 10-Top/ Charcoal Tri-Color Burst Satin

モダンかつヘヴィなミュージックスタイルに最適なモデルということで、こちらの4機種をセレクトしています。

Charcoal Tri-Color Burst Color × Satin Finish

今回のカスタムオーダーモデルで拘った最⼤のポイントはCharcoal Tri-Color BurstカラーとSatinフィニッシュの組み合わせです。

PRSで最も⼈気が⾼いカラーはラグジュアリーな雰囲気をお楽しみいただけるブルー系ですが、PRSの異なる魅⼒とも⾔えるダークサイドを引き出すため、レギュラーにはない「Charcoal Tri-Color Burst」 カラーと、艶消しのSatinフィニッシュをマッチングさせました。

Charcoal Tri-Color Burstカラーはボディトップに使⽤したフィギュアド・メイプルの杢⽬の濃淡が際⽴つCharcoal(=⽊炭)と、Yellow/Red/Blackという3⾊のグラデーションをボディ外周に施します。

続いてNitro Satinフィニッシュですが、PRSが⻑年培ってきた塗料業者とのパートナーシップにより実現した「PRSギター専⽤」の塗料を使⽤したことで、薄く硬質なだけでなく、PRSギターのサウンドとルックスのポテンシャルを最⼤限に引き出すことに成功しています。

光沢があるGlossフィニッシュに対して、Satinフィニッシュは塗装が薄く、⽊材の質感やオープンな鳴りをダイレクトに感じられるのが特徴です。
また、⼿触りも滑らかで、⻑時間の演奏でも⼿が引っかかりにくく、プレイアビリティの⾯でも好まれるプレイヤーが多くいます。

なお、ポリッシュの使⽤や磨き⽅によっては徐々に光沢が出てくる場合がございますので、あらかじめご了承くださいませ。

Specs

こちらは4モデルの主要共通スペックです。

・Body Top Wood:10-Top Figured Maple
・Body Back Wood:Mahogany
・Neck Wood:Mahogany(Custom 24 “Floyd”のみ Figured Maple)
・Fingerboard:Indian Rosewood(Custom 24 “Floyd”のみ Ebony)
・Pickups:DMO(Custom 24),Metal(Custom 24 “Floyd”), TCI&NS-01(Modern Eagle),Tremonti(Toremonti)

カスタムオーダーモデルということもあり、⾮常にグレードが⾼いフィギュアド・メイプルがボディトップに使⽤されていることがナチュラル・バインディングからお分かり頂けるのはないでしょうか。

次に、個々のモデルを掘り下げていきます。

Custom 24 Product Overview

1985年の創業当初よりPRSを象徴するモデルとして君臨しながら、今なお進化を続けているのがCustom 24です。

まず⽬を引くのは、圧倒的な美しさを誇るルックスです。
フィギュアド・メイプルのアーチトップ材を活かす塗装技術やバードインレイなど⾼級感を纏った佇まいです。
全てのUSAモデルがメリーランドのファクトリーにて熟練の職⼈によって組み上げられ、その品質の⾼さはまさに「⼯芸品」と呼ぶにふさわしいレベルです。

セットネックに24フレット仕様でハイポジションのプレイも⾮常にスムーズかつ、PRS独⾃のブリッジやチューナーはチューニングの安定性が⾼く、いかなるシーンでもプレイヤーに寄り添ってくれる信頼できるパートナーです。

独⾃パーツのアップデートとしてはウィング・ペグ・ボタンが注⽬されています。
1982 年にポール・リード・スミス⽒がデザインした「ウィング」型のペグボタンは、12 フレットのポジション・マークにもなっているクーパーズ・ホークを彷彿とさせるデザインです。

従来のメタル・ノブから独⾃形状の軽量な樹脂製パーツに変更したことで、弦振動のエネルギーを最⼤限に活かしてくれるため、⾃然なサスティーンと倍⾳成分を得ることに成功しています。
また、形状は指にしっかりと馴染むのでチューニングも容易です。

Custom 24の特徴的な要素として外せないのが2つのピックアップと5ウェイ・ブレードスイッチの組み合わせで、モダンでバランスの取れたトーンを提供しつつ、ハムバッカー〜シングルコイル的なサウンドにも柔軟に対応できることです。
そのため、ロック/ジャズ/フュージョン/メタルに⾄るまで、幅広いジャンルで活躍できるのが魅⼒です。

さらに、2025年の40周年記念モデルからDMOピックアップがマウントされています。
“Dynamic,Musical,Open”の頭⽂字を取って名付けられたDMOピックアップは、広がりと透明感のあるサウンドと歌声のような豊かな表現⼒を⽬指して設計されました。

ギターを歌わせるという表現がマッチするほどタッチレスポンスに秀でており、弾き⼿の表現を余すことなくアウトプットしてくれます。
⾮常にセンシティブなためミスタッチもはっきりと分かりますが、弾きこなしていくことで⾃分⾃⾝にしか出せないトーンや表現が可能です。

マグネットはAlnico2で直流抵抗値はやや低めです。
Alnico2は1950年代のPAFやP-90に使⽤されており、Alnico 5やセラミックと⽐較して磁⼒が弱めです。

弦の振動を優しく拾うため、ピッキングの強弱が繊細に表現され、クラシカルな⾳⾊にマッチします。
磁⼒が弱い分、弦の振動を妨げないため、⾃然なサスティンとオープンでリッチなトーンが特徴的です。

Custom 24 “Floyd” / Product Overview

上述のCustom 24にFloyd Rose“Original”Tremolo Systemを搭載した本機ですが、こちらのモデルならではという特徴をご紹介します。
Custom 24のバリエーション・モデルの中でも、よりアグレッシブなプレイヤー向けに設計された、美しさと攻撃性を併せ持つハイエンド・マシーンです。

通常のCustom 24との最⼤の違いは、名前にもある通りFloyd Rose“Original”Tremolo Systemが搭載されている点です。
これにより、過激なアーミングやスクリームといったテクニカルな演奏にも耐えうる圧倒的なチューニング安定性を実現しています。

Floyd Roseはメタル・パーツが多く、サドルやブリッジプレートの素材もサウンドに影響します。
その結果、⾼⾳域に煌びやかな倍⾳成分が加わることが、速弾きやソロプレイで⾳が埋もれず前に出る理由の⼀つです。

セッティングにはコツがいるため、苦⼿意識を持たれる⽅もいらっしゃいますが、シンクロ・タイプのGEN IIIトレモロもフローティング状態がデフォルトですので、Floyd Rose も調整のコツを掴めば、デメリットよりも⼤きなメリットを感じていただけるのではないでしょうか。

フィンガーボードには、ブラック・エボニー材が使⽤されます。
エボニー材特有の深いブラック・カラーは、PRSのラグジュアリーなルックスと⾮常に相性が良く、バードインレイとのコントラストがより際⽴ちます。

また、エボニー材は硬質で密度が⾮常に⾼いのが特徴です。
そのため、⾳の⽴ち上がりが⾮常に速く、明瞭かつタイトなサウンドを⽣み出します。
歪ませても⾳が潰れにくく、複雑なコードや速いパッセージのリードでも輪郭のはっきりしたトーンを維持できます。

さらにエボニー指板は、サラッとしたタッチで⾮常に滑りが良いのも特徴です。
指が吸い付くようなフィーリングで、タッピングなどテクニカルなプレイにおいてもストレスを感じにくい設計です。
滑らかさを保ちつつも指板⾯の摩耗に強く、⻑く安定したコンディションで使えるのも⼤きなメリットです。

レギュラー・モデルでは板⽬のプレーン・メイプル・ネックが採⽤される場合が多いですが、本機にはまるでアートのような杢⽬を持った、フィギュアド・メイプル材をネックに使⽤しています。

フィギュアド・メイプル=杢⽬・模様のあるメイプルという意味です。
フレイム杢(炎のような縞模様)が美しく浮かび上がり、光の当たり⽅で表情を変えるその表情は、圧倒的なビジュアル・インパクトを与えてくれます。

さらに、メイプル材は⾮常に硬質でタイトな⾳響特性を持っています。
⾳の⽴ち上がりが早く、シャープでアタック感のあるトーンを実現するため、ハイゲイン・サウンドやパームミュートでのリフにおいて、抜けの良さと明瞭さが際⽴ちます。
Floyd Roseとの相性も良く、アンサンブルでも埋もれないトーンが特⻑です。

ピックアップは\m/(Metal)がマウントされます。
後ほどご紹介するトレモンティ・ピックアップをベースに開発され、メロイックサインをモチーフにしたメタル・ピックアップは、その名の通りメタルサウンド等に特化したピックアップです。

セラミック・マグネットで直流抵抗値が15.7kΩというTreble PUのパワフルなサウンドだけでなく、同じセラミック・マグネットですが、8.4kΩとパワーを落としたBass PUと組み合わせた際のクリスタル・クリアートンが特徴的です。

深く歪ませても1⾳1⾳がはっきり分離しているため、メタルだけの使⽤に留まらず多様なシーンで活躍してくれます。

Modern Eagle V /Product Overview

ポール・リード・スミス⽒が⻑年追求する「1つのギターで様々なサウンドが出せる様に」という理想を具現化したModern Eagle Vですが、2025年のアップデートでさらなる進化を遂げました。

2025年のアップデート以前は、5PUと独⾃のシステムによって34種の異なるトーンを実現していましたが、5-wayブレード・スイッチとプッシュ/プル・トーン・コントロール、そしてふたつのEQミニ・トグル・スイッチを組み合わせることより、演奏時にギターを持ち替えることなく、1本のギターで18種類もの多彩なサウンドを奏でることができます。

組み合わせのバリエーションは減っていますが、新たに搭載されたEQミニ・トグル・スイッチによりハイパス・フィルターが機能し、低⾳域がシェルビングされて⾼⾳域がよりクリアで⾳楽的なトーンを創出します。

ハムノイズをキャンセルしたまま、シングルコイル・サウンドの低域を⾃在にコントロールした様なサウンド・メイクが可能になったため、無限の可能性を秘めたモデルへと進化しています。
サウンド・バリエーションが多いだけでなく、⼀つ⼀つのトーンに特徴があり、実⽤的なギターとして⾼い完成度を誇ります。

Mark Tremonti Signature / Product Overview

PRSの中でも異彩を放つMark Tremonti Signature Modelの魅⼒に迫ります。
Alter BridgeやCreedのギタリストとして知られるマーク・トレモンティの名を冠したこのギターは、ヘヴィサウンドと美的完成度の融合体です。

マーク・トレモンティのプレイスタイルとサウンド要求に対応すべくPRSと共同開発されたシグネチャー・モデルですが、シグネチャー・モデルという枠に収まらない⽀持を集めています。

PRSらしいバード・インレイ等の⾼級感に加えて、厚みのあるシングルカット・シェイプ、アーチトップ・ボディ、セットネック、リセスド・フローティング・シンクロ・ブリッジ、ハイパワー・ピックアップという、アグレッシヴなサウンド特性を持たせた仕様が特徴です。

マーク本⼈のためにチューニングされたTremonti専⽤のハムバッカーピックアップ「Tremonti Treble & Bass」がマウントされます。

フロントはアルニコマグネットで直流抵抗値 7.36kΩとウォームでリッチなサウンド、リアは 15.42kΩと圧倒的な出⼒と切れ味を誇り、リフでもソロでも抜群の存在感を発揮します。
クリーンでも埋もれない解像度を保ちながら、ドライブ時は轟⾳でも輪郭を失わないタイトさが⼈気の所以です。

厚めのシングルカット・メイプルトップ&マホガニーバックの王道構成ですが、ここに PRS独⾃のGEN IIIトレモロをリセス加⼯有りのフローティング状態でマウントした唯⼀無⼆のスペックです。

さらにセットネック構造が加わることで、サステインの伸びと豊かな中低域を⽣み出します。
LPに近い太く⽢いトーンを持ちながら、PRSらしい演奏性とバランスの良さを両⽴しているのがポイントです。

重厚な⾳、速いレスポンス、⾼い演奏性、美しい外観。
そのすべてを持ち合わせたのがMark Tremonti Signature Modelです。

以上が、今回オーダーした4機種のご紹介です。
当社オンラインストアでも詳細をご覧いただけますので、ぜひチェックくださいませ。

⻑⽂にお付き合いいただき、誠にありがとうございます。
本記事が皆様のギターライフが豊かになる⼀助になれば幸いです。

平林 大一プロフィール

埼玉県出身。現在は静岡県に移り住んで15年が経過。
趣味は釣りとワインで、自然の中でリラックスする時間や美味しいワインを楽しむのが大好き。

2024年現在、PRS USAファクトリーでのオーダーやGIBSONナッシュビルでのバイヤー業務、国内外のギター・ベース、アンプやペダルのオーダーに携わっている。

所有楽器はPRS Private StockやAMPをはじめ、Fender 1963 Stratocaster、Gibson CS LP、Ken Smith BSR5、Vintage Ibanez & Maxonなど多岐に渡る。

  • ブックマーク