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別室 野原のギター部屋 Vol.15 “Murphy Lab 1956 Les Paul Reissue Double Gold”

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別室 野原のギター部屋 Vol.15 “Murphy Lab 1956 Les Paul Reissue Double Gold”

記事中に掲載されている価格・税表記および仕様等は予告なく変更することがあります。

皆様こんにちは。別室 野原のギター部屋 Vol.15は、私が個人的に気になったギターを皆様にご紹介する「島村楽器で見つけた気になる1本」をお送り致します。

前回は板目のトップに褪色したバーストカラーが美しいMurphy Lab 1958 Les Paul Standard Reissue Lemon Burstをご紹介しましたが、今回はもう一つの「Standard」カラーをピックアップ。もうお分かりですね。

「マーフィー・ラボって何?」という方は、以前私が執筆を致しましたこちらの記事をご覧下さい。

それでは、早速ケースを開けてみましょう。

Gibson Custom Shop Murphy Lab 1956 Les Paul Reissue Double Gold Ultra Light Aged

全国のGold Topファンの皆様、大変お待たせを致しました。

Double Goldと名付けられた深みのあるGoldカラーと、Murphy Lab Collectionならではのリアルな塗装の質感が雰囲気抜群の1956 Les Paul Reissueのご紹介です。Murphy Labを率いるのは、ヴィンテージのエキスパートであり、ヒストリック・レスポールの初代ペインター(フィニッシュ担当)としても有名なトム・マーフィー氏。

トム・マーフィー氏自らが任命した7名のアーティザンがMurphy Labに所属しており、全てのMurphy Lab エイジド製品の特別なラッカー・プロセスと、エイジング作業を行っています。

ケースで保管されていた状態の良いコンディションのヴィンテージを再現したUltra Light Aged仕様のため、ギター全体を覆うウェザーチェックや傷は最小限に抑えられています。


この個体のシルクスクリーン(ヘッド中央「Les Pasul MODEL」)は若干薄めに見えますが、文字自体は綺麗な状態です。1950年代当時と同じ工程を手作業で行っているため、同じUltra Light Aged仕様(1959 Les Paul Standard Factory Burst)でもインクの量に個体差が見受けられます。

Ultra Light AgedにはVOSハードウェアを組み合わせています。Klusonチューナーの背面には「Kluson Deluxe」の刻印がありますので、オリジナルであれば1956年中頃以降の個体ということになりますでしょうか。

ネックグリップにも目立つ傷や塗装の擦れなどは見受けられません。ウェザーチェックは入っていますが、程良く艶のある美しい仕上げです。ヴィンテージギターと聞くと、塗装の艶が無いものを想像される方が多いかと思いますが、濡れた様な艶の残るものなど状態は様々です。

全てのMurphy Lab Collectionにはヴィンテージギターの滑らかな握り心地を再現するロールドバインディングが採用されています。サイドポジションマークを境に、削り込まれた部分の色味が異なるのがお分かり頂けると思います。



ストラップ・ボタン周辺やカッタウェイ部の写真からもお分かりの通り、Murphy Lab製品はトップとバックだけではなく、側面も含めたギター全体にウェザーチェックが施されています。

ゴールド・カラーの製造期間は1952-1958年途中までの7年弱で、後に登場するSunburst(1958-1960年)よりも長く、まさに1950年代のレスポールを象徴するカラーの1つです。ゴールドのボディ・カラーはレスポール氏本人からの注文だったようですが、ギブソン社はレスポールモデルと同じ1952年にデビューしたES-295にもゴールド・カラーを採用しています。

別室 野原のギター部屋 Vol.15 “Murphy Lab 1956 Les Paul Reissue Double Gold”

テールピースは年代に準じたアルミ製のもの。パーツ一つ一つの造形が美しく見ていて飽きません。

P-90は1940年代に登場したピックアップで、ウォルター・フラー氏によって開発されました。

シングルコイルならではの歯切れの良さはありますが、Fender社のそれに比べてアタックの音像が大きく、幾分メロウなキャラクターは多くのギタリストを魅了しています。

ブリッジにはABR-1 Tune-o-maticが採用されており、それまでのモデルより各弦のイントネーションが合わせやすくなっています。1954-1955年のWraparound Bridge/Tailpiece(McCarty Bridge)にも特有のサウンドがあり魅力的ですが、より正確なイントネーションでP-90のレスポールサウンドを楽しみたい方は、こちらの1956年モデルがお勧めです。



指板サイドには、指板面に対し垂直方向のウェザーチェックが細かく入っています。フレットは~1959年の途中まで使用されていた細身のものが打たれています。現存するオリジナルもミディアムジャンボサイズに打ち換えられているものが多いので、気軽に新品当時の弾き心地が楽しめるのが良いですね。

ハードケースは1950年代のブラウンケースを復刻したもの。本体のエイジング・レベルに合わせて綺麗な状態のものが付属します。

約30-40万円で取引されている50年代のブラウンケースが初めて復刻されたのが1999年のこと。以来ケースもアップデートを繰り返し、とても雰囲気の良いものになりました。ケース外装の艶やハンドルなど、ハイブランドのトランクケースのようなエレガントさが漂います。

今回はMurphy Lab 1956 Les Paul Reissue Double Gold Ultra Light Agedをピックアップしてみましたが、いかがでしたでしょうか。

P-90のレスポールスタンダードというと、玄人好みの小難しいギターというイメージをお持ちかもしれませんが、実は近年の歌物などでも使いやすいキャラクターのギターです。アタックの音像が大きく抜けの良いP-90サウンドはアンサンブルでも埋もれにくく、シングルコイルならではの歯切れの良さと、レスポールならではの艶やかな響きがとても気持ちの良いです。

主観にはなってしまいますが、こちらの個体はそんなP-90のキャラクターと本体の響きが理想的なバランスで鳴っていますので、ぜひとも皆様に手にして頂きたい1本です。

最後までご覧いただき、ありがとうございます。記事の内容や商品についてご質問、ギター選びについてのご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。今回の記事に登場しましたMurphy Lab 1956 Les Paul Gold Top Reissue Double Gold Ultra Light Agedの詳細につきましては、ギタセレ商品ページをご覧頂ければと思います。それではこの辺で。

ギター部屋の管理人

野原 陽介プロフィール

学生の頃よりバンド活動、レコーディングなど様々な場所での演奏とヴィンテージギターショップ巡りに明け暮れる。
のちにギタークラフトを学び、島村楽器に入社。
入社後は米国Gibson社、Fender社への買い付けなどを担当。
甘いもの好き。

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