みなさまこんにちは!
先日、突然にNAMMの会場にいるアメリカ人の友人(ミュージシャン)から電話があり一言
「今日パーティーだからちょっと来いよ」、、、
「いやいや今日本だしちょっと行くのは無理だよ」と私。
すると「じゃあ今から向かえば?」と普通のトーンで言われ、
うーむ、きっとこの感覚でなきゃ人生ロックじゃないんだな・・・
さて、通常ありえない箇所が折れてしまった大手術ですが、仕上がりまでお見せしたいと思います。
大ボリュームで一気にお届けします!!
前回・前々回の大手術についてはこちらをご覧ください。
- https://guitarsele.com/article/staff-blog/komaki-015/
- https://guitarsele.com/article/staff-blog/komaki-016/

指板を確認してみると、あれだけあった段差がすでにほぼ無くなっています。

うまくいきました。


うまく接着できたとは言え、このままでは強度が心配。
補強材を入れる事にします。
まずは補強材用の溝を掘っていきましょう。


続いて補強材を溝に合わせて作ります。
強度が増す向きに木目が入るように意識して、ネックと同じメイプル材を切り出します。


最終的には手作業でピッタリの形に仕上げていきます。




さーて、いよいよ塗装に入っていきます。
少し広めに塗料を剥がしていき、




一気に黒くなった様に見えますが(笑)
実際には、
ヤニ止め⇒中塗り⇒着色⇒上塗り
更に各工程間でサンディング(ヤスリがけ)と、かなりの工程と日数を要しています。


吹きつけで出来る微細な凹凸を取る為に、更に細かなサンドペーパーで磨き上げます。


修理の過程でフレットを抜いていますので、フレットを打ち直さなくてはいけません。
元のフレットと同サイズのものを用意して、まずは指板面を仕上げていきます。






いよいよ組み込み
パーツを組んで、配線を施し、各部を調整していきます。



どうですか?
ちょっとピンボケですが(笑)修理箇所がどこなのかというより、そもそも折れた事自体全く分かりません。


しっかり修理出来ましたので、折れる前よりも強度は増しています。更には強度が増す事でネックの剛性があがり、サスティーンが非常に良いギターに仕上がりました。配線引き直し等も行なった事で、サウンド的にもグレードアップ!
一気に仕上がりまでの大ボリュームでお届けしましたが、いかがだったでしょう。
お客様の方で「これはさすがに直らないんじゃないかなあ」・・・とご判断され、修理を諦めてしまう事もあるようですが、
諦める前に是非一度お近くの島村楽器までお持ち下さいね!
ルシアー駒木でした

ルシアー駒木プロフィール
テクニカルチーフとして島村楽器のギターリペア工房に勤務。
アーティスト用・雑誌掲載用などオーダーメイドでの楽器製作を行なってきたキャリアを活かし、お客様の楽器の修理・改造業務を主としながら、海外への買い付け業務や楽器開発協力、世界各国の工場で技術指導も行う。
その実力はアメリカやスウェーデンをはじめとした海外のアーティストから、スペインの伝統的なギター製作現場まで高い信頼を得るほど。
修理・改造業務の他、エレクトリックギターやベース、アコースティックギターの入門書やメンテナンスDVDへの解説出演、ラジオ「SAME’SBAR」への出演など、広い活動の場を持つ。
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