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【今さら聞けない】ギターで使われる木材事典! Part2 ~グレナディラ? グラナディロ?~

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木材事典②

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前回の木材事典①に続いて第二段です。今回は「か行」に行ってみます!
か行の材はギター材としては比較的珍しい物が多いですねー。

目次

カキ ~Japanese Persimmon柿/黒柿~

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中国、日本を産地とする木材で、画像の様に黒い模様のある心材を特に「黒柿」と呼びます。浮かび上がる黒い模様は不規則で、希少性が高くなります。非常に硬いのが特徴。「パーシモン」と聞くとお父さんのゴルフセットの中に入っていた木製のドライバーを思い出します。今ではチタンなどが使われるほど、強度を必要とするドライバーに採用されていたので、どれくらい硬い木なのかが想像できます。

硬いが故にアタック感や音の立ち上がりは見事なものがあります。

近年ではdragonflyのギター&ベース・ボディに採用されて注目が集まっています。

カキノキ
カキノキ
種類 広葉樹
別名 柿/黒柿
産地 東アジア・日本
気乾比重 0.60~0.85
強度 6

~カキを使用したギター・ベース~

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dragonflyの666では黒柿をTOPに使用したモデルも多々ラインナップされています。

木材画像提供:(株)ハリーズエンジニアリング様

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カバ

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年輪ははっきり出るわけではありませんが、目が細かく美しい木材です。日本でも関東から北にかけて生息している樹木ですが、北海道など北の地域ほど良質な材が確保できます。白樺も仲間の材と言えます。

硬度が高めなので立ち上がりの速い音を得られ、やや中域よりのピークになります。

こちらもボディ材としてdragonflyが使用しています。

カバノキ
シラカンバ
種類 広葉樹
別名 マカバ/マカンバ
産地 日本
気乾比重 0.67
強度 5

~カバを使用したギター・ベース~

木材画像提供:府中家具工業協同組合様「木材図鑑」

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キングウッド

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ブラジル原産のローズウッドの一種。家具やオーボエ等にも使用されます。主に指板に使用されることの多い木材。ルイ14世とルイ15世がこの木材を使った家具を好んだことで、キングウッドという名を与えられました。

やはりローズウッドの一種であるため、固めの音質が特徴。

しかしながら、近年ではあまりギター/ベースで使用されている例は見られません。高価なため、楽器にするとかなりのお値段になってしまう事も理由の一つでしょう。

マメ
ツルサイカチ
種類 広葉樹
別名
産地 ブラジル
気乾比重 1.2
強度 6

~キングウッドを使用したギター・ベース~

木材画像提供:フジゲン(株)様

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グラナディロ ~Granadillo~

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ローズウッド同様マメ科の広葉樹。中米産ココボロやブラジル産ハカランダに近いため、近年入手が困難になった中南米産ローズウッドの代用品として注目が集まっています。

ローズウッドの代用と言われるだけあって、ローズ同様比較的固めの音質ながらエボニーほどではなく、中域をピークとしながら全帯域がしっかり鳴ってくれます。

Gibson製ギターの指板で採用され始めています。
ちなみに同じような名前の「グレナディア」という木材は、同じマメ科の仲間で「アフリカン・ブラックウッド」とも呼ばれ、クラリネットやオーボエの材料に使われます。アフリカ大陸を産地としているのでグレナディロとは仲間ですが違う材です。

マメ
クイラ
種類 広葉樹
別名 グラナディーロ、トレボル
産地 中米~南米
気乾比重 0.79
強度 5

~グラナディロを使用したギター・ベース~

木材画像提供:フジゲン(株)様

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欅(ケヤキ) ~Zelkova/ゼルコバ~

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日本原産の欅。非常に硬質ではあるものの加工は問題なく行えるため、昔から建築材、家具材、建具材、造作材として国内で珍重されてきました。特に泡杢、玉杢、牡丹杢といった杢の出たものは寺社建築や日本家屋で使用され、日本らしい材と言えます。

サウンド傾向はパリっとした高域が特徴。やはり硬い材の特徴を有しています。

ゼルコバをギター用材として使用することは稀ですが、Sagoから発売されています。どちらかと言うとドラム用の材として有名ですね。

ニレ
ケヤキ
種類 広葉樹
別名 欅/ケヤキ
産地 日本
気乾比重 0.69
強度 6

~ゼルコバを使用したギター・ベース~

木材画像提供:府中家具工業協同組合様「木材図鑑」

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コア ~Koa~

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「コア」という材は非常に定義が難しくなっています。
マメ科アカシアの樹のうち、ハワイ諸島の固有種を誰かが「コア」と呼び始めたのがスタート。そのうちハワイ以外のアカシアもコアと呼ぶ人が出てきたので、ハワイ産のアカシアを「ハワイアン・コア」と呼ぶようになりました。学名はアカシア・コアです。現在ギターの材で「コア」と表記があるものはハワイ産なのか、そうでないコアなのか、メーカーによってまちまちですが、アカシアなのは間違いありません。

ハワイアン・マホガニーと呼ばれる事もありますが、それはマホガニーと似た長所をコアが持っているからであり、マホガニーとは全くの別物です。マホガニーよりは少々硬度が落ちるものの、しっかりとした硬さを有しているため、アコギなどでは高域も出る優秀な材として使用されています。

ボディのTOP材としてエレキギター、アコースティックギターで使用される事が多いです。

マメ
アカシア
種類 広葉樹
別名 ハワイアンコア/アカシアコア
産地 ハワイ諸島、その他
気乾比重 0.64
強度 4

~コアを使用したギター・ベース~

木材画像提供:Strictly 7 Guitars

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ココボロ ~Cocobola~

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ローズウッドと非常に近い樹木です。しかしローズウッドよりも黒い縞、班が現れることが多く、また色調も違うため逆にその珍しさから楽器業界でも使用される頻度が上がってきています。油分の多い木なので、加工後の接着時に技術を要します。また加工時の粉塵で皮膚に炎症を起こすこともあります。

近い種である事から想像できるとおり、ローズウッドと同様のサウンド傾向です。全帯域がしっかり出てくる中で中域にピークがあります。エボニーメイプルと比べれば高音域は押さえられた印象です。

指板材としてギター、ベース共に使用頻度が高い材です。

マメ
ツルサイカチ
種類 広葉樹
別名 サザンアメリカン・ローズウッド
産地 中南米
気乾比重 1.1
強度 6

~ココボロを使用したギター・ベース~

木材画像提供:フジゲン(株)様

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コリーナ ~Korina/リンバ/Limba~

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本来の名前は「リンバ」。ギター業界ではコリーナ(Korina)と呼ばれることが多くあります。上記画像の様に黒い縞模様が入ったものを「ブラック・リンバ」、縞のないものを「ホワイト・リンバ」(ライト・リンバ)と呼びます。加工性は非常に高いので楽器で使用する上で重宝されます。

Gibson Korina Vのイメージどおり、中域にピークのある少々甘めのサウンドが特徴。ブラック、ホワイトどちらのリンバでもサウンドは変わりません。(木の成長期の日光の照射具合で目が出るか出ないかの違いだけです)

ボディ材、またボディTOP材としてエレキギターに使用されることの多い材です。

シクンシ
モモタマナ
種類 広葉樹
別名 リンバ
産地 アフリカ
気乾比重 0.54
強度 3

~コリーナを使用したギター・ベース~

木材画像提供:Strictly 7 Guitars

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まとめ

コリーナとリンバが同じ材だったなんて...! コリーナはGibsonのVやエクスプローラーに、リンバは最近の海外ハンドメイド系メーカーによく使われているので、イメージが全く違いますよね。呼び方一つでこうも印象が変わるとは、驚きです。

また、コアに関しても、記載したとおり非常に曖昧な感じになっているので、一口に「コア材使用」と言ってもどこのコアなのか分からない状況です。まあ、コアに限らず学名と木材の通称名が違っている、通称名に木材の模様まで入っている(バーズアイ・メイプルキルト・メイプルなんかが有名で分かりやすいところです)などありますから、正確に学ぼうとすると本当に骨が折れます。なのでこの特集では、あくまでギターで使われる通称名をフィーチャーしていますし、今後もそうしますね。
学名など、知っておいた方が良いな、と思うことは記載していきますので。

それでは次回はサ行です。また後日!

マメ知識

日本では「ベニヤ」を「合板」と解釈することが多いのですが、本来のベニヤ(Veneer)は「単板」を意味します。海外(英語圏)での合板は「プライウッド」(Plywood)と言います。

木材画像提供

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