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別室 野原のギター部屋 Vol.7 “2015 Gibson Custom Shop Collector’s Choice #34 1959 Les Paul Blackburst”

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皆様こんにちは。楽器情報サイトで掘り出し物を探すかのように、島村楽器全店の在庫データを眺めて楽しんでいる野原です。今回の別室 野原のギター部屋は「島村楽器で見つけた気になる1本」と銘打ちまして、私が個人的に気になったギターを皆様にご紹介したいと思います。

"2015 Gibson Custom Shop Collector’s Choice #34 1959 Les Paul #0-0162 Blackburst"


今回私がピックアップしたのはGibson Custom Shop Collector’s Choice #34 1959 Les Paul Blackburstです。

Collector’s Choice(コレクターズチョイス)とは、コレクター秘蔵のギターや、著名なミュージシャンが使用した歴史上重要な意味のある1本を再現したモデルになります。ヒストリックコレクションが現存するヴィンテージギブソンを多数分析し、その平均的な仕様を再現したモデルなのに対して、コレクターズチョイスはその特定の1本を外観、音、ネックグリップ、傷や修理歴まで完全再現したモデルとなります。

Collector’s Choice #34はカラー表記が「Black」ではなく「Blackburst」となっていますが、ぱっと見た感じは黒いレスポールスタンダードに見えます。「バースト」とは一体どういうことなのでしょうか。

もう少し近くで見てみましょう。

黒いフィニッシュから部分的に覗く赤い塗装がお分かりになりますでしょうか。

勘の良い方はもうお気付きかと思いますが、こちらはオリジナルのサンバーストフィニッシュの上からブラックにペイントされた1959年製のLes Paul Standardを再現したモデルになります。

再現元のオリジナルは、レスポールカスタムに憧れていた当時のオーナーが、予算の都合から黒いレスポールスタンダードをディーラーに注文。ディーラーを介して注文を受けたGibsonが、サンバーストの上から塗装をして出荷したそうです。

1959年製レスポールスタンダードのリフィニッシュ...今だったらショックで気絶してしまいそうな出来事ですが、当時ならではのエピソードに時代を感じます。1950年代のレスポールスタンダードの中にもファクトリーブラックやシールブラウンといったカスタムカラーが極僅かに確認されていますが、知る限り出荷前にギブソンファクトリーでオーバースプレーされたのはBlackburstだけだと思います。

余談ですが、オリジナルのBlackburstとともに残されていた領収書には、下記の印字がされています。

Les Paul Electric Guitar 210.00
GA6 Amplifier 113.00
Case 115 for Guitar 12.00
State Tax 10.05
      345.05

ギターアンプ込みの合計が$345.05ですので、いかに1959年当時のレスポールカスタム($395.00)が高級だったかを窺い知ることができます。

オリジナルと同様にサンバーストに仕上げられた後黒にオーバーペイントされた本機ですが、不自然に塗膜が厚い印象はありません。手にするまでは分厚い塗装とそれに伴う音を想像していたのですが、普通のソリッドカラーのリイシューと変わらないイメージです。むしろ低音弦もぼやけずにバランス良く鳴る個体で、音のハリがとても気持ち良いです。

積層バインディングとゴールドパーツが映えるレスポールカスタムも格好いいですが、シンプルな装飾ゆえに際立つアーチの美しさに目を奪われます。

ボディバックのエッジからもチェリーレッドが顔を覗かせています。僅かな面積にも関わらず、ただならぬ雰囲気を醸し出しています。

この個体のお気に入りポイントの1つなのですが、ヘッドストック外周のエイジングがとても素敵です。傷の場所や量、付き方で思っている以上に表情は変わりますが、個人的にこのヘッドストックは好みです。通常よりもややアンバー色の強いロゴが良いアクセントとなっています。

通常エイジド仕様のレスポールのヘッドトップにはウェザーチェックが入れられますが、こちらには入っておりません。特定の1本を再現しているコレクターズチョイスならではのリアルさを感じます。

ヘッド裏のシリアルNo.はコレクターズチョイス専用のものが用意されています。

コントロールノブは当時のレスポールカスタム、チェリーレッドのESに装着された黒いハットノブ。

トグルSWプレートの文字が部分的に薄くなっています。他のプラスチックパーツ類にも言えることですが、エイジングの具合はやや控えめな印象です。

ピックアップには定評のあるCustom Buckerを搭載。ピックアップカバーのエイジングにも丁寧な仕事が見られ、弦の通る場所とそれ以外でくすみ方に差をつけています。

コレクターズチョイス専用の認定書。表紙にはオリジナルのBlackburstのシリアルNo.0-0162が入れられています。Blackburst本体は1959年に作られていますが、Gibsonでオーバーペイントされたのが1960年なので、0から始まるシリアルとなります。コレクターズチョイスの本機はコントロールキャビティ内に0-0162のナンバーが入れられています。
1950年代のGibsonのカスタムカラーはフェンダーに比べても極端に数が少ないため、今回ピックアップしたレスポールの姿(カラー)に違和感を覚える方も多くいらっしゃると思います。私も1959 Les PaulといえばBurstカラーを思い浮かべ、それに憧れる一人ですが、だからこそ、このイレギュラーなカラーとストーリーに強く惹かれているのかもしれません。シンプルに黒いレスポールスタンダードというだけで十分に格好良いのですが、所々に見え隠れしてするGibson伝統のチェリーレッドがとても良い味を出しています。

音に関してですが、フロントピックアップで低音弦を弾いても音がぼやけず、サウンドに張りがあるためピッキングニュアンスが出しやすいです。4.18kgと軽過ぎない重量なので、アタック音に追随するレスポールならではの芳醇な響きが気持ちが良く、さすがコレクターズチョイスと思わせてくれる個体ではないでしょうか。

今回ご紹介しましたギターの詳細は商品ページに記載させて頂きましたので、ご興味のある方はぜひご覧ください。見どころは、ほぼ趣味全開で撮影したBlackburstの別ショットです。

ギター部屋の管理人


学生の頃よりバンド活動、レコーディングなど様々な場所での演奏とヴィンテージギターショップ巡りに明け暮れる。後にギタークラフトを学び島村楽器に入社。入社後は米国Fender社への買い付けなどを担当。甘いもの好き。

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