T’s Guitars × 島村楽器特別モデル 現地工房オーダーレポート
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先日公開された Sugi Guitars工房でのオーダーレポートはご覧いただけましたでしょうか?
実はこのタイミングで同じく国産ギターの名工である T's Guitars(ティーズギター)工房にも訪問しており、こちらでも入念なミーティングのうえ特別なギターをオーダーしてまいりました。
今回もオーダーの様子を余すことなくレポートいたしますので、ぜひお楽しみくださいませ。
オーダーレポート
画像を見ていただくと分かる通り、当日は雲一つない快晴でした。
工房のイメージカラーにも鮮やかなブルーが採用されており、空とのコントラストを楽しむと同時に「良い木材・楽器に出会える予感」を確実なものにしながら一同は工房内へ進みます。
ミーティングには CEOである「高橋謙次」氏がご参加くださいました。
当社からは静岡パルコ店より平林、新宿ペペ店より野原・渡邉、八王子店より廣瀬が参加し、オーダーの全体像やサウンド、ルックスのイメージを伝えて意見交換を行ないます。
今回の企画の目玉は「希少なブラジリアンローズウッド(ハカランダ)材をネックに使用」すること。
ワシントン条約(CITES)Ⅰに指定され、輸出入が制限されているブラジリアンローズウッド材ですが、サスティーンやレンジ、倍音成分など「ギター」という楽器には非常に適したトーンウッドです。
画像は実際に使用するブラジリアンローズウッドネック材の一部。
希少材ということは周知の事実ですが半年前よりオファーを続けた結果、国内業者より特別に仕入れていただいた材で、1984年に国内に入荷したのち40年ほどのシーズニングを経たことでコンディションが安定しており「まさにネックに最適」ともいえるものになっています。
ファーストロットモデル紹介
半年前にハカランダネック用にセレクトしたマテリアルの進捗状況を確認しにいきます。
冒頭では現在製作が進んでいるファーストロットモデルをご紹介していきます。
フレットが打ち込まれる前のハカランダネックです。
半年前にオーダーしたモデルは成形された状態で確認することができました。
特徴的なインクラインが入っていることが確認できます。
5本並んだうち、上から3本のハカランダネック材はやや薄めのブラウンカラーですが、なんとカーリー杢が全体に入ったフィギュアド・ハカランダ材です。
3本のみですが、この希少なマテリアルを使用してオーダーしています。
DST24 Brazilian Rosewood Neck Exotic Curly Maple Top Honduran Mahogany Back
こちらは半年前にオーダーした1本で、レギュラーソーンにカーリー杢が入ったエキゾチックなメイプル材をボディトップにセレクトしました。
ボディバックには、メイプルトップと非常に相性が良いホンジュラスマホガニー材を使用しています。
王道のボディ材にハカランダネックを組み合わせることで、ロングサスティーンとデタッチャブル特有の立ち上がりの良さに、リッチな中低域をプラスしています。
展示店舗:静岡パルコ店
DST24 HOLLOW Brazilian Rosewood Neck Curly Cralo Walnut Top 1P Curly KOA Back
こちらも半年前にオーダーした1本。
カーリー杢が入った高質なクラロウォルナットをボディトップに使用し、ボディバックにはカーリーコア材をワンピースで用いた贅沢な1本です。
こちらは総重量とサウンドを考慮してホロウボディを選択しています。
ハカランダネック+1Pカーリーコア&カーリーウォルナット・ボディという、恐らく2度と実現しないスペックです。
展示店舗:静岡パルコ店
DST24 Brazilian Rosewood Neck Waterfall Burl Maple Top Honduran Mahogany Back
木材保管庫にて、この放射状に広がるウォーターフォール・バールメイプルのトップ材を見つけた時に沸いたイメージをそのまま採用しました。
ボディバックにはホンジュラスマホガニーを使用。
ハカランダネックの立ち上がり、輪郭、ウェットさを活かしつつ、ホンジュラスマホガニーの豊かな中低音をミックスすることにより、バランスよく上質なサウンドを目指しました。
展示店舗:八王子店
DST22 Brazilian Rosewood Neck Curly Maple Top Alder Back
杢の出方や奥行きまで確認したカーリーメイプルトップに、STタイプらしい中低域をプラスするためアルダーバックを選択しました。
剛性の高いハカランダネックによるロングサスティーンと豊かな中低域~煌びやかな高音域を存分にご堪能いただけるようオーダーしています。
展示店舗:八王子店
DST24 Brazilian Rosewood Neck Waterfall Burl Maple Top
ウォーターフォール・バールメイプルをトップ材に使用。
ピックアップも潔く2ハムバッカーを採用することでモダンスタイルに最適化しています。
ハカランダネックによる安定した中低域を存分に堪能できるような1本に仕上がることを想定しています。
展示店舗:新宿ペペ店
ご紹介したファーストロットモデルは2023年2月頃の完成を予定しています。
セカンドロットモデル紹介
続いて、コンセプトが決まったセカンドロットモデルに対して高橋氏と木材選定に移ります。
国内外から仕入れた最上級の木材から高橋氏にセレクトいただきます。
膨大なストックから、ブラジリアンローズウッド・ネックに合うマテリアルをピックアップしていきます。
現地に赴くことで出会える木材があることがファクトリーオーダーの醍醐味です。
木材の杢の深さ、木地の色味、削った際の杢の出方を推測するため、サイドから1枚ずつ確認します。
セレクトした木材に対してテンプレートを当てながら、どの向きや位置で使用するのがよいか、アドバイスを頂きながら微調整を行ないます。
この作業を繰り返し、木材選定が終了です。
※素晴らしいマテリアルが豊富なため、ハカランダネックモデル以外のオーダーも同時に進めました。
それでは、ピックアップしたマテリアルの一部をどうぞご覧くださいませ。
DST24 Brazilian Rosewood Neck Brazilian Rosewood Body Top
ハカランダネックに合うボディ材は、やはりハカランダです。
T's社で3ピースのみストックしているマテリアルをボディトップ材に使用することで、ハカランダネック&ボディトップという贅の極みとも言える究極のギターを製作します。
展示店舗:静岡パルコ店
DTL22 Hollow Brazilian Rosewood Neck Brazilian Rosewood Body Top
サップがセンターに来るようにマッチングしたハカランダトップ材を、TLシェイプをベースにしたDTL22で製作いたします。
ホロウボディにすることでハカランダ材特有の中低域やプレゼンス成分を有しながら、適度にエアー感があるサウンドに仕上げていきます。
展示店舗:静岡パルコ店
DST24 Carve Top Brazilian Rosewood Neck Quilted Maple Top
ハカランダネックに相応しいビッグリーフ・キルトメイプルをセレクトし贅沢にカーブドトップ仕様にしました。
キルトメイプルですが、ギターという楽器において最も人気が高い木材の一つでありながら、国内外を問わず良質なマテリアルが減少し、価格も高騰を続けています。
そんな昨今の状況下ですが、良質な木材のストックを誇るT's社内で厳選した素晴らしいキルトメイプル材をボディトップに使用します。
展示店舗:八王子店
DST24 Brazilian Rosewood Neck Quilted Maple Top Ash Back
こちらもハカランダネックに相応しいグレードのキルトメイプルですが、非常に表情豊かな杢目で、カラーリングにマッチするように木地の色を見てセレクトしています。
ボディバックには厳選されたアッシュ材を使用することでハカランダネックの硬質なミッドレンジと繊細さに、高域から低域までバランスよく響くアッシュ材のマッチングを意識しています。
展示店舗:八王子店
DST Brazilian Rosewood Neck Curly Maple Top
均整の取れたホーンからセンター部のカーリー杢と対照的に、ボディエンド部にエキゾチックな杢が出たメイプル材をセレクトしました。
この特徴的な杢を最大限に活かしたカラーリングでオーダーしています。
展示店舗:新宿ペペ店
Rare Wood Neck Models
こちらは、ハカランダネックモデルではありませんが、今後の入荷が全くの不透明なレアウッドです。
画像左はアクアティンバーメイプルにフィギュアド杢が入ったマテリアルです。
画像右はホンジュラスマホガニーにカーリー杢が入ったマテリアルです。
タップトーンで確認しましたが、どちらも素晴らしい響きを持ったトーンウッドでしたので、こちらのネック材を使用したモデルをそれぞれオーダーしました。
フィギュアド・アクアティンバーメイプルのネック材には5Aキルトメイプルをセレクトしました。
世界中で良質なキルトメイプル材が減少しており、価格も高騰を続けていますが、さすがT’s社です。
非の打ち所がない1枚を使用することができました。
1950年代のギターにも使用され、ギターに於いて優れた音響特性を持つホンジュラスマホガニー材ですが、こちらはカーリー杢が入った大変貴重なネック用のマテリアルです。
ボディバックにもホンジュラスマホガニー材をセレクト。
ボディトップ及びフィンガーボードにはブラジリアンローズウッドを用いることで、ネック材を最大限に活かすスペックを実現します。
展示店舗:静岡パルコ店
DST24 Aqua Maple Neck Curly Maple Top
前述と同様のフィギュアド・アクアティンバーメイプルのネック材に、ビッグリーフ・カーリーメイプル材をボディトップに組み合わせた1本です。
王道の組み合わせだからこそ感じることができる最高峰のMade in Japan ハイエンドギターとして仕上がることを期待しています。
※500~1000年前の安定した木材であることと、アクアティンバー社からの供給も現状では見込めないため貴重な2本です。
展示店舗:八王子店
DST22 Hollow Rosewood Neck Curly Spalted Maple Top 1P Korina Back
見事なカーリー杢が入ったスポルテッドメイプルです。
こちらのトップ材に合わせて、アルダー、アッシュ、メイプル材の良いところを組み合わせたようなトーンウッドと称される「コリーナ材」をワンピースでボディバックにセレクトしました。
サウンドに芯を持たせるためローズウッド材をネックに使用し、セミホロウ構造にすることで全体のサウンドバランスを図っています。
展示店舗:新宿ペペ店
セカンドロットは2023年夏頃の完成を予定しております。
さいごに
以上で今回のT’s Guitarsファクトリーオーダーは終了です。
各モデルの完成をお楽しみにどうぞ。
オーダーモデルに関する問い合わせは下記店舗・スタッフまでお願いします。
静岡パルコ店 平林(ひらばやし)
新宿ペペ店 野原(のはら)・渡邉(わたなべ)
八王子店 廣瀬(ひろせ)