皆さんこんにちは!
ギタセレ中の人です!

【メーカー担当者に聞く】連載、第一弾「ギタークロス」
お陰様で公開後大きな反響を頂いております。
ご覧いただいた方、ありがとうございます。
今回は第二弾「湿度調整剤」のお話しです。

・とりあえず使ってるけど、本当に効果あるの?
・ソフトケースだけど入れたら効果あるの?
・ハードケースの小物入れスペースに入れているけどこれでいいの?
様々な疑問があると思います。
今回はそれを解決していきます!
担当者にインタビュー!
ギタセレ中の人(以下「ギ」) 「こんにちは!本日はよろしくお願いいたします!」
メーカー担当者(以下「メ」) 「よろしくお願いします。」
まずは定番「楽器用湿度調整剤」から

まずは古くから定番の「楽器用湿度調整剤」から見ていきます。

島村楽器のオリジナルブランドE.D.GEARの「Ultra Dry 楽器用湿度調整剤」
ギターだけでなく管楽器などでも使用する事ができて便利ですよね。
製品の特徴、アピールポイント
ギ 「まずは製品の特長とアピールポイントを教えてください。」

メ 「パッケージ内に入っている袋の中にはシリカゲルB型と言われる調湿剤が入っています。
天日干し等で再生する事ができるのですが、これまでの製品は袋が既に湿気を持っているのかどうかが見た目ではわからないものでした。
湿気を持った袋を楽器のケース内に入れてしまうとかえって湿気を貯めてしまう場合があります。

そこでUltra Dryには湿度センサーを入れることにより、袋がどのくらい湿気を持っているか視覚的にわかるようにしているところがポイントです。
湿気を帯びると色が薄いピンクになり、乾燥すると青くなります。
薄いピンクになったら天日干しをしてもらえば調湿効果が復活します。

また、内容量を3個にして、湿度調整できる箇所を増やしています。
湿度調整剤のような機能性素材は基本的には点ではなく面で取った方が圧倒的に効果が出ます。
そこで、一個あたりの量は少ないのですが個数を多くする事によって効果の出る表面積を広げています。」
ギ 「大きいものを一つ入れるよりも小さいものを複数個入れた方が効果が出るんですね?」
メ 「近くの物の湿気をとる事はできるのですが、例えばギターのネックの方に入れてもボディの下の方の湿気をとる機能は持っていません。
なので満遍なく入れて接地面積を広く取った方が確実に効果は出ます。」
ギ 「という事は、ギターのハードケースのボディ側とネック側、各々にUltra Dryを入れてあげた方が効果が出やすい、という事ですね?」
メ 「その通りです。」
ギ 「お客様からよく尋ねられるのですが、ハードケースではなくソフトケースやギグバッグの中にUltra Dryを入れて効果は見込めるのでしょうか?」
メ 「ソフトケースやギグバッグは厳しいと思います。
ソフトケースはどうしても湿度が中に入ってきてしまうので…。」
そこで登場するのが、次の製品です!
革命児「調湿機能付きフレットガード」


そして今回の本題。
ギター/ベースの湿度調整剤の革命児「調湿機能付きフレットガード」について伺っていきます。

島村楽器のオリジナルブランドE.D.GEARの「EFG-A1 調湿機能付きフレットガード」

過去には島村楽器で同じくオリジナルブランド「HISTORY」から上記のフレットガードが販売されていました。
E.D.GEARのものは従来の
・楽器の保管や運搬時、弦によるフレットへのダメージを軽減し、大切なフレットを保護する
という目的に加えて
・フレットの防サビ効果
・高湿度時に湿気を吸収、低湿度時には少しずつ水分を放出し、ケース内の湿度を最適な状態に維持
・指板、ボディのコンディションを良好に保つ
という効果も発揮するすごい製品なんです!
製品の特徴、アピールポイント
ギ 「製品の特長とアピールポイントを教えてください。」

メ 「この製品は不織布と不織布の間にシリカゲルが挟まれています。
一般的には先ほどお話しした袋に入ったシリカゲルが多いのですが、この製品はシリカゲルを不織布に挟むことにより表面積を広げています。
湿度調整剤のような機能性素材は基本的には点ではなく面で取った方が圧倒的に効果が出る、というのは先に述べたとおりで、袋のタイプよりも5〜6
倍に接地面積を増やすことで点ではなく面で接地する事でより効果的に調湿します。
ギターはフレットは金属、指板は木材でできている事により収縮差が出て、バリが出ます。
特に冬場にはそれが顕著に出ます。
(ギタセレ中の人註:ネックの反りにも影響しますね。)

また、エレキギターやベースはピックアップが同じく金属でできていて湿気に弱く、アコースティックギターはサウンドホール内が塗装されていない木材で乾燥に弱いです。
シリカゲルは調湿機能があるので、湿度を一定に保つ効果があります。
例えば袋のシリカゲルをボディ付近に設置してその効果をネックの方まで引っ張っていくことは不可能です。
このフレットガードは弦とフレットの間に挟み込んで接地させる事により、ダイレクトに湿度をコントロールし、併せて弦とフレットを守る事が出来ます。」
ギ 「このフレットガードは長さが長いと感じていたのですが、スケールの長いベースだけではなくピックアップやサウンドホールの部分の湿度コントロールまで考えられているとは思いませんでした。」
メ 「このフレットガードは薄いシートですが絶大で、入れると瞬間的に湿度が調整されていきます。
また湿度調整時に結露ができないというメリットもあります。」
(ここで動画を見せてもらいました。
90%湿度のある箱の中にフレットガードを入れます。
すると30秒後には湿度が下がり始め、そこからみるみるうちに、9分後には55%になりました!
感動しました…。)
絶大な効果と、所有欲まで考えられたデザイン
ギ 「開発に苦労・工夫した点を教えてください。」
メ 「長さをどこまでにするかを決めるのには苦労しました。
特にアコースティックギターは湿度の影響を受けやすいと思うのですが、冬場の板割れ(ボディの板が割れてしまう事)のお話を伺いました。
これは湿度差が原因で、ボディの表面は塗装されているので乾燥にはある程度対応出来ると思うのですが、ボディの内側は塗装がされていない無垢なので表面と内側の収縮差が起こって割れてしまう事が予測されました。

ですのでフレットガードをサウンドホールの中に入れて内側の湿度を外気に合わせられるように考えました。
サウンドホールにも入って、エレキギターのピックアップ部までもカバーできる長さにしました。
しかし一番いいのはサウンドホールを塞ぐ事です。
(ギタセレ中の人註:同じくE.D.GEARから加湿機能付きフィードバックサプレッサー サウンドホールカバーも発売されているのでそちらもチェック!)

そしてネックに対して太すぎるとギターの所有欲が落ちてしまうこともあるので、そうならないような大きさにし、収まりがよくなるように工夫しています。

所有欲、という点では、不織布の間からシリカゲルが出てこないように糸で細かく裁縫する「オーバーロック」というものを施しているのですが、その色とロゴの色を合わせて、ギターと一緒に飾っても悪目立ちしないようなデザインにしました。」
ギ 「ユーザーさんの所有欲まで考えてデザインされているんですね。
深いです…。」



メ 「フレットガードにも湿度センサーが入っているので、これも工夫した点になります。
乾燥しているか否かが視覚的にわかる事により状態の確認ができます。」
ユーザーさんの気持ちを考えた縫製
ギ 「製造時に気をつけていることはありますか?」
メ 「先程お話ししたオーバーロックの縫製に関して気を配っています。
目が飛んでいるとそこからほつれていってしまいます。
ほつれるとそこから中のシリカゲルが外に出てしまう可能性も否めません。
ユーザーさんの大切な楽器を守るためにも、通常よりもかなり細かい縫い方をしています。
楽器に直接触れるように使おう


ギ 「説明書に書かれている事以外で『こういう風に使ってもらいたい!』という事はありますか?」
メ 「なるべく楽器に直接接地するようにして楽器を保護していただきたいです。」
ギ 「Ultra Dryとフレットガード、両方をハードケースに入れる事によって効果は上がりますか?」
メ 「それが一番効果が高いと思います。」
調湿機能付きフレットガードはこうして作られる



最初はシリカゲルを挟んだ不織布がロールに巻かれています。
それを適度な大きさに切ります。





型に合わせて裁断します。
完成形に近い形ですね。



こだわりポイントの一つ、ロゴ入れ。
一点一点手刷りなんですね…。
作り手の真心が伝わって来ます。



もう一つのこだわりポイントであるオーバーロックの縫製。
最後の糸切りまで手作業で行われています。

おなじみ、調湿機能付きフレットガードの完成です。
まとめ
大人の事情でお見せできないのですが、フレットガードの調湿時の動画は衝撃的でした。
こんなに効果あるものなんだ!と。
これなら湿度に関してはUltra Dryと調湿機能付きフレットガードに全幅の信頼を置いていいな、と再確認。
乾燥が気になる皆さん、高価な加湿器を導入するのも手ですが、もしかしたらお持ちのギター全てに調湿機能付きフレットガードを入れてスタンドに立てた方が効果が見込めるのかも…?
そしてとっても大切にしているギターであれば、ハードケースに入れて一緒にUltra Dryと調湿機能付きフレットガードを、アコースティックギターであれば更に加湿機能付きフィードバックサプレッサー サウンドホールカバーを設置すれば、湿度対策は完璧…?