皆さんこんにちは!
ギタセレ中の人です。
前2回大好評をいただいた【メーカー担当者に聞く】特集。
今回は「レモンオイル」についてお話しします。
レモンオイルとは
楽器指板面の汚れ落とし・艶出し・保湿に使用するオイルです。
初心者さんが初めに買うセットに含まれていることは少ないので、初めは持っていない方がほとんどだと思います。
しかし!
木製の楽器を弾くなら必携!と断言できるほど万能、楽器に優しい汚れ落としです。
家具を磨いたり、床についてしまったガムを落としたり…。
楽器以外にもあらゆる場面で「洗浄力は強いけれども優しい汚れ落とし」として使用できます。
今回ご紹介するレモンオイル
今回ご紹介するのは「E.D.GEAR ELO-2」です。
スタンダードなレモンオイルとなります。
E.D.GEAR ELO-2

楽器用のレモンオイルは様々なメーカーが生産・販売しています。
ELO-2はその中でも「サラサラだが塗りやすい」という絶妙な粘度が特徴だと感じます。
液体がサラサラしているとオイルの伸びが良く、塗りやすいです。
しかしこれがサラサラすぎると液体が流れていきやすくなり垂れたりしてしまいます。
名前の通りレモンオイルは油なので、垂れるとベトベトしてしまうんですよね…。
また、粘度が低ければ液体の中の粒子が細かく、木目のような隙間に入りやすくなり汚れを落とす力が強くなりますが、揮発しやすいため保湿力は低くなります。
逆に粘度が高ければ液体の中の粒子が大きく、揮発しにいため保湿力が高くなりますが、木目のような隙間に入りにくくなり汚れを落とす力が弱くなります。


ELO-2はいわば「いいところを突いている」製品です。
とても塗りやすく、保湿力もしっかり確保しています。
楽器屋さんが取り扱っているレモンオイルを数々試してきたギタセレ中の人。
ELO-2が発売して初めて使ったとき「おぉ!いいじゃん!!」と声に出してしまいました。
担当者にインタビュー!
そんなELO-2を生産している会社の担当の方に話を聞くことができました。
ギタセレ中の人(以下「ギ」) 「こんにちは!本日はよろしくお願いいたします!」
メーカー担当者(以下「メ」) 「よろしくお願いします。」
ギ 「まずは製品特徴とアピールポイントを教えてください。」


メ 「こだわりの厳選成分を配合して作っています。
成分はミネラルオイル、亜麻仁油、オレンジオイル、レモンオイル、椿油です。
ちなみに配合の割合は非公開です…!」
ミネラルオイル
食品添加物グレードのミネラルオイルです。
一般的なミネラルオイルは引火点が低い約130℃以上や約160℃以上というものが多く、これらは粘度が低めです。
ELO-2のベースであるミネラルオイルは安全性を考慮して、引火点が約250℃以上のものを採用していて比較的粘度の高めです。
ギタセレ中の人註:引火点が高いオイルは粘度が高く、高温環境下でも安定して使用できます。
亜麻仁油
安全な天然塗料として使われている亜麻仁油ですが、古代エジプトではミイラ保存などに使われていて、防腐性の高いオイルと言われています。
フローリング、テーブル、柱などの一般木材の汚れ落としや艶出しにも最適な原料です。
オレンジオイル
粘度が高く揮発性が低いので保湿や保護に向いています。
レモンオイル
水に近い性質で粘度は低く揮発性が高いので、指版についた手の汚れなどを落とす際にはピッタリです。
また、柑橘系精油(オレンジオイルとレモンオイル)には、「リモネン(植物由来)」という成分で油を浮かせて落とす性質があり、また抗菌作用もあります。
椿油
オレイン酸が豊富です。
オレイン酸は人間の皮膚にも含まれていますので、化粧品原料としても多く使用されています。
皮脂と馴染みやすく皮脂汚れを浮かして落とします。」
ギ 「開発に苦労・工夫した点を教えてください。」
メ 「成分バランスの調合が非常に難しい製品です。
ミネラルオイル、亜麻仁油、オレンジオイル、レモンオイル、椿油すべての成分に特徴があり、それぞれのよい利点を最大限に生かせる処方にしました。
特にオレンジオイルとレモンオイルは別の表現に例えるとプラスとマイナスの作用があります。
この微妙なバランスがうまくまとまって初めてこのレモンオイルとなります。」
ギ 「製造時に気をつけていることを教えてください。」
メ 「一度に大量生産をするほうが、製造メリットがあるのですが、製品の特性上澱がでたり酸化もありますので、こまめな製造を心がけています。
食べ物ではありませんので腐る事などは一切ありませんが、全ての成分が油になりますので極力酸化を少なくするうえで、小ロットでの製造をさせていただいています。
鮮度が良く品質が良い状態で製品を供給するよう心がけています。」
ギ 「レモンオイルの正しい使い方を教えてください。」

メ 「まずはあらかじめギター全体や指版面に付着した埃や皮脂汚れなどをウエスなどの布で拭き取ってください。

使用するにあたっては目立たない部分に初めて少量つけ、変色などがない事を確認してから使用します。

特に塗装部分への使用は塗装に変化をおこすことがあるため注意が必要です。
塗装への大量の使用はやめてください。

直接レモンオイルを塗布するのでなく、ウエスなどの布にレモンオイルを染み込ませてから軽く拭きあげるように拭いてください。

楽器に直接塗布するのはやめてください。
演奏をする際に必ず触れる指版は、こまめなメンテナンスが大切になります。
1~2ヵ月に1回程度使用することをオススメします。」
レモンオイルはこうして作られる


油の配合をします。
まずはミネラルオイルに亜麻仁油を。


続けてオレンジオイル、レモンオイル。


最後に椿油を入れ、よく攪拌します。
手作業ですね。


おぉ〜よく見る黄金色になりました。
なんだか美味しそう。


これがオイルを容器に入れる専用の機械。


注入されます。
量はもちろん設定されていて、決まった分量だけ入れられます。


ラベルを貼られて…(やっぱり手作業!)
はいっ!
店頭に並んでいる製品の完成です!
まとめ
今回も製品に込められている愛情、熱意を知ることができました。
こだわりを持って生産されています。
鮮度が大切とは…。
最早食べ物ですね。
実際美味しそうでしたし。←本品は飲み物ではありません!
そして、中の人がお伝えしたい大切な使い方とは…。
楽器を磨くクロスとオイルを使うクロスは分けることです。
オイルなどの液体と一緒に使うときは綿ネル製のクロス。
汚れてきたら捨てて新しいものを使う。
液体と一緒に使わないときはスエードクロス。
汚れてきたら手洗いして再利用。
楽器を労ってあげましょう。
鮮度が大切=どんどん使って新しいものを用意する!
これ大切です!!!