Paul Reed Smith USAファクトリー訪問&オーダーレポート2024|ギターマニア石田純一の逸品入魂~気ままに想いを綴ります~【PRS】

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Paul Reed Smith USAファクトリー訪問&オーダーレポート2024|ギターマニア石田純一の逸品入魂~気ままに想いを綴ります~【PRS】

記事中に掲載されている価格・税表記および仕様等は予告なく変更することがあります。

皆様こんにちは!石田でございます!

去る4月下旬、今年もアメリカはメリーランド州にあるPaul Reed Smith USA工場、オフィスへ訪問してきました。

昨年と同様にプライベートストックオーダーはもちろん、今回は私の勤務するミーナ町田店が「Signature Dealer」にランクアップし今まで以上に面白いオーダーが可能になったため、色々な計画を練りにいった次第です。

1日目:Private Stockオーダー

出国~ファクトリー到着

あいにくの天気ですが、フライトの遅れはなく順調な滑り出し。
空港で写真を撮り忘れましたが、いつも通りフリーウェイでワシントンから東へ。

1時間ちょっとでベイブリッジに到着すると、メリーランド工場へはもうすぐです。

空港からエスコートしてくれたのはPRS USA CEOのジェイミー。
トップが直々に送迎してくれるというVIPな待遇です。

いつも通りイーグルが出迎えてくれたほか、ビンテージのPRSも増えてました。

工場についたら早速木材選定開始...の前に腹ごしらえ。
サンドイッチを用意してもらったのでいただきます。

口に入らない特大サイズ、かつ長時間の移動で胃が弱り切っていますので2日間にかけて食べきりました。

オーダー開始

まずはプライベートストックの木材選定ですのでVAULTへ。
間違いなく、世界で最もハイグレードな木材が集まっている場所です。

世界中のギターブランドが奪い合っているブラジリアンローズウッドも角材でこの量。
ちなみにここに写っているのは海外輸出可能なものだけでUSAのディーラー用の材も含めると倍以上の量があります。

今回は渡米前にオーダーの仕様をほぼ決めておいたので目的に合ったマテリアルをひたすら探していきます。
まずは本命のハカランダネック、指板、天神素材を。

恐らく同じ角材からスライスしたんだろうな、というセットがあり面白いので採用。
モデル的にも対になるようにしています。

ブラックハカランダはホロウボディ用に確保。
その他気に入ったものを選んでいます。

お次はいくつかのモデルに採用したキルトメイプルを。
日本のディーラーもあらかた来た後、かつUSのディーラーもしょっちゅう選びに来ているということで大分減っている印象でした。

その中でも「これは!」というものを主任のポールマイルズと一緒に選び出しました。

カーリーメイプルも使用予定なのでEast Coast Curly MapleとWestern Curly Mapleからチョイス。
綺麗なストライプのものがたくさんありました。

最後にボディバック材で使用するSwamp AshとSouth American Mahoganyを。
South American Mahoganyはフィギュアド杢が出ているものや、ヴィンテージLPを思わせる風貌のものを選んでいます。

木材を選んでカラーやインレイなどの細かい仕様を確認したところでタイムアップ。
宿泊するホテルに移動します。

今回の宿はこちら。元々道路の工事用に作った宿舎を再利用しているようで、かなり趣のある感じでした...
エアコンのサーモスタットが切り替わるたびに「バコーン!」という爆音が鳴るのが最大の思い出です。

荷物を置いたら静岡パルコ店の平林もお気に入りのThe Jettyへ。
釣り客らが多く通うアットホームなお店です。

まだまだ胃が本調子ではないので魚介のパスタとサラダをいただきました。

食事を済ませてホテルへ戻ると野生のシカが。
といったところで体力の限界で就寝。

2日目:PSオーダー最終確認&その他オーダー打ち合わせ

朝食~オーダー内容最終確認

2日目は8時に工場に到着してスタート。アメリカンサイズのマックコーヒー。

こちらは通称「モンスターサイズのカントリーマ○ム」。
相当な甘党でもギブアップするであろう甘さが特徴です。
※今回は辞退しました。

前日に選んだ木材の再確認をしていたらPaul Reed Smith氏が来てくれたのでパシャリ。
渡米中1度も会わないこともあるのですが、今回は頻繁に会いに来てくれ色んなものを見せて、聴かせてくれました。

オフレコな内容が盛りだくさんで、ここではまだお伝えできないですが今後をご期待ください。

スペックの最終確認の前にVaultを見回っていると前日は気付かなかったところに見事な杢目のEuropean Mapleを発見。
ポールマイルズに聞いたところ「サウンドもグレートだ」ということで、今回のCurly Mapleは全てEuropean Mapleに急きょ変更しました。

という訳で今回のPrivate Stockオーダーの最終確認を完了し、こんな感じに。
やむをえず仕様を変更することなどもありますのでまた完成後にご紹介させていただきます。

昼食~工場内見学

その後様々なミーティングを経て昼食に。
前日のサンドイッチを食べ終え、余力があったのでピザも少しだけ頂きました。

さすがにあまり量は食べれませんでしたが、非常においしかったです。

昼食の後は工場内を見学。
残念ながら写真ではお見せできませんが前回よりも機械が大分増えていました。が、生産本数はほとんど変えていないそう。

「機械でできる部分は機械に任せることで効率をアップする。余裕ができた時間で人の手で作業する部分をより手間をかけて行う。」ということで生産アップではなくクオリティアップのために機械を増やすという考え方です。

こちらは塗装作業の8工程を段階ごとに展示したもの。
PRSの美しさはこの手間のかけ方から来ています。

オーダー中のPSの確認などもあり、工場とオフィスを行ったり来たり。
オフレコ情報が多すぎるので写真が上げられないのがもどかしいです。

ごく一部ですが去年オーダーした分はこんな感じ。

近くの学校から工場見学の学生さんも来ていましたが、工場見学のガイドナレーションや工場内のスタッフのイヤーマフ替わりにオーディオテクニカのヘッドホンがいたる所にありました。
町田市に本社を構える企業なのでなんだか嬉しいですね。

初めて見たダダリオの「ストレートな」バルク弦。※通常は丸まって箱に入ってます。
SEシリーズは海外で生産した後メリーランド工場に一度送られますが、そこで全数再セットアップされます。その際に使用する交換弦ですね。

2日目のミッションを終えてその夜はベイサイドのレストランへ。
こちらもメリーランド工場を訪ねる時は定番となっているLibbey’s。常に団体客でにぎわっている人気店です。

少しだけ胃の調子が戻ってきたので地元のエールと魚介のサンドイッチを頂きました。

外に出るとちょうど美しいサンセットが。いつかこの風景をもとにしたモデルもオーダーしたいですね。

3日目:最終確認と楽器店巡り

翌日はもうフライトなので工場に行くのは3日目が最後。
午前中は今回のオーダー内容の最終確認、午後はジェイミーのマイカーでワシントン周辺の楽器店へ。

まずはDCの伝説的な楽器店Chuck Levin’s Music Centerへ。
1店舗のみながら、驚異的な売り上げを誇る老舗楽器店です。

所狭しと並んだ楽器たちは在庫のごく一部。
この数倍が併設の倉庫にあり、お客さんからのリクエストがあるとすぐに持ってくる、というスタイルだそうです。

PRSのウッドパネルのアンプヘッドなどもあり、うっかり買いそうになりました...

お次はワシントンの西、ペンタゴンの北西辺りにあるAction Music。Route66も通りました。
こちらはPRSのディーラーショップではありませんが、町の楽器店の雰囲気を見たかったので連れてきてもらいました。

VintageのIbanezポールスタンレーモデルやMusicianなどたまらないものがいっぱい。

3軒目はさらに西、ManassasにあるMatt’s Guitars。

ミーナ町田店とおなじSignature Dealerで、アコースティックギターのPSやベースのPSなど幅広く取り扱っていました。

店主のMattさんの似顔絵のTシャツやPRSのTシャツをレコード盤のようにディスプレイしていて、お洒落だったので真似させてもらいましょう。

といったところでタイムアップ。
※DCのショップは17時か18時にはクローズしてしまいます。

石田のお気に入り、ホテル近くのNarrowsにて夕食。スープとロブスターが絶品です。

4日目:帰路へ

最終日も天気に恵まれました。12時の飛行機に間に合わせるため朝からドライブ。
いつも時差ボケによる体調不良に悩まされるオーダーツアーですが、今回はジェイミーや林氏によるジェントリーなエスコートのおかげで非常に快調に過ごすことができました。

そろそろ昨年のオーダー品も入荷してきますし、今回のオーダー品も年末から年始にかけて早ければ入荷する見込みです。
その際はまたご紹介しますので是非お楽しみにどうぞ。

石田 純一プロフィール

ギター演奏はそこそこに機材いじり(改造、音作り)をメインに楽しむ学生時代を送り、機材好きが高じて、「いつの間にか楽器店の店員になっていた」インドア派。

入社後はPRS(Paul Reed Smith)現地工場でのPrivate Stockオーダーをはじめ、自身の経験を活かし、多彩なブランド・ジャンルでの楽器開発も手がけています。

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