YAMAHA 50年の歴史を紡ぐ FG/FS アコースティックギターの世界
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「850」
これまでのRed Labelとは違って、モデル名の数字が3桁になるのがノーマルのFG/FSシリーズです。その中でも最も個性的なモデルがこの「850」です。
トラッド・ウェスタンタイプ・ボディのFG850、フォークタイプ・ボディのFS850、それぞれ1カラーずつ2機種のみのラインナップです。
- TOP / SIDE / BACK、ボディすべてがマホガニー製 (TOPは単板)
- 650 mm (約25 inch) スケール
- ナトー・ネック / ローズウッド指板&ブリッジ
- ダイキャスト・クローム・ペグ (TM29T)
- スキャロップXブレイシング
- ソフトケース付属
1. TOP / SIDE / BACK、ボディすべてがマホガニー製 (TOPは単板)
バックとサイドはマホガニー製のギターは世に多く存在しますが、マホガニーTOPのギターはなかなか珍しいです。TOPのマホガニーは単板のため、しっかり弦の振動を効率的にボディ内に落とし込んでくれます。さらにサウンド面では、マホガニー独特の豊かな中音域が、このモデルの個性を際立たせています。
ボディ材だけでなく、バインディングまでマホガニーで制作されているため、他のモデルとはルックス面でも特徴的です。
2. 650 mm (約25 inch) スケール
ノーマルFG/FSのRed Labelと決定的に違うポイントがスケールです。650 mm (約25.5 inch)が採用されており、弦のテンションが上がって振動が増幅しやすくなっています。それによってサイドとバックが合板であるというポイントをしっかりカバーしています。
3. ナトー・ネック / ローズウッド指板&ブリッジ
比較的高価な材であるマホガニーをボディー全面に使用している850。販売価格の高騰を抑えるべく、他のポイントでコストを抑えています。
木材辞典でも掲載しているとおり、マホガニーによく似たナトー材をネックに採用しています。マホガニーはセンダン科マホガニー属、中南米が産地の広葉樹ですが、ナトーはアカテツ科グッタペルカノキ属、東南アジアが産地の広葉樹。産地は全く違うものの、同程度の気乾比重の材であればかなり特徴が近いものです。強度面でも、そこはYAMAHAですから、選定してしっかり乾燥させていると思います。安心できる材といえます。
指板、ブリッジは広くギターに使用されているローズウッド材です。こちらに関してもエボニーよりも気乾比重が低くはなりますが、かなりの硬度を誇る材です。
4. ダイキャスト・クローム・ペグ (TM29T)
YAMAHAらしい、安定感のあるTM29Tペグを採用。チューニングの信頼性も高いです。
5. スキャロップXブレイシング
こちらはRed Label同様、スキャロップXブレイシング。ブレーシング木材の真ん中部分を大きく削り、ブレーシングの強度を落とすことでボディ振動を増幅させる、Xブレイシングです。過去の経験や推測に基づいた開発ではなく、音の実験、解析をとことん行い、科学的に音の進化を解明しているヤマハ技術者によって、ボディ全体の強度と振動効率が計算されつくした設計です。
6. ソフトケース付属
最も可搬性に優れたソフトケースが付属します。ビギナーとして購入後、ストリートへ、スタジオへ、ライブハウスへ、マイギターを持っていくことが容易にできます。
ノーマルFG/FSシリーズの最上位モデルは、他モデルよりも個性が際立つマホガニーモデルです。
モデル | FG850 | FS850 |
メーカー希望 小売価格 |
(税込) ¥55,000 (税抜 ¥50,000) | (税込) ¥55,000 (税抜 ¥50,000) |
販売価格 | (税込) ¥46,750 (税抜 ¥42,500) | (税込) ¥46,750 (税抜 ¥42,500) |
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「840」
トラッド・ウェスタンタイプ・ボディのFG840のみがラインナップされている840。一般的なスプルース単板TOPながらサイドとバックにはフレイムメイプルが採用され、これも特徴的なモデルといえます。
- サイド・バックに美しいフレイムメイプルを採用
上記以外は850と同様の仕様です。
1. サイド・バックに美しいフレイムメイプルを採用
フレイムメイプルによる効果は見た目の美しさだけではりません。気乾比重も硬度も高いメイプルは、クリアで歯切れの良いサウンドを生み出してくれます。
数字は「840」ということで850の下のモデルに見えますが、価格はまったく同等。同列の別仕様モデルという位置づけですね。
モデル | FG840 |
メーカー希望 小売価格 |
(税込) ¥55,000 (税抜 ¥50,000) |
販売価格 | (税込) ¥46,750 (税抜 ¥42,500) |
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「830」
830は840のサイドとバックをローズウッドで制作したモデルです。その他仕様は全く同じです。
- ボディサイド・バックにローズウッドを採用
- カラーラインナップはFG3種、FS3種、合計6機種
サイド・バックにローズウッドを採用
気乾比重を比べると、メイプル:0.7、マホガニー:0.65、そしてローズウッドが1.04。最も比重が高いのがローズウッドです。そのためサウンド傾向も明快でありつつ、弦に振動が残るためサスティンも長めになります。サイド&バックがローズウッドのギターは世の中にも多数存在しますが、TOPのスプルースと共に王道の組み合わせといえるでしょう。
2. カラーラインナップはFG3種、FS3種、合計6機種
上記画像の通り、カラーラインナップが850、840よりも豊富なのが830の魅力とも言えます。
FG830 | FS830 |
ナチュラル(NT) | ナチュラル(NT) |
タバコブラウンサンバースト(TBS) | タバコブラウンサンバースト(TBS) |
オータムバースト(AB) | ダスクサンレッド(DSR) |
比較的スタンダードなカラーラインナップなので、抵抗なくすんなり持つことができそうです。
モデル | FG830 | FS830 |
メーカー希望 小売価格 |
(税込) ¥46,200 (税抜 ¥42,000) | (税込) ¥46,200 (税抜 ¥42,000) |
販売価格 | (税込) ¥39,270 (税抜 ¥35,700) | (税込) ¥39,270 (税抜 ¥35,700) |
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「820」
最もカラーラインナップが豊富なシリーズが820です。830とほぼ同スペックではありますが、ボディサイド、バックがマホガニー製になっています。
- ボディサイド・バックにマホガニー材を採用
- 他シリーズにはない青系が追加された10モデル
1. ボディサイド・バックにマホガニー材を採用
アコギのサイド・バック材としてかなりポピュラーな材である、マホガニー材を採用しています。メイプルやローズウッドと比べると、比較的硬度が低めなので温かみのあるサウンドが特徴です。
2. 他シリーズにはない青系が追加された10モデル
820の最も特徴的な点の一つは、青系カラーでしょう。
FG820にはSB (サンセット・ブルー)カラーがラインナップ。ボディ外周の濃い青から、中心部に向かって鮮やかな青に移り変わるバーストカラーです。
FS820にはTQ (ターコイズ)カラー。天然石のターコイズ(トルコ石)から名付けられたであろうそのカラーは、ターコイズらしい鮮やかな青が特徴的。
他にも魅力的なカラーがラインナップされている820は、全8モデルです。
FG820 | FS820 |
ブラウンサンバースト(BS) | ルビーレッド(RR) |
ナチュラル(N) | ナチュラル(N) |
ブラック(BL) | ブラック(BL) |
サンセットブルー(SB) | ターコイズ(TQ) |
オータムバースト(AB) | オータムバースト(AB) |
YAMAHAアコースティックギターの中で販売数1位に輝く820。価格的にもカラーラインナップ的にも、ビギナーの心を鷲掴みにするのにはやはり理由がありますね。
モデル | FG820 | FS820 |
メーカー希望 小売価格 |
(税込) ¥40,700 (税抜 ¥37,000) | (税込) ¥40,700 (税抜 ¥37,000) |
販売価格 | (税込) ¥34,595 (税抜 ¥31,450) | (税込) ¥34,595 (税抜 ¥31,450) |
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「800」
スキャロップXブレイシングやスプルース単板トップなど、他の800番台シリーズの仕様はそのまま継承しつつ、バックとサイドの材を「ナトーまたはオクメ」に変更することでコストダウンを図り、高いコストパフォーマンスを実現したのが「800」です。
- ボディサイド・バックにナトー、またはオクメ材を採用
- カラーはナチュラル(N)のみ
1. ボディサイド・バックにマホガニー材を採用
他の800番台モデルのネックでも使用されている、アカテツ科グッタペルカノキ属、東南アジアが産地の広葉樹であるナトー。マホガニーの特徴に近い材です。
オクメ材はカンラン科オクメ属の広葉樹。産地は西アフリカが中心です。こちらもマホガニーの代用材として一般的な木材です。
「800」はこれらの材を時々に応じて使用することでコストを抑え、高いコストパフォーマンスを実現しています。
2. カラーはナチュラル(N)のみ
カラーラインナップをナチュラルのみにすることでも、コストを抑えていると思われます。低価格で購入できるギターを生み出す努力はいたるところに見受けられます。
モデル | FG800 | FS800 |
メーカー希望 小売価格 |
(税込) ¥37,400 (税抜 ¥34,000) | (税込) ¥37,400 (税抜 ¥34,000) |
販売価格 | (税込) ¥31,790 (税抜 ¥28,900) | (税込) ¥31,790 (税抜 ¥28,900) |
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次のページでは、YAMAHAと島村楽器のコラボレーションで生まれたモデルを見てみます。