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【徹底検証】ギター・シールド徹底比較 その14 ~改めて定番 DiMarzio & VOX~

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VOX

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VOXに関しても言わずもがなです。アンプメーカーからスタートした世界に名だたるメーカーです。

1958年にThomas Walter Jenningsによって創設されたJennings Musical Industries(JMI)によって世に出されたのがVOX AC15。それからFenderアンプの高出力化に対抗して、あの名器「AC-30」を発売。AC-30は世界を席巻し、今でもスタンダードモデルとして販売されています。
そんなVOXから発売されているシールドが数種類あります。今回はその中でも「エレキギター用」と銘打たれたモデルを取り上げます。

④VGC13 S/L 4m

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(型番/JANコード) VGC13 / 4959112051829
メーカー希望小売価格 (税込) ¥4,950 (税抜 ¥4,500)
販売価格 (税込) ¥4,950 (税抜 ¥4,500)

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プラグは金メッキ処理されたオリジナル・プラグ。真鍮製の1ピース仕様コネクターを採用しています。
それによってチップの不具合による故障を解消しています。

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VOXシールドの特徴のウチの一つ「四角型L字プラグ」。

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「ブレーデッド・クロス・ジャケット」とVOXが呼んでいる編みこみシース。今回の「定番」シールドは全て編みこみですねぇ。
これシールド自体が柔らかくなって取り回しが楽になるから良いんですよねぇ。

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【ギター】VOXのシールドは概して音量があります。高域にピークがあって、さらにVintage感を感じる質感。コードで暴れまわるフレーズなどで気持ち良く鳴ってくれると思います。

【ベース】不思議と感じるvox感。ベースを弾いてもvoxアンプらしさを感じます。ヴィンテージ感のあるサウンドと荒々しさ。しっかりとした丸みのある低音を好む方はツボにはまるケーブルです。

VOXのシールド、これまで鳴らした事が無かったのが悔やまれるくらいです。非常に優秀なシールドだと思います。明るめのトーン、しかりした音量感、クリアさ、ノイズの少なさとどれも高評価です。そして何と言っても...
前回のPRSの時のような、「メーカーの個性を感じられる」という点が素晴らしい。鳴らした瞬間にVOXアンプを鳴らしているかのような、ヴィンテージ・ライクなサウンドになるんですよ。ハイクオリティなのにヴィンテージ・ライクってすごく間逆な事を言っているのは重々承知なのですが、実際感じられるんだから仕方ない...

ともかく、往年のロックやハードロックなどをハイクオリティなサウンドで演りたいのであれば、VOXかなりオススメです!!

検証後記

「定番」で価格もほどほどという事で(一部お高いですが)「まあ一般的に可も無く不可もなく、といったシールドかなぁ...なんて高を括って検証したら、驚きの結果となりました。定番はそのクオリティだからこそ定番になり得たのだという事ですね。

DiMarzioシールド・コンセプト等

DiMarzioシールドはどのモデルも一貫して

  • AWG 20 (0.519 mm2) の芯線
  • Polyethylene inner with PVC outerの絶縁体
  • PVC + Nylon Overbraidのシース

を採用しています。
通常モデルにおいてもアーティストモデルにおいても、数値的に静電容量(キャパシタンス)のわずかな変化しかないので、シールドケーブル自体は同じ物を採用していると思われます。(非公表情報なのであくまで予想です) そのためそれぞれの変化はプラグ形状等から生まれていると想像出来ます。

~Steve Vai モデル~

Steve Vaiモデル「EP1710SV」はSwitchcraft製ではあるものの、オリジナル形状のものです。

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両側の違いはVaiロゴの有無。

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DiMarzioサイトにも掲載されている通り、銀製のハンダ金メッキプラグが特徴。画像10の「ストレイン・リリーフ」という機構で、シールドが引っ張られても断線しにくい構造になっています。

~John5 モデル~

John5モデル「EP1710SS」もプラグには「ストレイン・リリーフ」が採用されています。

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基本的な構造はVaiモデル同様ですが、プラグ自体が金メッキされていないのでそこで音質変化が現れてくるのでしょう。

VOXシールド・コンセプト

VOXサイトにはそのコンセプトや経緯がこと細かに記載されています。とても長い文章なのでここで要約したいと思います(笑)

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~芯線の太さ~

  • 太い伝導体→より正確な再生ができ、また低周波を発生する傾向
  • 細い伝導体→高周波を発生

という実験結果から生まれたのがVOXのマルチ・ゲージ構造による芯線です。モデルによってそのサウンドを決定付けるべく、出したい周波数帯を出せるよう太い伝導体と細い伝導体を組み合わせて作り上げたのです。

~芯線の素材~

  • 通常使われる銅→導線から導線へと電流が交差するのと同種類の歪みを生じる
  • OFC(無酸素)銅→歪みを誘発しにくい

このため、VOXの芯線はOFC(無酸素)銅を採用しています。

~絶縁体素材~

  • PVC(ポリ塩化ビニール)→一般的・コストがかからない・電流特性のため、信号ロスが発生
  • ポリエチレンとポリプロピレン→絶縁性に優れ、なおかつ信号ロスが少ない

という事で、VOXのシールドはモデルによってポリエチレンかポリプロピレンが使い分けられています。

~コネクター~

1/4インチ(6.3mm)コネクターは2 ピース仕様が主流です。これは先端のチップはロッドにはめこんでいるだけなので、注意して扱わないとゆるんでしまう等のリスクがあります。コストが安い反面、故障しやすい傾向があるという事です。

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↑一般的なコネクター

そこでVOXは真鍮製の1ピース仕様を採用しました。

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コネクターのチップとロッド/コンタクト部分両方が一体となっているので、チップの不具合による故障を解消したとの事。さらに経年変化や腐食に強い24金メッキ仕上げなので、長い間同クオリティで使い続けられるというワケです。

総評

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※空欄はメーカー公表ナシ
※クリックすると拡大表示されます。

「定番」といってもあくまでブランド的に名が知れている、というのが今回取り上げたモデル。CANAREやBelden、MONSTERなどは名が知れていてお店でも多々目にすることができ、身近だと思いますが、DiMarzioやVOXはお店ではあまり見かけないかもしれません。そういったブランドだからこそ興味がわいて検証してみたのですが、改めてもう一度言います。

DiMarzio、VOXはもっと評価されていい!!

いや、されるべきだと思います。特にDiMarzioのEP1700シリーズ。今回の中で最もお安いのですが、そのサウンド・クオリティや取り回しの良さ、更にカラーの豊富さを考えると、使わない手はないですよ!

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