別室 野原のギター部屋 Vol.14 “Murphy Lab 1958 Les Paul Standard Reissue Lemon Burst”

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別室 野原のギター部屋 Vol.14 “Murphy Lab 1958 Les Paul Standard Reissue Lemon Burst”

記事中に掲載されている価格・税表記および仕様等は予告なく変更することがあります。

皆様こんにちは。別室 野原のギター部屋 Vol.14は、私が個人的に気になったギターを皆様にご紹介する「島村楽器で見つけた気になる1本」をお送り致します。

前回は力強い杢と深みのあるチェリーレッドが印象的なMurphy Lab 1959 Les Paul Standard Reissue Factory Burstをご紹介しましたが、今回は真逆の趣きを持つ素敵な個体をピックアップしてみました。Murphy Lab Collectionの業が引き立つ玄人好みの1本です。

「マーフィー・ラボって何?」という方は、以前私が執筆を致しましたこちらの記事をご覧下さい。

それでは、早速ケースを開けてみましょう。
別室 野原のギター部屋 Vol.14 “Murphy Lab 1958 Les Paul Standard Reissue Lemon Burst”

Gibson Custom Shop Murphy Lab 1958 Les Paul Standard Reissue Lemon Burst Light Aged


最近では直接見る機会も減ってしまいましたが、「ヴィンテージ専門店の壁に1本はありそうなバースト」と言われて私が想像するのが今回のような見た目のレスポールです。杢の入ったバーストも見て来ましたが、プレーンや僅かに杢の出た板目トップ+褪色したバーストのレスポールに妙なリアルさを感じます。

Light Agedは50年以上適度に弾かれてきたコンディションを再現しており、Ultra Light Agingに比べてウェザーチェックのレベルと密度をアップし、小傷、弾き傷エッジのソフトなダメージを追加しています。

60thでアップデートされ以前のものより丸みを帯びたGibsonロゴ。Murphy Lab Collectionに用いられている新しいラッカーの質感と相まって、とても雰囲気のあるヘッドストックに仕上がっています。
「Les Paul MODEL」のシルクスクリーンは多少薄くなっている様にも見えますが、綺麗に残った状態が再現されています。

ウェザーチェックの雰囲気が以前のものと異なるのがお分かりになりますでしょうか。

トム・マーフィー氏(とギブソン)は温度差を利用したウェザーチェックの再現はコントロールが難しいため、塗装表面に刃物を入れてウェザーチェックを描いてきましたが、仮にそのコントロールがある程度可能になったのであれば…

パーツ類はTrue Historicで改修されたものを使用。ご覧頂いている通りプラスティックパーツに極端なエイジングはされていません。




ボディに施されたウェザーチェック。打痕や傷がウェザーチェックの入り方に影響を及ぼしている箇所が多数見て取れます。
トグルSWの「TREBLE」は若干薄くなっていますが、まだしっかりと文字が残っています。オリジナル同様、リイシューも使用に伴い文字が薄くなっていきますので、より雰囲気が出てくるのではないでしょうか。



ハードウェアーは本体のエイジング・レベルに合わせ軽めに処理されたものが採用されています。True Historic以降のパーツは色味と形状が良く出来ているので、マウントリングに納まるピックアップもとても様になっています。




ハードケースは1950年代のブラウンケースを復刻したもの。本体に合わせて綺麗な状態のものが付属します


具体的な加工方法については明らかにされていませんが、非常に自然な仕上がりとなっています。



飽くまで実際に手に取ってみての感想になってしまいますが、今までの塗装とは異なる質感を持っており、1950~1960年代のギブソンのラッカーに近しい雰囲気になりました。割れた塗装の際もシャープで、以前より硬い塗料を使用していることが想像できます。



ヴィンテージギターの滑らかな握り心地を再現するロールドバインディングが採用されています。サイドポジションマークの上約1/3付近を境に、バインディングの地の色が出ているのがお分かり頂けますでしょうか。

今回の個体も指板に濃い色味のローズウッドが使用されています。1961年以降とは異なる1950年代のデリケートなカラーや素材感が再現されたディッシュ・マーカーも素敵です。












バーストが濃く残るホーン部。セルバインディングのエッジが白く見えますが、エッジ部は塗料が乗りにくいため他の場所に比べ塗膜が薄く、トプコートのラッカーが擦れて無くなりやすくなります。
指板面に対し垂直方向に入ったバインディング部のクラックの様子。
今回はMurphy Lab 1958 Les Paul Standard Reissue Lemon Burst Light Agedをピックアップしてみましたが、いかがでしたでしょうか。

ヴィンテージ・リイシューのレスポールと言えば、フィギュアド・メイプル・トップのレスポールを思い浮かべる方も多いと思いますが、実際に店頭でお話をしてみると結構プレーン・トップ好きの方がいらっしゃいます。

優美な板目のトップに褪色したバーストカラー、全身に纏ったウェザーチェックなど、今回ご紹介した1本は、まさにそんな皆様が理想とされるレスポールの1本ではないでしょうか。

最後までご覧いただき、ありがとうございます。記事の内容や商品についてご質問、ギター選びについてのご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。今回の記事に登場しましたMurphy Lab 1958 Les Paul Standard Reissue Lemon Burstの詳細につきましては、ギタセレ商品ページをご覧頂ければと思います。それではこの辺で。

ギター部屋の管理人

野原 陽介プロフィール

学生の頃よりバンド活動、レコーディングなど様々な場所での演奏とヴィンテージギターショップ巡りに明け暮れる。
のちにギタークラフトを学び、島村楽器に入社。
入社後は米国Gibson社、Fender社への買い付けなどを担当。
甘いもの好き。

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