ギタラバとは
ギタラバ(GUITAR LOVERS SHOW)全国のギター好きが「ギター愛」で繋がるプロジェクト。
抽選申込から島村楽器全店で試奏/購入ができるギターの催事です。
ミーナ町田店では”Machida Collection”と題して1点ものを中心に、往年の名機を意識しながらも現代の技術でブラッシュアップしたカスタムオーダーモデルなどギターマニア石田ならではのツボをおさえた商品をご用意します。
小林一三
茶位工房を経て独立、著名なクラシックギター製作家でありながら、
アーチトップ、アコースティック等あらゆる弦楽器製作に精通する小林一三氏。
各種最上級木材を豊富にストックしている一三氏にミーナ町田店では今までも様々なカスタムオーダーを行ってきました。
エレキギタリストを魅了するアコギ
ずばり今回の出展モデルのコンセプトは「エレキ弾きが思わず欲しくなってしまうようなアコギを」ということで、私自身がエレキギターしか弾かない身でありながら、どんなモデルだったら買いたくなるかな、という観点で企画をしました。
普段弾いているエレキに比べて弦が太いのでまずスケールは短めの610mm、ナット幅もエレキギター同様の42mmと手軽に手に取って弾けるように小ぶりなパーラーシェイプを選択しました。小林一三氏の手掛けるミニサイズのギターは個人様オーダー分などでノウハウがある為すんなり引き受けて頂きました。パーラーサイズだと音量も控えめになるのが嬉しいところ。
木材選定
小ぶりであること、またエレキギタリストにアピールするモデル、というところから普段はアコースティックギターに使用しないような木材も視野に入れてどんな木材構成にするかを考えました。
フルアコをそのまま小さくしたようなモデル
ディアンジェリコなどに代表されるフルアコで採用されている、スプルーストップ、メイプルサイドバック、エボニー指板、メイプルネック、という仕様。バイオリンにも共通する木材構成ですね。アコースティックギターで採用されるケースは非常に少なく、さらにミニサイズにすることで独特なサウンドになるのではないでしょうか。
国産のビンテージ材で出来るだけ構成した組み合わせ
小林一三氏が所有する材の中で、上記に近く、なおかつ和材にこだわった組み合わせです。サイドバックのメイプルは楓、トップにはフラメンコギターのサイドバックに使用されるサイプレスに近い特性を持つ硬い木材、カヤを採用しました。これらの木材はかなりの貯蔵期間を経たビンテージウッド。そんなビンテージ材にマッチさせる目的でネックはホンジュラスマホガニーを採用しました。
オールローズウッド
普通のアコースティックギターデザインではまず考えないモデルを1本作りたかったので3本目はまさかのオールローズウッドです。サイドバック、指板はもちろんボディトップもネックもローズ。アコースティックギターはサウンドホールから音を出しているわけではなく、薄く形成したトップ材を振動させて音を出しているので、ローズのような重くて硬い木材を使用したらどう考えても「鳴り」ません……。そんな掟破りなギターデザインをしてしまうのもエレキギタリストによる企画ならではということで。
工房に行ってきました
町田市にある小林一三氏の工房で直接木材を選んできました。氏のお力も借りつつ、これは、と思う物を選んできましたのでご覧ください。
まずはフルアコ風モデルのトップ材であるジャーマンスプルース。数十枚の中から選んだこちら、非常に目の詰まった良材でありながら、染みがある為使えなかったものですが、今回パーラーサイズのため丁度染みを避けて使える、ということでECO的な観点からもこちらを選びました。
こちらはバック材です。目の美しさと材の質感、両方を兼ね備えたものを選びました。サイド材も色味や杢目の雰囲気をマッチさせつつ選んでいます。
こちらがネック材です。フルアコ的に積層構造を取っています。
こちらはカヤ。事前に言われていないとスプルースの一種かな、と思ってしまいますね。思ったよりも軽く、タップトーンも明るめでした。
カヤトップに合わせるビンテージのカエデ。ド迫力の木目です。
問題のオールローズです。こちらのバック材はともかく・・・。
マーキングされた「表」の文字の異質感といったら・・・。一応タップトーンも確かめましたが、スプルースやカヤに比べて低音が強い…というよりもはや鈍い「ゴンゴン」という音が……。
オールローズのネック材ですが、ネックに使えるようなブロック状の木材は所有していないので贅沢にもサイド材を積層で貼り合わせる事に。このように木取りすることで1枚の材から複数のネックピースを取っています。
オールローズモデルは当初全ヵ所インディアンローズウッドを使用する予定だったのですが、ご厚意で指板にはブラジリアンローズウッドを使用させて頂くことに。墨流しの入った存在感バツグンな1枚を選びました。
そして出来上がったのがこの3本です。
改めて仕様面も含めてご紹介します。
Parlor ”洋”
オーセンティックなアーチトップ・フルアコの材料ベース。
表板ジャーマンスプルース、横裏板ヨーロピアンメイプルの伝統の組み合わせ。
ネックもフルアコマナーに則りヨーロピアンメイプル・エボニーの見事な5ピース。ペグボタンにはパール風をセレクト。
ロゼッタとピックガードもエボニーとし、各種最高級材を使用したエレガントな1本に仕上がりました。
Parlor”和”
日本産、和材をテーマに材料をセレクト。
まず目を惹く横裏板は一三氏秘蔵の日本楓(ジャパニーズメイプル)。40年乾燥の古材で現在は入手困難。
ヨーロッパ材や北米材とは異なる強烈な木目の日本楓を横裏板に使用しました。
併せて、こちらも古材の榧(カヤ)を表板に使用。フラメンコギターに使用されるシープレス材と似た特性を持つといわれるカヤ材。一三氏所有のカヤ、一見やや色の濃いスプルースにしか見えないほど見事な柾目で適度な芯と、しなやかさを合わせもったサウンドに仕上がりました。
ネック材は希少なホンジュラスマホガニー。
和のテーマ感にあわせてペグボタンもべっこう柄と細部にもこだわりを盛り込んでいます。
Parlor ”紫檀”
オールインドローズ単板ボディ。
インドローズネックは強度確保の為、6ピース仕様にて製作。
普段使わないからローズ指板は持っていない、という事を理由に贅沢にも秘蔵のハカランダ指板を使用させて頂きました。駒もハカランダ。
ペグもブラックカラーで統一し、アクセントとしてロゼッタにメイプルをあしらっています。
ローズボディ・ネックで硬い鳴り方かと思いきや、全くそんな事はなくややミッド寄りで独特のふくよかさもあるまとまりのよい、RECにも使いやすいサウンドに仕上がりました。
全てのモデルにピックアップ、L.R.Baggs Dual Sourceを搭載し、マイク&ピエゾ2wayで豊かな生鳴りをスポイルする事なくアウトプットします。
今一度バックからも見比べてみましょう。
どれも個性的ながら非常に美しい仕上がり。弾くだけでなく観賞用としても素晴らしい出来栄えです。
ギタラバ商品ページ
お披露目は配信イベントにて!
こちらの楽器は2022年10月8日(土)17:00よりスタートのギタラバ特別配信にてお披露目します。
特別ゲストも交えて細部のご紹介はもちろん、サウンドチェックもしていきますので是非お楽しみに!
記事:島村楽器ミーナ町田店 エレキギター・エレキベース担当:石田