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アコギ用ピックアップの構造と原理、長所と短所

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アコギ用ピックアップの構造と原理、長所と短所

記事中に掲載されている価格・税表記および仕様等は予告なく変更することがあります。

こんにちは!
ギタセレ中の人です。

アコギのピックアップって…

生のアコースティックギターをお持ちの方で、以下のようなことが必要なシチュエーションに遭遇することがあります。

  • 大勢の人前で演奏する
  • バンドの中で演奏する
  • エフェクトをかける
  • レコーディングで狙ったサウンドを出す

そんな時に必要なのが「アコースティックギター用のピックアップ(以下PU)」です。

PUがあればそれを経由して音を信号に変換することができ、アンプやスピーカーで音量を上げたり、エフェクトをかけたり、レコーディングしたりできるようになります。
※レコーディングの場合はギターの前にマイクを立てるパターンももちろんあります。

エフェクトって何?という方はこちらの記事を。

しかしこれまではそんなもの無くても生音で素晴らしい音を奏でてくれていたアコギ。
急にPUなんて言われても「???」ですよね。

そんな皆さんのために!
今回はアコギ用PUとはなんぞや?をご紹介いたします。
皆さんがアコギ用PUを選ぶ一助となれば幸いです。

アコギ用PUの種類

アコギ用のPUは、大きく分けると主に3種類存在します。

  1. マグネティックPU
  2. ピエゾPU
  3. デュアルタイプ

それぞれ特徴を持っていて、選び方も人それぞれです。
使用用途によって変わりますので、詳しく見ていきます。

1. マグネティックPU

マグネティックPUは、エレキギターのPUと同じ構造。
形も同じような形をしています。
こんな感じです↓

エレキギターのPUそっくりですよね?

マグネティックなので、当然弦が振動してそこから誘電うんぬん…。

これがマグネティックPUの原理です。

①で、コイルに電気を流すと(黄色い矢印です)、コイル内に磁界が発生します。
逆に、②のようにコイル内の磁界を動かしてやると、電流が発生します。
これを「フレミングの手の法則」と言います。
※中学生の時の理科で習った「フレミングの手の法則」とは違いますのでご注意ください!

コレを利用したのが③のマグネティックPUです。

磁石の上に乗ったボビンの上にある弦が振動することで磁界が発生。
電流としてアンプに送られます。
簡単に言うとこんな原理です。

2. ピエゾPU

普及率に反して、構造に関してはマグネティックPUよりも少しなじみが薄い気がするピエゾPU。

ピエゾPUは“piezoelectric element”、すなわちピエゾ素子と呼ばれる圧電素子が云々…

これがピエゾPUの原理です。

まず①の「ピエゾ素子」というものは、

  • A.力を加えると電気が生まれる
  • B.電気を与えると形が変わる

という性質を持ってます。

Aの性質を利用して、②のように箱の中にピエゾ素子を入れ、それを特定の場所に取り付ける

その場所が振動するとピエゾ素子にも振動が伝わり、電気が生まれる

その電気がアンプに伝わって音になる

これがピエゾPUの原理と構造です。

ピエゾPUは③の位置に設置するのが一般的です。
インブリッジPU(アンダーサドルPUとも呼ばれます)はサドルの下です。
コンタクトPUは設置する場所によって音が変わるので人それぞれですね。

3. デュアルタイプ

その名の通り、2つの方式をミックスして集音するタイプです。

マグネティックPU + コンデンサーマイク

ピエゾPU + コンデンサーマイク

さぁここで登場しました新ワード「コンデンサーマイク」。

詳しい説明は姉妹サイト「Digiland」に任せます。

超ざっくりと言います。
コンデンサーマイクは「レンジの広い繊細な音を拾うことができるマイク」です。

前述したマグネティックPU、もしくはピエゾPUで集音した音にコンデンサーマイクで集音した音をミックスして使うわけです。

どうしてミックスするの?
それは各々のPUに長所と短所があるからです。

PUの長所・短所

さてここまで3種類のPUがあることが分かりました。
そこで疑問が…

「結局どれがいいの?」

実は「コレがイイ」って一言で言うのは難しいんです。
それぞれに一長一短ありまして…。

種類 長所 短所
マグネティックPU ・ハウリングに強い
・中低域が豊かでパワフル
・取り外しが容易なものが多い
・音がこもりがち
・ナイロン弦に使用不可
・ボディ鳴りはほぼ拾わない
ピエゾPU
(インブリッジPU=アンダーサドルPU)
・音量がしっかり得られる
・クリアで透明感のあるサウンド
・ナイロン弦にも使用可
・ハウリングにほどほどに強い
・ボディ鳴りを拾いづらい
・高音域が強調される
・取り付け時にギターに加工が必要
ピエゾPU
(コンタクト)
・木材の振動を拾うため音が自然
・取り外しが容易
・貼り付け位置で音をコントロールできる
・ハウリングに若干弱い
・取り付け位置の設定により音質にバラツキが出る
コンデンサーマイク ・最もクリアで自然な音質
・空気感も拾える
・狙う場所を選べる
・ハウリングに弱い
・電源が必要
・見栄えが少々よろしくない

それぞれが良いところ、悪いところを持ち合わせていますので、使用環境にあわせて選ぶことが大事です。

まとめ

いかがでしたか?

中の人は「マグネティックPU + コンデンサーマイク」を愛用しています。
具体的にはコチラ。

選択理由を列挙します。

  • 「ピエゾPU(インブリッジPU) + コンデンサーマイク」が生音(ピックアップで拾わない素で聞こえる音)に近くて理想的
  • しかしインブリッジPUはサドルを削り埋め込む加工が必要
  • サドルを削ると少なからず生音が変わる 総じてあまり生鳴りしなくなる
  • 生鳴りは失いたくない!
  • それでは自分で脱着ができ音的にも良いマグネティックPUにしよう
  • でもマグネティックPUではボディ鳴りをあまり拾えない
  • それでは「マグネティックPU + コンデンサーマイク」にしてお互いの長所短所を生かそう!
  • しかもワイヤレスだから扱いやすい!

…というものです。

選び方は様々。
自身に向いたPUを見つけられると良いなぁ…と思います。

次回からは人気の高いマグネティックPUを比較していきます。
お楽しみに!

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