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別室 野原のギター部屋 Vol.4 “1964年製のES-335と2015年製のES-335 番外編”

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別室 野原のギター部屋Vol.4は、2016年12月25日に掲載した"1964年製のES-335と2015年製のES-335 番外編"をお送りします。

ミーナ町田店別室 野原のギター部屋Vol.4は"番外編"と銘打ちまして1964年製のES-335と2015年製のES-335(2015 Gibson 1963 ES-335 Memphis Factory)のハードケースを比較してみたいと思います。前回、前々回の記事とあわせてご覧になりますとより一層お楽しみ頂けるかと思います。


それでは早速見ていきましょう。

2015年製(写真奥)、1964年製(写真手前)ともにギター自体のシェイプに合わせたフォームフィットケースです。2015年製は1963年製のES-335を再現したモデルですので、ご覧の通りハードケースの外装も年代に準じて黒を採用しています。ケースにつけられたアーチは2015年の方が高さと大きさがあります。

側面を見ますとケースの厚みが異なるのがお分かり頂けると思います。1964年製はケースに使われている木材自体も軽くスリムな分持ち運びが楽です。が、傷むのがとても早いです。ハードケースは運搬時に地面に置くことが多々あるかと思いますが、外装も擦り切れやすいので非常に気を遣います。以前所有していた1965年製のES-335のハードケースは入手時より側面と裏面の境(接合部にあたるケースのエッジ)が割れ、少し開いて覗くとギターが見える状態でした。
当時のカタログを見ますとハードケース全体を覆う専用のカバー(ZC-19 Deluxe Zipper Case Cover)が用意されていますが、ハードケースの販売価格に対して約70%の販売価格と少々割高に感じてしまいます。

ケースハンドルもハードケース本体と同様に白い糸で縫製されています。形状も上手く再現されておりとても雰囲気が良いです。握り心地は1964年製に比べて革が柔らかいので持ち易いです。

掛金を上に上げて固定するだけのシンプルなラッチを採用した1964年製に対して2015年製は全てのラッチが引掛パチン錠となります。色は両者ともゴールドで黒いハードケースに良く映えます。

1964年製で唯一引掛パチン錠が採用されているのが鍵付きのこの箇所。2015年製もオリジナル同様にケースハンドル右横に鍵をつけています。

最後にケースの中を見てみます。写真右の1964年製のライニングはオレンジですが、コンディションの良い同年代のケースの中にはもう少し色が薄い(黄色に近い)ものも見受けられますので、少なからず経年変化などで変色しているのかも知れません。2015年製はボディ外周に当たるクッションが厚く、更にはネックを受ける部分がヘッド側とヒール側の2箇所設けられておりギター本体をしっかりとホールドします。2箇所のネック受けの間にある四角いスペースはポケットになっており1964年製と同じ方向に蓋が開閉します。

私は普段この古いES-335を持ち運ぶ際に背負えるタイプのケースカバーを用いているのですが、何も詰めずに背負うと歩調に合わせて本体が前後(厚み方向)にカタカタと動きます。古いギターを運搬する際に新聞紙や綿の布を隙間やネック下に入れているのをご覧になったことがあるかと思いますが、そういうことです。一方で2015年製のケースは中にギターを入れて軽く揺らしてもほぼ動きません。ただ当時の雰囲気を壊さないように全く同じ採寸でケースを作るのではなく、そこに耐久性や保護性をうまく織り交ぜ一つのケースとして完成させたGibson Memphisのセンスが素敵です。

最近では質の良いギグバッグが各社から販売され楽器の持ち運びが楽になりましたが、皆様もたまに天気の良い日はハードケースに楽器を入れてお出かけをされてみてはいかがでしょうか。

(と、爽やかな文章で締め括ることでこれまでの濃い内容を中和したつもりでいるのですが、うまくできましたでしょうか)

次回はGibson Historic Collection Les Paul Reissueの仕様遍歴と60th Anniversaryについて綴った新記事をお送り致します。

ギター部屋の管理人


学生の頃よりバンド活動、レコーディングなど様々な場所での演奏とヴィンテージギターショップ巡りに明け暮れる。後にギタークラフトを学び島村楽器に入社。入社後は米国Gibson社、Fender社への買い付けなどを担当。現在は静岡パルコ店に勤務。甘いもの好き。


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