皆様こんにちは。島村楽器別室 野原のギター部屋管理人の野原です。
ここしばらくギター本体に関する内容が続きましたので、今回は気分転換にギターストラップのお話をしたいと思います。
ストラップはエフェクト・ペダルのように直接音に影響しないアイテムですが、昔からストラップ選びが好きで楽しんでいます。服に合わせて腕時計を選ぶような感覚に近いでしょうか、引き立て役でもありますがそれ自体にも魅力を感じます。

レスポールと一緒に写っているのは約20年前に製作して頂いた私物のストラップです。デュアン・オールマンのストラップ(Zebo’s Leathers)のように自身のアイコンとなる特別な1本が欲しくてオーダーしました。

材質はサドルレザーで3つのパーツを2つのバックルでジョイントしています。完成当初は真っ白でしたが長い年月を経て綺麗なブラウンカラーに変色しました。バックルやループはシニュー糸を使用し手縫いで取り付けられています。

ストラップ・ボタン(ピン)を通しやすいように厚みのある革を裏から部分的に漉(す)いています。オーダー時には何も考えていませんでしたが、漉かずに完成していたら取り付けに大変苦戦していたと思います(もしかしたら心が折れて使用頻度が少なくなっていたかも…)。製作した職人さんがギターに精通している方で助かりました。

見た目、品質ともに素晴らしく、今でも大切にしているストラップなのですが、最近少し問題が出てきました。
このストラップはレスポールやセミアコに装着することを想定して製作して頂いたのですが、フライングVを高めに構えようとした際に理想の高さまで短くすることが出来ませんでした。想定していたモデルでもなければ、20年前には構えなかった高さなので仕方がありません。
AceやBobby Leeなどの布製を使用すれば解決できるのですが、気分的に高品質かつ見た目が好みのレザー製ストラップが欲しかったので、しばらく国内外のサイトをチェックする日々が続きました。
Blue Bell Straps 1968 Navajo Thinline Cherry

世の中には素敵なストラップがたくさんありますが、今回私が購入したのはスペインで製作されるブルーベル・ストラップです。
創始者のペペ・ゲレーロ氏はスペインの皮革産業で7つの靴工場を所有する家系に生まれ、スペインとニューヨークの両方で高級靴を製作されていたそうです。そんな革職人であるペペ・ゲレーロ氏のギターへの深い情熱と革職人としての経験が融合し誕生したのがブルーベル・ストラップになります。

レザーの中央に布を配したギターストラップは多くありますが、中央の布が飛び出しているように見えるデザイン(構造)は初めて見ます。布はスペイン系開拓移民に由来するオルテガ柄です。

レザーから露出した布にはリングが通され、レザーと接続しています。序盤でお話したデュアン・オールマンのストラップではないですが、ブラスのリングがあるだけで雰囲気が出ます。とても素敵です。

デザイン以外で購入の決め手となったのがこちら。レザー製のストラップは空けられた穴によって段階的に長さを調整するものが多いですが、このストラップは金具をスライドして調整します。僅かな幅の調節を簡単に行えるのが良いですね。

裏はベージュ・カラーでブルーベルのロゴが刻印されています。少し硬そうな革に見えるかもしれませんが、とても柔らかいので最初から身体に馴染みます。演奏中も疲れないので最近はこのストラップばかり使用しています。
とても良い商品なので販売用に仕入れようと国内代理店に電話してみたところ、
「ハンドメイドのため生産数が少なく、現在お出しできるものがありません。」
という回答が。こればかりは仕方がないなと少し気落ちしていると、それを察してか
「ちなみにですが、1本だけイレギュラーなものでしたらありまして…」
と、私を気遣うような様子で切り出した優しいご担当者様。
興味が湧いたので何がイレギュラーなのかお伺いすると、むしろこれはこれで素敵かもと思えるものでしたので、さっそく仕入れることにしました。

それがこちら。
裏までチェリー・カラーで仕上げられた1968 Navajo Thinline Cherryです。通常品(上)と並べるとその違いがはっきりと分かります。

代理店の方に聞くと、入荷した商品の中に1本だけこれがあり、敢えて裏も着色したのかは不明だがカタログとは違う仕様だったため案内(小売店への出荷)が出来なかったとのことでした。
現時点では誰とも被らないレアな1本、気になる方は新宿PePeで手に取ってご覧頂ければと思います。遠方でお越しになれない方は、下の商品ページからご覧ください。

ブルーベル・ストラップではレザー以外のストラップも製作しています。1本だけの展示も少し寂しいので、こちらも仕入れました。
Blue Bell Straps Road Series Black Diamond

色鮮やかなワックスコードを使用したヴィンテージ風ジャガードタイプのロード・シリーズ・ストラップです。

オリジナルのAceやBobby Leeなどで使用されていた柄はギターストラップの定番として様々なブランドでよく目にしますが、意外とネイティヴ系の柄は少ないように感じます。写真のようなレスポールもそうですが、特にトラッドな雰囲気を持つギターやベースに良く似合うと思うのですが、いかがでしょうか。

この写真を撮影した後お客様にご購入頂いたため直ぐにご案内できる在庫はございませんが、既にオーダーは入れておりますので次の入荷をお待ちください。予定では4〜5月頃とのことです。

さて、今回のギターストラップのお話はいかがでしたでしょうか。
ふと気になったのですが、皆様は年に何本ぐらいストラップを購入されますか?私は最近こそ落ち着きましたが、良いストラップを見付けるとついつい買ってしまいます。ストラップを換えるだけで自分の楽器の新たな魅力を感じることが出来ますし、何より自分の気分が上がりますので。
まだストラップを決めきれていない方は、この機会にストラップ売り場を巡ってみてはいかがでしょうか。良い感じのストラップが見付かりましたら、ぜひ私にもお教えください。それでは今回はこの辺で。