皆様こんにちは。島村楽器別室 野原のギター部屋管理人の野原です。
今回は10月初旬に参加しましたGibson Brands Partner Experience in Nashville, TNの様子をお届けしたいと思います。内容盛りだくさんの3日間、ぜひお楽しみ下さい。
羽田からデトロイトを経由し、ナッシュヴィルへ

羽田空港第三ターミナル。同行する弊社のギターバイヤー今井が来る前に空港を散策。

今井と合流後チェックインを済まし、長旅に備え打ち合わせをしながら食事をします。
搭乗するのはデルタ航空DL0276便。経由地のデトロイトまで約11時間のフライトになります。フライト中はM2Mのスペックシートをまとめたり、映画を見て過ごしたいと思います。

無事経由地のデトロイトに到着。入国審査もとてもスムーズでした。

飛行機を乗り継ぎナッシュヴィルに到着。空港にはギブソンのギターがディスプレイされており、多くの旅行者を出迎えます。
この写真を撮影した後バゲージ・クレームで流れてくるスーツケースをピックアップするのですが、レーンに現れた今井のスーツケースが緩やかなコーナーで押し出され私たちの近くに転がり落ちました。
笑いながらこの光景を見ていた私はこう思いました。
「今回の今井さんは何かを持っている」

ホテルにチェックインした後、参加ディーラーとギブソン・ジャパンの皆様で食事をします。手前の赤いカップが大きすぎて伝わりにくいのですが、これぞアメリカといったボリュームです。
普段は別々の楽器店で勤務しますが、日本に良いギターを持ち帰るという目的のもとに集まった同士ですので、とても仲が良く、会話が尽きません。明日からが楽しみです。
DAY1 -Gibson Headquarters, GBOC, Gibson Garage-

今井とは付き合いが長く仲も良いので、普段特別気を遣う事もありません。それでも私の方が後輩なので一応先にロビーで待とうと降りてきましたが、既に仕事をしていました。なんか悔しい。
この後ディーラーの皆様とバスに乗り、いよいよギブソンへ向かいます。

赤いレンガが印象的なこちらの建物の1階にギブソン・ガレージ、上にギブソンのオフィスがあります。もともとは鉄道の駅として使われていたいたそうです。

オフィスの入口を入るとギブソンの大きなネオンサインが私たちを出迎えます。

オフィスの壁には様々なアートワークが施されています。製作の一瞬一瞬が切り取られているこちらの壁面からは、職人の技や伝統を大切にするギブソンの企業風土や誇りが伝わってきます。

もちろんアーティストに対するリスペクトも忘れてはなりません。こちらはホワイト・ルームの歌詞とクリーム時代のエリック・クラプトン氏が愛用したSGがデザインされています。
オフィスではギブソンのプレゼン、新製品発表、意見交換などが行われましたが、そのどれもが胸を躍らせるようなものばかり。まだ具体的に皆様にお伝えすることは出来ませんが、ファンが待ち望んでいたことを次々と形にする今のギブソンからは目が離せません。

オフィス内で昼食。とても新鮮で美味しい料理をいただきました。ピントが外れていますが向かいの縦縞はソファの背もたれで、ギターストラップで出来ています。流石ギターブランド。
食事の後はバスに乗りGBOCに向かいます。GBOC(ジーボック)とは Gibson Brands Operation Centerの略で、モンタナ製の Gibson 製品を除いた取り扱いアイテムを全世界へ出荷する拠点となる統合型倉庫です。ここでいよいよ完成品のピックアップ(買い付け)が始まります。

パッケージされたギブソン製品が並ぶ巨大な倉庫。圧巻の光景です。これから世界中のギタリストの手に渡ると思うと、感慨深いです。



大量に並べられたギブソン・カスタムとUSA、そして近年始まったMODコレクション。
MODコレクションは生産工程などで外観に瑕疵の生じたギターを自由な発想で自社モディファイし販売可能にする取り組みで、リペア&レストレーション・センターの職人により独自のカスタマイズが施された1本ものとなります。

抽選で決められた順番で1本ずつ欲しいギターをハンドピックしていきます。
選んだギターにはこちらの紙にディーラー名を記入しネックに挟みます。

こちらは当社が入手したMODコレクションの1本。ピックアップ・マウントリングとピックガードがアレンジされた素敵なSGカスタムで、ハードウェアはエイジングされています。
このSGカスタムの他にもたくさんのギターを買い付けましたので、店頭に並ぶのを楽しみにお待ちください。

バスで戻り、ギブソンの世界観を体験できるギブソン・ガレージを見学します。

ギブソン・ガレージではギブソン、エピフォン、クレイマーのギターをはじめ、メサ・ブギーやKRKと言ったギブソン・ブランズの各種製品の試奏の他、関連アクセサリー、グッズの販売も行っています。

入ると正面の大きな電飾が目に飛び込んできます。ガレージの雰囲気にマッチした素敵なサインです。

上にはガレージを流れる名品の数々が。長い時間眺めていても飽きません。


世界中で高い評価を受けるマーフィー・ラボ。どれも格好良いですが、カーディナル・レッドのファイヤーバードが気になります。ちなみにカーディナル・レッドは当時のカスタム・カラー。

アパレルやアクセサリーも充実しています。昔のデザインやロゴをモチーフにしたものも多く、見ていてとても楽しいです。

ガレージ内にはオーダー用の材や各種サンプルが展示されているスペースも。自分だけの1本を想像してみたくなります。案内してくださっているのはGibson TVでおなじみのマーク・アグネシ氏。

ハードウェアやパーツも綺麗に展示されています。木材からパーツまでのほぼ全てを選ぶことが出来ます。

扉で隔たれたアコースティック・ギターが展示されているスペースに入ると、ショーケースに入ったギターが目に留まります。

こちらは1907年製の貴重なハープ・ギター。ウォルター・カーター氏の名著”Gibson Guitars 100 Years of an American Icon”の表紙になった1本で、オーヴィル・ギブソンによって製作された歴史的なギターです。細部にまで施された芸術的な装飾と技術の高さに、思わず息をのんで眺めてしまいます。





神は細部に宿ると言いますが、その言葉を体現するかのような出来栄えです。ギブソンがどの様なブランドなのか、このハープ・ギターを見ていると良く理解できます。

再びエレクトリックのエリアに。ガレージ内にはステージがあり、ステージ後方には映像も流れています。ここでステージ袖に案内されるディーラー一行。暗幕を抜けると細い通路があり、その先の部屋に通されました。

奥の部屋にはソファやバーカウンターが設置されており、くつろぎながら展示されている楽器を鳴らすことが出来ます。今井が手にしているのは先日発売されたマーフィーラボの1本。レンジの広いオープンな鳴りがとても気持ちが良いです。
このスペースで暫くギターを弾いていると、ギブソンのプレジデント兼暫定CEOのセザール・グイキアン氏がいらっしゃいました。お話をお伺いしフォトセッションを行ったのですが、今度は部屋の中にある本棚の前に呼ばれます。
指示された場所に立っているとセキュリティ・ナンバーが入力され、目の前の本棚が開いて別の部屋が現れました。まるで映画の様な展開です。
部屋の中には著名な1959年製のレスポール・スタンダードの他、貴重なギターの数々が展示されています。

こちらは1961年製のレスポールSGカスタム。使用感はありますが綺麗なコンディションです。

ただでさえ貴重なレスポールSGカスタムですが、こちらはレスポール&メリーフォードのアルバム”Warm and Wonderful”のジャケットでメリーフォードが抱えていた本人のギターだそうです。

トリニ・ロペス・デラックスのプロトタイプもありました。一見すると普通の市販品と同じ様に見えますが、ヘッド・ストックがリバースになています。海外の専門書でも取り上げられる逸品です。

今ではなかなか見る機会も少なくなった1958年製のFlying Vもありました。オリジナルのブラック・ピックガードです。オリジナルのコリーナは格好良いですね。

と思っていたら、更に見る機会の少ない1958年製のExplorerも展示されていました。この個体は様々な媒体を通してみたことがありましたが、まさか実機を見る機会が来るとは思いもしてませんでした。

部屋の片隅に置かれているのはテッド・マッカーティーのギターアンプ。ブラックの外装がシックで良いですね。限定でも良いので復刻して欲しいです。
ギブソン・ガレージの様子はGibson公式YouTubeチェンネル(Gibson TV)にもございますので、ぜひご覧になってみてください。
さて、初日までの様子をお送りしてきましたがいかがでしたでしょうか。正直に申し上げます。私、仕事で来ていることを忘れて楽しんでいる瞬間が何度もございました。
2日目以降も買い付けや木材の選定がございますので、気を引き締め直して翌日を迎えたいと思います。私がちゃんと仕事をしているかは、後編をご確認頂ければと思います。それでは今回はこの辺で。