【ビギナーズ倶楽部】第6回 ギターの選び方① ~予算別、アーティスト別~
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10~15万円
このあたりになると、日本製はもちろん、アメリカ製のモデルも買える様になります。「アメリカ製だから良い」と盲目的なお話ではありませんが、例えばFender社で作られた「ストラトキャスター」というものが手に入るので、Fender社の元祖ストラトサウンドが欲しいとなると、この価格帯になります。
●ポイント ~アコギの場合
10万円を越えてくるとMartinも手に入ります。
000X1AE。(販売価格 (税込) ¥107,250 (税抜 ¥97,500))
Martinというと30万円を越えるモデルというイメージですが、こういったエントリーモデルも発売しているのです。
スペックはスプルース単板トップではありますがサイドとバックは「ハイプレッシャー・ラミネート材」と呼ばれるマホガニー。詳細は公表されていないものの、「廃材を砕いた後に圧縮して1枚の板にしたもの」と言われています。またこのモデルはエレアコで、アコギ・ピックアップ界の有名どころ、フィッシュマンのピックアップが載っています。
エントリーモデルといっても約10万円。少々高いですがMartinらしい煌びやかさを持ったサウンドなので、Martinブランドに憧れるビギナーにとっては嬉しいモデルです。
●ポイント ~エレキギター、エレキベースの場合~
海外メーカーのエントリーモデルと共に、国内メーカーのハイエンドモデルが手に入るのもこの価格帯の魅力。画像はSCHECTERのSD-2-24-AL。販売価格 (税込) ¥140,800 (税抜 ¥128,000)のモデルです。
SCHECTERにはもちろんEXシリーズやSD-DELUXEなど上位のモデルも多数ラインナップされていますが、コンポーネントギターメーカーであるSCHECTERのSD-2はお手ごろなハイエンドギターとして認知されています。パーツ類もSD-DELUXEに引けを取らないものが選択されていて、弾きやすさだけでなくサウンド面でも非常に評価が高いギターです。
●結論
15~20万円という価格帯は、実はけっこう穴です。いい意味で。
海外の老舗メーカーであるMartin、Gibson、Fenderのエントリークラスも選べるし、国内メーカーの比較的ハイスペックなギターも選べるという、混沌とした価格帯なのです。だからこそ目当てのギターが見つかりやすかったりします。
高校生~大学生でこの価格帯のギターを選ばれる方、けっこういらっしゃるんですよ。もちろん社会人の方々はこの価格帯をターゲットにお店にいらっしゃる方も多いです。
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15~20万円
15万円を越えてくると、もうかなりのこだわりを詰め込んだギターになってきます。仕上げやパーツ、木材の質など、しっかりしたランクのモノを使用して細かい精度で作られます。選ぶ幅も広がってきます。
●ポイント ~アコギの場合~
このあたりから、トップだけでなくサイドとバックも「オール単板」というモデルが出てきます。
画像はHISTORYのNT-L4。販売価格 (税込) ¥170,500 (税抜 ¥155,000)。
スペックを見てみると...
- ボディトップ:シトカスプルース単板
- ボディサイド:マホガニー単板
- ボディバック:マホガニー単板
- ネック:マホガニー
- ペグ:GOTOH SG381-01/C
- ナット&サドル:牛骨(オイル含浸)
となっています。ボディ材はすべて単板で生鳴りを活かす事を徹底的に狙っています。さらによく見るとただのスプルースではなくて「シトカスプルース」という材が使われています。「シトカ」というのはアメリカ合衆国アラスカ州、シトカ市郡の名前から来ています。北米大陸の寒い地域でとれるスプルース材のこと。煌びやかな音が特徴です。(他にもイングルマン、ジャーマン、アディロンダックなどのスプルースの種類があります。それらの表記が無い場合、他の地域で採れたスプルースであることが多いです。)
またペグがGOTOH製のSG381-01という日本製ペグのスタンダードをしっかり搭載。
さらにナットとサドルが牛骨であるという点。(しかもオイル漬け) 堅過ぎず、柔らか過ぎずという牛骨の特性に、チューニングを滑らかにするオイル漬けというコンビネーションです。
もちろんこの価格帯すべてがそういう細かな点でハイグレードなものではないですが、こういったモデルが出始めるのもこの価格帯のオイシイ所。探してみる価値アリなんです。
●ポイント ~エレキギター、エレキベースの場合~
エレキギターでは、Gibsonのレスポールが手に入ります。
画像はLess Plus 2015。販売価格 (税込) ¥199,430 (税抜 ¥181,300)。
メイプルトップにマホガニーバック、ローズウッド指板のレスポール黄金スペックに57Classic、57Plusというピックアップを搭載した、レスポールらしいレスポール。レスポールのラインナップは2015現在だと
- Les Paul Classic 2015(販売価格 (税込) ¥216,370 (税抜 ¥196,700))
- Les Paul Traditional 2015(販売価格 (税込) ¥261,800 (税抜 ¥238,000))
- Les Paul Standard 2015(販売価格 (税込) ¥341,880 (税抜 ¥310,800))
などがあります。その中でも一番価格を抑えたモデルですが、レスポールの基本スペックを踏襲している、「ザ・レスポール」と言えるモデル。
●結論
15~20万円の価格帯では、「良さを追求したスペックのギター」、そして「老舗メーカーの王道ギター」が手に入るようになります。今回はアコギで前者を、エレキギターで後者を説明しましたが、お互い逆でも、もちろんベースでも同じことが言えます。
このあたりのギターを購入されたビギナーは、いい意味で自分にプレッシャーをかける事が出来ると思います。「練習しなきゃ」というプレッシャーを(笑)
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20万円~
あくまで目安ですが、20万円を越えてくると「一生もの」と呼ばれる事が多いです。木材も最高級グレードを使ったり、手作業の部分がかなり増えたりと、「価格を考えずに良いものを作って、最後に価格を決めたんだろうな」っていう、なかなか手の届かないものもあります。
●ポイント ~アコギの場合~
当然ですが、いわゆる「そのものズバリ」というモデルが買えます。
Martinの黄金期と言われる戦前のラインナップ。その頃のモデルを忠実に再現したマーキス・コレクションもそのうちの一つ。
「フォワードシフテッド・スキャロップド・Xブレーシング」という機構が載っています。なにやら名前が長いです...
トップ材の裏側の支え木(力木)の事をブレーシング(Bracing)と言います。それがX型になっているからXブレーシング。このXブレーシングを発明したのもマーチンです。
Xのクロスした部分をサウンドホールの方に近づけたものが「フォワードシフテッド」(Forward Shifted」)。支え木(力木)のクロス部分がブリッジの真下にあると弦の振動でボディトップを振るわせるのに障害になってしまうので、ずらした機構です。
さらにブレーシングの木材を谷のように削る手法を「スキャロップド」(Scalloped)となります。ブレーシング自体の比重が減ることでトップ全体の振動が強くなります。
●ポイント ~エレキギター、エレキベースの場合~
HD-28Vの用に「黄金期のギターをそのままのスペックで」というギターもあれば、「最新の技術で最高のサウンドを」というギターもあります。
アメリカの大手メーカーは毎年ラインナップをグレードアップさせています。Gibsonしかり、Fenderしかり。PRS(Paul Reed Smith)もその一つです。
PRSはストラトキャスターとレスポールの良いトコ採りをしたギターというのは【ビギナーズ倶楽部】第4回 エレキギターを知る② ~個性的なギターたち~でも紹介しました。ハムバッカーを2基搭載しながら、コイルタップという手法でシングルコイルのサウンドを出せたり、メイプルトップ+マホガニーバックというレスポールの王道の木材組み合わせでありながらボディ自体を薄く仕上げて、さらにトレモロアームが載っていたり...。
それだけでなく、サスティンがしっかり出ていたり、フレットのエッジ処理がとっても丁寧だったりと、今エレキギターの王者の一つ。
●結論
「ビギナーでも一生モノを買う」というのはとても良い選択肢です。弾きやすさやサウンド面で落ち度が無い分、引き手の技術がそのまま演奏に現れてくれますから、上手になればなっただけ実感が持てます。
しかし問題は価格です。若いビギナーの皆さんにとってこの価格帯は非常にハードルが高いの
も事実です。