こいつは腕の見せ所|ルシアー駒木のギターよもやま話 その7

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こいつは腕の見せ所|ルシアー駒木のギターよもやま話 その7

記事中に掲載されている価格・税表記および仕様等は予告なく変更することがあります。

皆さんこんにちは!
肉襦袢を着ているので冬にはめっぽう強いルシアー駒木(コマキ)です!
夏までに脱ぎたい肉襦袢ではありますが(苦笑)

本日は、最近大怪我をされて現在入院治療中の患者様をご紹介しましょう。

こちら、九州のお店から私指名で届いたリペア品です。
なんとブログを見て下さり指名して頂けたとの事。
指名してくださったH様、有難う御座います。

事前に伺っていた話ですと、ヘッドが割れてしまったとの事。
どれどれ、、、

むむむ??

確かにヒビが入っていますね・・・

・・・少し力を加えてみようかな・・・

ああっ(>。<)
ヒビじゃ無い!完全に割れています!!

糸巻きが割れた部分をまたいで取り付けられており、また1側がなんとかまだ割れずにいたので、完全に割れるには至らず楽器の形を保っているようです。
よく見ると、これは割れているのではなく、木材の継ぎ目部分、接着箇所が剥がれてきてしまったようです。

心配で他もよく確認すると・・・
ああああっっ(>。<)

なんと指板も剥がれてきています。
一見すると白いライン。

ギター自身が痛がっているのを感じますし、オーナーのH様もこれは大ショックのはず。
私としてはやり甲斐があります。
技術者魂に火がつきました!

このギターはラッカー塗装で仕上られていることから、修理後も当然仕上げにラッカー塗装を吹く必要があります。塗装をするということは、乾燥期間が必要ということ。入院期間を少しでも短く、早くお客様の手元にお戻しするためには、塗装までの作業を手際よく仕上げていかなければなりません。
というわけで、早速修理に取り掛かりましょう。

改めて割れ目をよく確認してみると「大部分は剥がれつつ、部分的には割れている」といった感じ。
指板の方は材の収縮が原因の様です。

更には
1弦側も

ペグスロットの内側も

割れつつあります。

さてどう修理していこうかな・・・
割れ方としては、以前ここでご紹介したネック折れ同様、当て木を使用した補強をお勧めするところです。

こんな感じ↓

しかし問題がひとつ。
今回の場合、丁度当て木を接着したい部分に文字が入っているんです。

割れ箇所とも近いですね。

「修理の都合上、文字が消えてしまうのですが御了承下さい」
の台詞でもご納得頂けるとは思いますが、、、

文字の内容を見ると、
私がオーナーならばこれは絶対消したくないですよ。

なんとか残してあげたいです。どうしようかな・・・

よし!決めた!

え?
どうするのか?

それは次回のお楽しみです(笑)
ひとまず今日はここまで。
ルシアー駒木でした!!

ルシアー駒木プロフィール

テクニカルチーフとして島村楽器のギターリペア工房に勤務。

アーティスト用・雑誌掲載用などオーダーメイドでの楽器製作を行なってきたキャリアを活かし、お客様の楽器の修理・改造業務を主としながら、海外への買い付け業務や楽器開発協力、世界各国の工場で技術指導も行う。
その実力はアメリカやスウェーデンをはじめとした海外のアーティストから、スペインの伝統的なギター製作現場まで高い信頼を得るほど。

修理・改造業務の他、エレクトリックギターやベース、アコースティックギターの入門書やメンテナンスDVDへの解説出演、ラジオ「SAME’SBAR」への出演など、広い活動の場を持つ。

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