皆さんこんにちは。ミーナ町田店の石田です。
普段執筆している連載「逸品入魂」の番外編として、12/9~12/10にて行われるギタラバTOKYOの先出し情報をご紹介します。
昨年に引き続き、ミーナ町田店では“Machida Collection”(マチダコレクション)と銘打ち、このイベントの為にカスタムオーダーした1点ものを中心に、ここでしか見られない特殊なモデルをズラっと展示。
様々なジャンルやスタイルの楽器をお楽しみいただけます。
今回は町田市に居を構える「小林一三」氏による、ジャズスタイルの箱モノギターの紹介です。
小林一三
茶位工房を経て独立、著名なクラシックギター製作家でありながら、アーチトップ、アコースティック等あらゆる弦楽器製作に精通する小林一三氏。
各種最上級木材を豊富にストックしている一三氏にミーナ町田店では今までも様々なカスタムオーダーを行ってきました。
新たなアプローチに挑戦したフルアコースティックギター
ジャズギターの代名詞ともいえるブランドの国産モデルを手掛けていた小林氏。
現在一三ブランドではその名も“Jazz”というモデルで15.5インチの少し小ぶりなモデルを非常に少数生産ながらリリースしています。
そのJazzを基に、従来とは異なる着眼点にてアレンジしたのが今回の出展モデルです。
私自身ロック系のギタリストなので所謂フルサイズのフルアコであるES-175などはあこがれはあるのですが、ボディの大きさによる取り回しの問題や、ハウリングなど、少し敷居を高く感じていました。
Jazzは少し小ぶり(ES-275くらいのサイズ感)ではあるのですが、まだ少し大きい...という事でもうワンサイズ小さく出来ないだろうか、というところから構想が始まっています。
Jazz German Spruce / Brazillian Rozewood / European Maple
通常のJazzはいわゆるオーソドックスな175スタイルを踏襲しており、スプルーストップ・メイプルサイドバック・マホガニーネック・エボニー指板という木材構成。
このモデルに関してはサイド材と指板材になんと、「ハカランダ」を使用しています。
元々はインディアンローズを使用予定だったのですが、イベントに出展するということで小林氏の好意で一気にグレードアップ(しかもお値段ほぼ据え置き)!
この楽器を手にできる方は本当に幸運だと思います。
サイズを小さくするにあたって、ただサイズを小さくするだけではサウンドもトーンダウンするだけなので設計なども見直さなければなりません。
フルアコの鳴り方を考えると、振動のメインとなるネックやトップ材、反響板であるバック材と見ていったときにサイド材に関してはそれらを支える屋台骨のような役割となります。
その部分の強度を上げる事で全体的な鳴りの変更が可能なのではないかという事を思いつき相談したところ、もともとクラシックギターでも「ダブルサイド」というサイド材を2種類貼り合わせた構造のものがあり、その応用で行けるのではということでした。
その為、小林氏の手持ちの材の中でも扱いなれているだろうローズウッドをサイドに使用してほしい、ということでオーダーがスタートしています。
ボディサイズは1インチ落として14.5インチ。厚みはあえて変えていません。
普段ソリッドギターを弾いている方にはかなりフレンドリーなサイズ感になりました。
サイズダウンしたことで、なんとクラシックギターのケースがジャストフィット。
元々bamのフライトケースが付属しますが、持ち運びのサイズ感も小さくなるのは嬉しいですね。
バック材のヨーロピアンメイプルは選定材。
あまり派手過ぎないように、という選び方だったはずが割ととんでもないことになっていますね...
※こればかりは削り出しなので削ってみないと分からないという事で。
ネックのホンジュラスマホガニーも極上です。
演奏時のフィット感は丁寧に作られた手工品ならでは。
指板のハカランダはエボニーと見紛う色の濃さ。
弾き込むことで更に濃さを増していくでしょう。
本題のサイド材は墨流しが入った、木フェチにはたまらない素晴らしい逸品。
本当にこの材使ってこの値段でいいんですか???
プレイヤーにも自信を持ってお勧めできる逸品
貴重なハカランダを使用したモデル、というだけでなくサウンドや演奏性、対応力も兼ね備えた1本です。
その実力を是非ご体感ください。
ギタリスト「有賀教平」さんによる演奏
ギタラバTOKYO開催に先駆けて開催された事前ライブ配信の中でギタリスト「有賀教平」さんに本楽器を演奏いただきました。
会場でお待ちしております!
今回紹介したものは展示楽器のごく一部です。
小林一三の他にも様々なブランド・メーカーの楽器が展示されます。
是非会場にて実際にお試しください。