【コラム】マルチエフェクターで“良い”音を作るコツ
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今回はコラムとしてマルチエフェクターで“良い”音を作るコツについて、いくつか例をご紹介していきたいと思います。
機材は人気機種のBOSSのGT-1を使用して紹介していきますが、近年のマルチエフェクターにはほぼ同じような機能が搭載されているので違うメーカーの物をお持ちの方も是非チェックしてみてください。
セッティングはポピュラーなROLAND/JC-120のインプット挿しで行なっております。
GT-1の簡単な紹介
GT-1はハイクオリティなサウンドを、軽くてコンパクトなボディに凝縮したマルチ・エフェクターです。
進化し続けるCOSM技術により磨き上げられたエフェクトとアンプでプロフェッショナル・レベルのサウンド・クオリティを実現。
さらに BOSS TONE CENTRALから世界のトップ・ギタリスト達が作成したバラエティ豊かな即戦力パッチをダウンロードし、簡単に選んで使うことができます。
シンプルで直感的な操作に加え、音色を素早く選ぶことができるEASY SELECT、音色を簡単にエディットできるEASY EDIT機能を搭載。
プロ・クオリティのサウンドをソフト・ギター・ケースに入れて手軽に持ち運び、自宅からストリート、スタジオ、ステージまで、どんな場所でも簡単に素早く音色を呼び出して使えます。
※メーカーHPより引用。
BOSS GT-1について詳しくはこちらをご覧ください。
セッティングスタート
GT-1は買ったばかりの状態(=工場出荷状態)の一番最初のプリセットでスタートしていきます。
ゼロから音を作っていく作業は慣れるまでは大変なので、最初はプリセットを変えていって自分の好きな音を見つけるところから始めてみましょう。
POINT.0 GT-1の特有な機能“EASY SELECT”の活用について
意外と知られていないのですが、GT-1にはEASY SELECTという機能が付いていて音作りが苦手な方でも直感的に行なえるようになっています。
まずはこちらのEASY SELECTボタンを押します。
そうするとジャンル、ドライブ、エフェクトというように項目が分かれていて、その中から気に入った音色を選択します。
今はメタルコアというジャンルが選ばれていますが、ツマミを回すと...
ジャンルがジャズ・フュージョンに変わり、音色も大きく変化しました。
例えば上記の気に入ったプリセットが見つかったら、この機能を使って「もう少し歪みが強くなったらどうなるのかな?」というように使う事ができます。
POINT.1 アウトプットセレクトは必ず確認する
新品で買ったものであれば最初はこの状態。JC-120のインプット(表の一般的な差込口)に繋ぐ場合はこちらがベストです。
こちらはヘッドフォンなどの使用を想定したアウトプット設定。このままギターアンプのインプットに繋ぐとポテンシャルが十分に発揮されなくなってしまいます。
もし自分の使用環境と異なる設定となっていたら変更しましょう。
アウトプットセレクト一覧
JC-120 | ローランドのギター・アンプ JC-120 のギター用入力に接続する場合の設定です。 |
SMALL AMP | 小型のギター・アンプに接続する場合の設定です。 |
COMBO AMP | JC-120 以外のコンボ・タイプ(アンプとスピーカーが一体になったタイプ)のギター・アンプのギター用入力に接続する場合の設定です。使用されるギター・アンプによっては、「JC120」に設定したほうがよい結果が得られる場合があります。 |
STACK AMP | スタック・タイプ(アンプとスピーカーが分離したタイプ)のギター・アンプのギター用入力に接続する場合の設定です。 |
JC-120 RETURN | JC-120 の RETURN に接続する場合の設定です。 |
COMBO RETURN | コンボ・タイプのギター・アンプのRETURN に接続する場合の設定です。 |
STACK RETURN | スタック・タイプのギター・アンプのRETURN に接続する場合の設定です。ギター用パワー・アンプとスピーカー・キャビネットの組み合わせで使用する場合も、「STACK RETURN」に設定します。 |
LINE/PHONES | ヘッドホンを使う場合や、GT-1 をモニター・スピーカー、ミキサー、デジタル・レコーダーなどに接続する場合の設定です。 |
POINT.2 使わないエフェクターはオフにする
プリセットの音色は様々なエフェクターがオンになっている状態です。
この状態だと音を作っていくにはリバーブが少し深めに掛かり過ぎていていたりしてしまいます。
このように最初はPREAMPかOD/DS以外は全てオフにする事で基本の音を固めやすくなります。
POINT.3 アンプのモデリングを使わないという選択肢
「折角アンプの音が入ってるんだから使った方がいい!」という気持ちは分かりますが、仕組みを理解しないでアンプのモデリングを使用すると極端な話、ギター→エフェクター→アンプ→アンプというようにアンプを2回通過する状況となってしまいます。
アンプ1台の音作り自体とても奥が深いので、だんだん何が正解か分からなくなってきてしまいます。
そんな時は思い切ってアンプのモデリングを切ってしまいましょう。このGT-1に関してはPREAMPボタンが該当します。
もしかしたらOD/DSと繋いでいるアンプだけでお気に入りのサウンドになるかもしれません。
POINT.4 PREAMPを使うならスピーカーシミュレーターはオフにする
POINT.3に関連していますが、これはギターアンプの構造に起因しています。
ギターアンプはプリアンプ(表に付いているGAINなどのツマミ部分)→パワーアンプ(プリアンプで調整された音を増幅する部分)→スピーカーという構造なのですが、このスピーカーを2回通過した事になってしまう音が俗にいう「マルチエフェクターっぽい音」というものの原因となったりします。
正しく音作りを行なううえでアンプの構造を理解しておく事もとても重要です。
スピーカーシミュレーターの確認方法
PREAMPのボタンを押して、パラメーター操作画面に入ります。
SP TYPEというのがスピーカーシミュレーターを指しています。今は10インチのスピーカーが4つ入っているキャビネットの再現が有効になっています。ツマミを回していくと...
このようにSP TYPEがOFFになりました。
ここで注意点なのですが、実はGT-1はアウトプットセレクトがLINE/PHONESの時のみスピーカーシミュレーターが有効になります。
このような理由からPOINT.1が重要な事が伺えますね。
POINT.5 ゲインとトーンは上げ過ぎない
よくこのような音作りをされている方はいらっしゃるのではないでしょうか?
もちろん悪くはないのですが、一般的には抜けが悪い音になってしまったり、逆にアンサンブル内で特定の音域が目立ち過ぎてしまったりしてしまう事が多いです。
個人的にはPREAMPやOD/DSのゲインやトーンは50%の状態で、まずはエフェクターを繋いでいるアンプ本体のツマミを操作する事がおすすめです。
アンプ本体では追いきれない帯域に関してはエフェクター側で微調整していきます。
特にトーンに関しては「少しこもってるかな?」と思ったら、まずはアンプ本体の音量を上げられるだけ上げましょう。そうすれば高音域が目立つようになってきます。
自宅では最高の音なのにスタジオやライブだと高音が強すぎる、といったパターンはこの方法で対処すると解消されるかもしれません。
ワンランク上の活用術
ここまで音作りのコツについてご紹介してまいりましたが、ここからはワンランク上の活用術についてご紹介していきたいと思います。
GUITAR SIMULATORエフェクトで様々なギターの音が鳴らせる
実はGUITAR SIMULATORなるエフェクトがGT-1には内蔵されており、これはギターのピックアップやボディなどによる特徴を付与してくれるという優れモノです。
例えばシングルコイル→ハムバッキングといった設定もできるので演奏する曲やバンドに合わせて積極的に活用すると音作りの幅が広がるかもしれませんね。
うっすらエフェクトをかけて音に奥行きを出す、馴染ませる
「クリーンサウンドを作るぞ!」と思うと、まず上記のようにクリーンなアンプの設定を選ぶ事が多いと思います。
ですがこの音色をそのまま鳴らしてしまうと、アンサンブルの中で浮いてしまうクリーンサウンドになる事があります。
そんな時はコーラスなどのエフェクトをうっすらかける事によって奥行き感を出して、アンサンブルに馴染ませていく事ができます。
コーラスをオンにするとこの画面。この状態だとDEPTH(エフェクトの掛かりの深さ)が50もあるので、とてもうっすらではありません。
DEPTHを10まで下げました。コーラスが掛かっているようにはあまり聴こえませんがアンサンブル馴染みはよくなり、歪みの音色とのバランスも取りやすくなると思います。
また、エフェクトを掛けずにクリーントーンを作るコツとしては少し歪むくらいの状態までPREAMPのゲインを下げるといったやり方もあります。
PREAMPはHIGAIN STACKと書かれているのにゲインは10まで下げてしまいました。ギター単体で聴くと少し歪んでいても意外とアンサンブルだとクリーンに聴こえるものです。
クリーンのバリエーションが作れるとかなり上級者の印象です。
バッキングとソロの音色使い分けにはボリュームペダルを活用する
セッションギタリストの方に多いのですが、アンプやエフェクター側はあえて音量を大きくしたり、高音を強く設定しておいて、ギター側のボリュームやトーンのつまみで調整をする技術があります。
これによって周りの楽器や演奏ジャンルに合わせて自在にバランスを変えられるのですが、演奏しながらギターのつまみを操作するのは慣れるまでとても苦労します。
そんな時におすすめなのがボリュームペダルを活用する事です。ボリュームペダルは「音量の調整」や「音質(=特に歪み量)の調整」が行なえる、個人的には一番重宝するエフェクター(?)です。
ソロの音色調整をペダルで行えればCTLにはディレイを入れてイントロで使う、みたいな機能拡張にも繋がりますので是非チャレンジしてみてください。
音量の調整がしたい場合はPREAMPやOD/DSの後ろにFV(ボリュームペダル)を配置します。
歪み量など音質の調整がしたい場合はPREAMPやOD/DSの前にFV(ボリュームペダル)を配置します。
さいごに
いかがでしたでしょうか?
最後に一言、大事な事なのですが「自分がカッコ良いと思った音が良い音」です。
今回の記事の内容はあくまで例ですので、是非参考にして頂きつつ、カッコ良い音を作っていただけたらと思います。
それではまた次回のコラムでお会いしましょう。
BOSS GT-1
メーカー | BOSS |
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型名 | GT-1 |
販売価格 | ¥20,350(税込) |