ギタセレをご覧の皆様こんにちは。
島村楽器でアコースティックギターのバイヤーを務めております、古川(ふるかわ)です。
本連載ではこれまで、K.Yairi をはじめとする国産ブランドを中心に、一本のギターが生まれるまでの工程や、クラフトマンシップに焦点を当ててご紹介してきました。
今回は、そうした視点をさらに一歩進めた特別企画――
ルシアーズセレクション(Luthiers Selection)フェア開催
のご案内です。
長年ギターを選び続けてきたバイヤーの目で、「これはぜひ店頭で触れていただきたい」と感じた国内外ルシアーのワンオフ作品だけを厳選し、一度にご体感いただける場をご用意しました。
カタログモデルとは一線を画す設計思想、選び抜かれた材、緻密なセットアップ。
それぞれのギターに宿る物語とサウンドを、実際に手に取り、弾き比べながら確かめていただける貴重な機会です。
すでに愛用の一本をお持ちの方にこそ、「自分の表現を、もう一段引き上げてくれる相棒」との出会いを感じていただければと思います。
そんな想いから立ち上げた、国内外ルシアー作品の持ち回り企画が、いよいよ本格始動します。
1. ルシアーズセレクション(Luthiers Selection)フェアとは
今回ご紹介するルシアーズセレクション(Luthiers Selection) は、
- 国内外のルシアー(製作家)が手掛けた、世界に一本だけのワンオフ作品を中心に集めた特別展示
- 普段なかなか店頭でお試しいただく機会の少ない希少なギターに、実際に触れていただける場
- ギタセレ連載「バイヤー古川の銘器探訪」とも連動し、
それぞれのギターに込められた“ストーリー”まで一緒にお楽しみいただける企画
としてスタートした新しい試みです。
いつもは Martin や Gibson、Taylor などの有名ブランドを弾かれている方にも、
「その次の一歩」として、ルシアーギターの奥深い世界を気軽に味わっていただきたい――。
そんな想いから私たちバイヤーが惚れ込んだ一本一本を厳選し、「島村楽器でしか出会えない特別なギター」をご用意しました。
ぜひこの機会に、写真や動画だけでは伝わりきらない“生の鳴り”と“手触り”を、ゆっくりとご体感いただければ幸いです。
2. 開催スケジュール・会場
今回は、東北・中国・九州の3拠点を巡回する持ち回り企画として開催します。
各店舗とも、ルシアー作品を複数本まとめてご覧いただける機会はそう多くありません。
ぜひ、この期間中に実際の“鳴り”と“質感”を体験していただければと思います。
3. 出展ルシアー & 展示モデル
ここからは、今回のフェアでご覧いただけるモデルの一部を、バイヤー古川の視点を交えながらご紹介していきます。
3-1. Water Road Guitars / Deep Arte Cutaway / Moonlit Castle
| モデル名 | Deep Arte Cutaway / Moonlit Castle |
|---|---|
| 販売価格 | ¥1,954,700(税込) |


日本を代表するルシアーの一人として世界的な評価を集める Water Road Guitars。
その最新作の一つが「Deep Arte Cutaway / Moonlit Castle」です。
ケースを開けた瞬間にまず目を奪われるのは、ヘッドに描かれた「満月に照らされる城」のインレイです。
当店からは「日本古来の城を満月が照らす情景」というテーマだけをお伝えし、デザインはすべて増田氏ご夫妻にお任せした完全ワンオフオーダーとなっています。
増田氏にとっても“城”モチーフは初挑戦とのことですが、繊細さと立体感を兼ね備えた表現力は、何度見てもため息が出る仕上がりです。
サウンドは Water Road らしいフィンガースタイル特化の設計です。
シルキーで透き通る高音域、豊かな倍音を保ちながら輪郭が崩れない中域。ベアクロウ・ジャーマンスプルースとブラジリアンローズウッドが生み出す、重厚で奥行きのある低音。
一音鳴らすたびに“音の風景”が立ち上がるような感覚があります。
ネックは極薄シェイプにカーボン補強を組み合わせています。
その結果、抜群の剛性と長時間弾いても疲れにくい握り心地を両立しています。
ベネチアンカッタウェイは高音域へのアクセスを自然にサポートし、フィンガースタイルを軸にしつつ、時折ストロークも交えたいという方にも、安心してお使いいただける懐の深さを持った一本です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ボディ | Deep Arte Cutaway |
| トップ | ベアクロウ・ジャーマン・スプルース単板 |
| サイド&バック | ブラジリアン・ローズウッド単板 |
| ネック | ホンジュラス・マホガニー 1ピース |
| 指板 | ブラジリアン・ローズウッド |
| ブリッジ | ブラジリアン・ローズウッド |
| カッタウェイ | ベネチアン・カッタウェイ |
| ナット/サドル | ボーン |
| ヘッドプレート | ブラジリアン・ローズウッド(Moonlit Castle インレイ) |
| ロゼッタ | ブラジリアン・ローズウッド |
| バインディング | ブラジリアン・ローズウッド |
| ペグ | GOTOH 510 HAPAオリジナル(エボニーボタン) |
| ナット幅 | 44.5mm |
| スケール | 647.7mm |
| フィニッシュ | ラッカー(グロス) |
| ピックガード | トートイス |
| 付属ケース | 岩本製オリジナル・ハードケース |
特徴・ディテール
ヘッドインレイ「Moonlit Castle」は満月と城のシルエットが絶妙なバランスで配置されたアートワークです。
アバロンの輝きが角度によって表情を変え、静けさと荘厳さを同時に感じさせてくれます。



トップ材にはベアクロウ・ジャーマンスプルースを採用しています。
きめ細かく上品な木目に、ベアクロウ特有の揺らぎが加わることで、視覚的な高級感と、素早いレスポンスを両立しています。



サイド&バックには深い色調のブラジリアンローズウッドを使用しています。
縦に通った美しい柾目が印象的で、豊かなサスティンと奥行きのある倍音を支えています。


ネックには、ホンジュラスマホガニーの1ピースを採用し、優れた強度と安定性を確保しています。
また、フィンガーボードにはブラジリアンローズウッドを使用し、洗練された外観を持たせています。


ロゼッタやブリッジ、バインディング、ブリッジピン、ネックヒールなど、要所にブラジリアンローズウッドを贅沢に配することで音色面、ルックス面ともに統一感のある世界観を生み出しています。



ペグには GOTOH 510 HAPA オリジナルを採用しています。
高いチューニング安定性とスムーズな操作感に加え、GOLD ボタンの予備も付属しており、所有する喜びを一層高めてくれます。
またWater Road Guitarsロゴ入りの岩本製ハードケースが付属いたします



一音鳴らすたびに、“音の風景”が眼前に広がっていくような感覚。
倍音のレイヤーが非常に豊かで、アルペジオ一つ取っても表情が尽きません。
ネックは極薄シェイプ+カーボン補強により、抜群の剛性と長時間弾いても疲れにくい握り心地を両立。
ベネチアンカッタウェイの設計も秀逸で、ハイポジションまでストレスなくアクセスできます。
「フィンガースタイル主体だけれど、時折ストロークもしたい」
そんなプレイヤーにも安心しておすすめできる、懐の深い一本です。
■ ルシアープロフィール:増田 明夫 氏(Water Road Guitars)

増田明夫氏は、日本を代表するギター製作家(ルシアー)であり、その卓越した技術と芸術性から多くのプロギタリストたちに愛される存在です。独特な経歴を持つ増田氏は、元々水道工事業を営んでおり、その経験から「Water Road Guitars」というブランド名が生まれました。「Water Road」は直訳すると“水の道”。この名には、増田氏が水の流れのように自然で美しい音楽を創りたいという願いが込められています。
フィンガーピッキングに特化したアコースティック・ギターの製作を追求する増田氏は、音のクオリティや演奏のしやすさはもちろん、デザインへのこだわりも強く持っています。特に妻・明代氏と共同で手掛けるインレイデザインは、1本1本が全て異なるオリジナル作品であり、楽器に唯一無二の個性を与えています。
全てオールハンドメイドで製作されるWater Road Guitarsの作品は、希少な素材を厳選し、熟練の技術と情熱を込めて仕上げられています。増田氏の作品は、日本国内外を問わず、多くのギタリストにとって愛器となっており、名器としての評価を確立しています。
3-2. Nishihara Guitars / REYDEN SJ German/Jacaranda
| モデル名 | REYDEN SJ German/Jacaranda |
|---|---|
| 販売価格 | ¥1,114,300(税込) |

静かな山あいの古民家を工房とし、「ジャンルを越えて使われるギター」を信条に製作を続ける Nishihara Guitars。
その代表作ともいえるオリジナルシェイプが REYDEN SJ シリーズです。
今回ご紹介する REYDEN SJ German/Jacaranda は、ジャーマン・スプルースとブラジリアンローズウッドという王道の組み合わせを、現代的なバランス感覚でまとめ上げた一本です。
ふくよかで張りのある中低音、鈴のように澄んだ高音の輝き、指弾きからストロークまで破綻せず、どのポジションでもしっかりと歌ってくれるのがこのモデルの大きな魅力です。
フィンガースタイル主体の方はもちろん、弾き語りやバンドアンサンブルにも十分対応できる懐の深さを備えています。
ボディは西原氏オリジナルの SJ シェイプ。低音のふくらみと腰の強さを両立しつつ、フローレンタイン・カッタウェイによりハイポジションの操作性も確保しています。
手にした瞬間に「頼れるフラッグシップ」と感じさせてくれる、オールラウンダーな一本です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| モデル | REYDEN SJ(オリジナルSJシェイプ) |
| トップ | ジャーマン・スプルース |
| サイド&バック | ブラジリアン・ローズウッド |
| ネック | ホンジュラス・マホガニー 1ピース |
| 指板 | エボニー |
| ブリッジ | ブラジリアン・ローズウッド |
| カッタウェイ | フローレンタイン・カッタウェイ |
| ナット/サドル | 無漂白ボーン |
| ヘッドプレート(表) | ブラジリアン・ローズウッド |
| ヘッドプレート(裏) | ブラジリアン・ローズウッド |
| ロゼッタ | ブラジリアン・ローズウッド+パウア(アバロン) |
| バインディング | マッカーサー・エボニー+メイプル |
| ペグ | GOTOH SGL510Z(ブラック) |
| ナット幅 | 44mm |
| スケール | 645mm |
| フィニッシュ | ラッカー |
| 付属ケース | ハードケース |
特徴・ディテール
独自設計の REYDEN SJ シェイプは、低音の懐深さと音像のまとまりを両立した設計です。
フローレンタイン・カッタウェイのシャープなラインが、視覚的にも一本のギターとしての佇まいを引き締めています。


ブラジリアン・ローズウッドはボディだけでなく、ブリッジやヘッドプレートにもふんだんに使用されています。
音色面、外観面の両方で「フラッグシップらしい風格」を感じさせてくれる仕様です。




ロゼッタやバインディングには、マッカーサー・エボニーやメイプルを組み合わせた手工芸的な装飾を採用しています。
派手さではなく、近くで見るほどに仕事の細かさが伝わるタイプの美しさで、所有してから年月を重ねるほど愛着の増していく仕上がりです。


ネック材には1ピース・ホンジュラスマホガニーを採用。風格のある「REYDEN SJ」ラベルがより一層上品さを際立たせています。


全体としてレスポンスに優れながらも、音の芯はしっかりと残る印象で、プレイスタイルを問わず扱いやすい一本だと感じました。
「長く付き合える一本」を探している方に、真っ先におすすめしたいモデルです。
ルシアープロフィール:西原 悠紀 氏(NISHIHARA GUITARS)

1984年 京都府京都市生まれ。
2007年に Headway Guitars に入社し、ギター製作の基礎を学びます。
2012年、京都市にて「NISHIHARA GUITARS」を立ち上げ、自身初のオリジナルモデル REYDEN SJ の製作を開始しました。
2014年には築150年の古民家を改装した自宅兼工房を、京都府京丹波町へ移転。
豊かな自然環境の中で木材一枚一枚と向き合いながら、2015年には新モデル NINE もスタートさせるなど、現在も精力的に製作を続けています。
西原氏のギターには、京丹波の静けさと芯の強さが同居しているような独特の雰囲気があります。
ジャンルやスタイルにとらわれず、「長く弾き続けられる相棒」を求めるプレイヤーから支持されているルシアーです。
3-3. Nishihara Guitars / PADO OM Cutaway MR
| モデル名 | PADO OM Cutaway MR |
|---|---|
| 販売価格 | ¥948,200(税込) |


静かな京丹波の古民家工房から生み出される、NISHIHARA GUITARS。
前項でご紹介した REYDEN SJ が「ブランドを象徴するフラッグシップ」だとすると、この PADO OM は、よりコンパクトなボディながら、驚くほど濃密な“芯”を持った一本です。
スケールは 645mm、ナット幅は 44mm。深い胴厚を採用したOM サイズという設計思想により、取り回しの良さと豊かな音量感を高い次元で両立しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| モデル | PADO OM(オリジナルOMシェイプ) |
| トップ | スイス・スプルース |
| サイド&バック | マダガスカル・ローズウッド |
| ネック | ホンジュラス・マホガニー 1ピース |
| 指板 | エボニー |
| ブリッジ | ブラジリアン・ローズウッド |
| カッタウェイ | フローレンタイン・カッタウェイ |
| ナット/サドル | 無漂白ボーン |
| ヘッドプレート(表) | ブラジリアン・ローズウッド |
| ヘッドプレート(裏) | ブラジリアン・ローズウッド |
| ロゼッタ | ブラジリアン・ローズウッド |
| バインディング | マダガスカル・ローズウッド |
| ペグ | Gotoh SGL510Z BLACK |
| ナット幅 | 44mm |
| スケール | 645mm |
| フィニッシュ | ラッカー |
| 付属ケース | ハードケース |
きめ細かな木目と、ところどころに現れるベアクロウ(Bearclaw)が印象的なスイス・スプルース。
均一で細かい年輪に、ベアクロウ特有の「波打つような杢」がさりげなく入っており、ライトに照らすと表情豊かな陰影が浮かび上がります。
レスポンスが非常に速く、明るく粒立ちの良いトーンが印象に残ります。



濃淡のコントラストが美しいマダガスカル・ローズウッド(Madagascar Rosewood)を採用。
低域は膨らみすぎずタイト、しかし芯がしっかりと残るため、深い胴厚との組み合わせで、OM サイズとは思えない豊かなボリューム感を生み出しています。



シャープに切り込んだフローレンタイン・カッタウェイは、ボディ全体の柔らかなラウンドとのコントラストが美しく、過度な装飾は避けつつも、ラインの取り方や角度に西原氏らしいセンスが光っています。
ボディのバインディングにもマダガスカル・ローズウッドを採用。
ボディサイドとの“材同士のつながり”が生まれ、正面から見ても側面から見ても、ウッドの質感が溶け合うような一体感があります。



ヘッド形状は、まさにルシアー作品ならではの洗練されたスタイリッシュなデザイン。
ヘッド突板の表裏ともにブラジリアン・ローズウッド(Brazilian Rosewood)の突板を贅沢に使用。
深い色味と独特のうねりを持った杢が、シンプルなヘッド形状の中で力強い存在感を放ちます。
ペグには Gotoh SGL510Z BLACK を採用。
チューニングの調整がしやすい滑らかなギアフィールと、演奏中の安定性の高さは、プロユースでも安心して使えるクオリティです。



ネックには、ホンジュラス・マホガニー 1ピースを贅沢に使用しています。
1ピース構造により、振動の伝達ロスを最小限に抑え、ネック全体が心地よく共鳴してくれます。
ナット幅 44mm、スケール 645mm という、いわば“王道スペック”の中に収まるシェイプですが、厚みとテーパーの付け方により、ローコードからハイポジションまで違和感のない移行が可能です。



ロゼッタとブリッジには、ヘッド突板と同じくブラジリアン・ローズウッドを採用。ウッド調のマテリアルでまとめたモダンな雰囲気が特徴です。
近くで眺めると、木目の流れや色味の違いが細かく組み合わされており、派手ではないながらも、所有している人だけが楽しめる“静かな贅沢さ”を感じます。
一般的なブロック状のヒールではなく、ボディ側に向かって滑らかに溶け込むような山形のヒールを採用。
ハイポジションでのプレイ時、左手の親指が自然にヒールに沿って移動できるよう、グリップの流れを意識した形状になっています。




最後に、ケースを開けたオーナーだけが目にするラベル周りのディテールです。
サウンドホールから覗くラベルには、和紙を使用。ほのかに繊維の見える質感と、落ち着いたトーンの印字が、京丹波の工房らしい“和のニュアンス”をさりげなく演出しています。
そして今回入荷した個体のシリアルは、なんと 「#111」。
見た目にも印象的な数字の並びで、記念すべき一本としてオーナーの記憶に残るナンバーではないでしょうか。


深い胴厚を採用した OM サイズの PADO OM。
実際に弾いてみると、その設計意図が非常に明確に伝わってきます。
スイス・スプルースによる明るく粒立ちの良い高域、マダガスカル・ローズウッドと深胴ボディが生み出す、骨太で濃密な中低域と、豊かなサスティン。
フィンガースタイルでもストロークでも破綻しない、レンジの広さと音像のまとまり。
ソロギターやメロディ主体のプレイにおいても、前に出過ぎず、それでいて存在感のある鳴り方をしてくれます。
3-4. HAYASHI Guitars / Hatsune OM IS/HR
| モデル名 | Hatsune OM IS/HR |
|---|---|
| 販売価格 | ¥746,900(税込) |


繊細なタッチの違いを、そのまま音の表情として返してくれる「対話するギター」。
そんな言葉が似合うブランドが HAYASHI Guitars です。
その中核をなす OM モデルが、このHatsune OM IS/HR です。
クラシカルな OM フォルムに、林氏独自の音響理論を落とし込んだ一本で、トップにはアルプス産イタリアン・スプルース単板を採用しています。
サイド&バックにはホンジュラス・ローズウッド単板を組み合わせ、透明感と深みを兼ね備えたサウンドキャラクターを実現しています。
イタリアン・スプルース特有の繊細な倍音と、ホンジュラス・ローズの艶やかで重厚な響き。
この二つが自然に溶け合うことで、コードワークでもソロでも、美しい余韻と立体感のある鳴りを楽しむことができます。
ソロギターや少人数編成のアンサンブルで、自分のニュアンスを丁寧に表現していきたい方に特におすすめです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 構造 | ボルトオン・ネックジョイント |
| ボディサイズ | OM(14フレットジョイント) |
| カッタウェイ | なし |
| サウンドポート | あり |
| トップ | ソリッド・イタリアン・スプルース |
| トップブレース構造 | オリジナルXブレーシング |
| トップブレース材 | ルッツ・スプルース |
| サイド&バック | ホンジュラス・ローズウッド |
| ネック | ジェニュイン・マホガニー(1ピース) |
| 指板 | ブラック・エボニー(カメルーン産) |
| ブリッジ | ブラジリアン・ローズウッド |
| スケール | 643.6mm |
| ナット幅 | 44.5mm |
| フレット数 | 22フレット |
| バインディング | ローズウッド+W/Bパーフリング |
| ロゼッタ | モザイク(アンボイナ・バール/ココボロ/アバロン) |
| ヘッドプレート | ココボロ/アンボイナ・バール/マダガスカル・ローズウッド |
| ヘッドバックプレート | ホンジュラス・ローズウッド |
| ペグ | GOTOH 510(カスタムボタン仕様) |
| サドル/ナット | 無漂白ボーン(コンペンセイテッド) |
| ブリッジピン | ブラック・エボニー(マザーオブパールドット) |
| ケース | グランドオプリ・ファイバーグラスケース |
特徴・ディテール
イタリアン・スプルース×ホンジュラス・ローズウッドの調和。
トップにはソリッド・イタリアン・スプルース、サイド&バックには驚くほどの美しさを誇る最上級グレードのホンジュラス・ローズウッドを採用。
反応の速さと奥行きのある倍音が高次元で融合し、透明感と深みを併せ持つトーンを奏でます。






サウンドポートを搭載しているため、演奏者の耳元に直接響きが届きます。
自分の音を立体的に把握しやすく、微妙なタッチの違いも確認しやすい設計です。
録音やソロギターなど、自分の音とじっくり向き合いたいシーンで特に力を発揮してくれます。


ネックはモディファイドCシェイプで、スケールは 643.6mm、ナット幅は 44.5mm という王道のスペックです。
ハイポジションでは左右非対称のグリップとなるよう設計されており、長時間の演奏でも疲れにくく、フィンガリングの自由度も高く感じられます。




ロゼッタにはアンボイナ・バール、ココボロ、アバロンを組み合わせたモザイクデザインを採用。
同じ材構成がヘッドプレートにも用いられており、楽器全体としての統一感と上品な存在感を生み出しています。
工芸品として眺めていても飽きることのない一本です。





小さなタッチの差が、そのまま音の表情として返ってくるのが Hatsune OM IS/HR の魅力です。
「音が呼吸するギター」という表現がしっくりくるモデルだと感じました。
ルシアープロフィール:林 泰弘 氏(HAYASHI Guitars)
HAYASHI Guitars は、一つひとつを丹精込めて製作するオーダーメイドのアコースティックギターブランドです。
創業者・林 泰弘は、アメリカ留学中にギターの音色の違いに感銘を受けたことをきっかけに、独学で製作を始めました。
以来、伝統的な手法を尊重しつつも、最新技術や知見を積極的に取り入れながら、「演奏者の表現に敏感に応えるギター」を追求してきました。
木材選びから塗装、仕上げに至る全工程を一人で行い、プレイアビリティの高さと独自性を兼ね備えたギターを提供しています。
細部への徹底したこだわりが、「良いギター」と「特別なギター」を生み出し、多くの演奏者の表現を支えています。
3-5. HAYASHI Guitars / Hatsune OM-C GS/MR
| モデル名 | Hatsune OM-C GS/MR |
|---|---|
| 販売価格 | ¥782,100(税込) |


同じく HAYASHI Guitars から、OM カッタウェイモデルの Hatsune OM-C GS/MR。
トップにはジャーマン・スプルース単板、サイド&バックにはストレートグレインのプレミアムグレード・マダガスカルローズウッド単板を採用しています。
ジャーマン・スプルースの張りと素早いレスポンスに、マダガスカルローズウッドの深い倍音とキレのある立ち上がりが加わることで、モダンでレンジの広いサウンドを実現しています。
Hatsune OM IS/HR と同様にサウンドポート、モディファイドCネック、643.6mmスケールといった演奏者目線の仕様を継承しつつ、よりタイトな低音とクリアな高域の抜けを求めるプレイヤーに向けたチューニングが施されています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ボディサイズ | OM II(14フレットジョイント) |
| トップ材 | ジャーマン・スプルース単板 |
| トップブレイシング | オリジナルXブレイシング |
| トップブレース材 | ルッツ・スプルース |
| バック材 | マダガスカル・ローズウッド単板(ストレートグレイン、プレミアムグレード) |
| サイド材 | マダガスカル・ローズウッド単板(ストレートグレイン、プレミアムグレード) |
| ネック材 | ジェニュイン・マホガニー 1ピース |
| ネックシェイプ | モディファイドC |
| 指板 | ブラック・エボニー |
| スケール | 643.6mm |
| ナット幅 | 44.5mm |
| ブリッジ材 | ブラック・エボニー |
| ナット/サドル材 | 無漂白ボーン |
| ロゼッタ | モザイク(コア) |
| バインディング | コア+W/B |
| ブリッジピン | ブラック・エボニー with クリスタル |
| サウンドポート | あり |
| ペグ | GOTOH SGV510 ゴールド |
| 付属ケース | グランドオプリ・ファイバーグラス・ケース |
特徴・ディテール
トップのジャーマン・スプルースは、細かく均一な木目と柔らかな光沢が特徴です。
繊細で透明感のあるサウンドを支え、プレイヤーの表現力をしっかりと受け止めてくれます。



サイド&バックには、非常に希少な柾目のマダガスカル・ローズウッドを厳選して使用しています。
深みのある音色と美しい木目が、高級感と唯一無二の響きを生み出しています。



ヘッドの表面にはマダガスカル・ローズウッド、裏面にはフィギュアード・コアを採用。
見た目の華やかさと耐久性を両立し、細部までこだわり抜かれた職人技を感じさせます。



フィンガーボードには密度が高く耐久性に優れたブラック・エボニーを採用し、滑らかな演奏性と洗練された外観を提供します。
ネックには 1ピースのジェニュイン・マホガニーを使用し、モディファイドCシェイプの快適な形状が、あらゆるプレイヤーに自然な握り心地と操作性をもたらします。



ロゼッタには、美しいモザイクデザインが施され、細部まで丁寧に仕上げられています。この緻密な装飾は、ギター全体の高級感をさらに引き立て、視覚的にも音楽的にもプレイヤーを魅了します。



サイド部分に設けられたサウンドポートは演奏者自身がギターの響きをよりダイレクトに感じられる設計となっています。
この機能は、音の広がりと透明感を一層引き立てるだけでなく、演奏中の繊細なニュアンスもしっかりと確認でき、プレイヤーの表現力を最大限に引き出します。



ネックヒールは滑らかな曲線デザインで高音域の演奏性を向上させ、ブリッジには高密度なブラック・エボニーを使用し、優れた音響性能とバランスの良いサウンドを実現しています。
ナット、サドルにはアンブリーチの高品質ボーン素材を採用し、クリアで豊かなサウンドと長いサスティンを引き出します。



フィンガースタイルからコードストロークまで、一本で幅広くこなしたい方にとって、心強い相棒となってくれる一本です。
3-6. K.Yairi カスタムショップ 丹羽 雪男 / NL CUSTOM #231
| モデル名 | NL CUSTOM #231 |
|---|---|
| 販売価格 | ¥995,500(税込) |


国産ハンドメイドの代表格として、多くのギタリストから支持を集める K.Yairi。
その中でも「お客様のためだけの一本」を形にする存在が、カスタムショップのマスタークラフトマンたちです。
今回ご紹介するモデルは、そのカスタムショップの中核を担う丹羽 雪男(にわ ゆきお)氏 が手掛けたオリジナルシェイプ LO。
000〜OM サイズとドレッドノートの中間的なイメージで、抱えやすさと十分な空気量を両立した独自シェイプ。
ローミッドに程よいふくらみを持たせつつ、高域の抜けもしっかりと確保された、オールラウンダーなキャラクター。
弾き語り、バンドでのバッキング、ソロギターと、シチュエーションを選ばず使える「頼れる一本」という印象です。
木材選定のスペシャリストとして知られ、一本一本の木の「声」を聴き分けながら、最適なブレーシングと仕上げで、唯一無二の響きを引き出していきます。
| モデル | LO(オリジナルシェイプ) |
| トップ | アディロンダック・スプルース |
| サイド&バック | インディアン・ローズウッド |
| ネック | ホンジュラス・マホガニー 1ピース |
| 指板 | エボニー |
| 指板インレイ | スノーフレイクス(中抜き仕様) |
| ブリッジ | エボニー |
| ピックガード | ジリコテ |
| ナット/サドル | ボーン |
| ヘッドプレート(表) | インディアン・ローズウッド |
| ロゼッタ | アバロン/フィギュアド・ウォルナット |
| パーフリング | アバロン |
| バインディング | フィギュアド・ウォルナット |
| ペグ | Gotoh SGL510Z Gold |
| ナット幅 | 43mm |
| スケール | 645mm |
| フィニッシュ | ラッカー |
| 付属ケース | ハードケース |
特徴・ディテール
トップには、ヴィンテージ・マーティンなどでもおなじみの銘材アディロンダック・スプルースをセレクト。
丹羽氏の綿密なブレーシング設計と組み合わさることで、「鳴らし込むほどに応えてくれるトップ」として、長く育てていきたくなる材です。



サイド&バックには、アコースティックギターの定番ともいえるインディアン・ローズウッドを採用。
丹羽氏セレクトの材は落ち着いたダークブラウンをベースに、ややパープルがかった色味が縦方向の杢として現れる、美しい個体。



シンプルなヘッドシェイプの中央にあるYマークはメイプルとコアのコンビネーション。楽器全体の世界観を統一しています。
ペグは日本が誇るハードウェアメーカー Gotoh のフラッグシップ、SGL510Z をゴールド仕様で搭載。微妙なピッチ調整もスムーズに行えるギア比と、長時間演奏でも狂いにくい安定性が魅力です。



ネックには、上質なホンジュラス・マホガニー 1ピースを採用。
漆黒のエボニー指板にマザーオブパールを使用したスノーフレイク(中抜き仕様)インレイを組み合わせています。
プレイヤーの視界に常に入る部分だからこそ、派手すぎず、しかし特別。丹羽氏らしい「控えめな華やかさ」のバランスが光るポイントです。



ロゼッタや外周の装飾には、アバロンとフィギュアド・ウォルナットを組み合わせた、カスタムショップならではの手の込んだ仕様。
本モデルのルックス面での大きなアクセントが、ジリコテ製ピックガード。杢目のコントラストが唯一無二の特別感を演出しています。



バインディングには、美しい杢を持つフィギュアド・ウォルナット、パーフリングにはアバロンを使用。トップのアディロンダック、サイド&バックのインディアンローズとの間を“木材同士のグラデーション”で繋ぎ、楽器全体の一体感を生み出しています。
ブリッジ本体の形状、エッジの仕上げも非常に丁寧で、いかにもカスタムショップらしい精度感があります。



ハードケースは上質な仕上げに定評のある岩本ケースを採用。
カスタムショップ認定書が付属するのも嬉しいポイントです。



ルシアープロフィール:丹羽 雪男 氏(K.Yairi Custom Shop)

K.Yairi Custom Shop でマスタークラフトマンとして活躍する丹羽 雪男(にわ ゆきお)氏は、
木材選定のスペシャリストとして知られ、「K.Yairi の音作りの根幹」を支える存在です。
一本一本の木材の個性を見極めながら、最適なブレーシング設計と厚み取りを施し、外観においても細部まで妥協のない丁寧で美しい仕上げを徹底する、高度な技術をもった職人として国内外から高い評価を集めています。
半世紀以上にわたり受け継いできたヤイリの技術とものづくり思想を、次の世代へ伝えていくことも、現在の丹羽氏に課せられた大きな使命です。
木工の基礎からギターづくりの哲学まで、その背中を通じて若手クラフトマンに継承し続ける――
まさに「K.Yairi Custom Shop の要」といえる職人です。
3-7. 近日入荷予定モデルのご案内
フェア開催期間中、以下のモデルも順次入荷予定です。
準備が整い次第、本ページおよび各店ブログにて詳細を更新いたします。
K.Yairi カスタムショップ
小池 健司氏 作品
価格:¥1,066,230(税込)
入荷情報は随時ギタセレ・各店HPでご案内いたしますので、ぜひチェックしてください。
4. 「島村楽器でしか出会えない一本」を求めて
ルシアーズセレクション(Luthiers Selection)は、単に高価なギターを集めたフェアではありません。
- それぞれのルシアーがどんな想いで木と向き合っているのか
- どのような音をイメージし、どんなプレイヤーに弾いてほしいと願っているのか
- そして、その一本がこれからどんな“音楽の物語”を紡いでいくのか
そうした背景ごと体感していただくための場が、今回の企画です。
「一生モノの一本を探したい」
「ルシアーギターの世界に、最初の一歩を踏み出してみたい」
そんな方は、ぜひこの機会に仙台ロフト店・アミュプラザ博多店・広島パルコ店のルシアーズセレクションフェアへ足をお運びください。
店頭では、各モデルのサウンド傾向や設計の違い、ルシアーごとの個性についても、できる限り丁寧にご案内いたします。
皆様のご来店を、心よりお待ちしております。
ルシアーズセレクション展開店舗
まずは以下の6店舗からスタートします!お近くの方はぜひ足を運んでみてください!
※店舗によって展示モデルや在庫状況が異なる場合がございます。






