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【今さら聞けない】エフェクターの基礎知識編 ~モジュレーション(揺らし)系エフェクター~

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フランジャー

フランジャーの歴史

世界で初めてフランジャー効果を使用したのはThe Beatlesだと言われています。
彼らのこのアルバム

http://youtu.be/NEz2YD-w2jc

1969年発売のRevolverでは、随所で(特にボーカルトラックで)フランジャーが聞けます。
John Lennonから「2度歌わなくてもダブル・トラッキングを機械で作り出す事が出来ないか?」と相談を受けたKen Townsent(当時*EMI ロンドン・スタジオのテクニカル・エンジニア)が生み出したのがそれで、のちにADT(Artifical Double Tracking)と呼ばれる技法です。
やり方は、2台のオープン・リール型のテープレコーダーを微妙にズラして再生するというもの。
これでダブリング効果を生み出していたのです。

更にEMIロンドン・スタジオでエンジニアをしていたGeoff EmerickはKenと共に片方のレープリールに手を触れて無理やり回転ムラを発生させます。
そこから生まれる音程の揺れを、正しく回転しているテープと一緒に再生することで周期的に変化する短いディレイ音をJohnは気に入り、「KenのFlanger」と呼んだのです。
(Flangeは、テープのリールの部分を指す言葉)
これがフランジャーの始まりです。

その後、コーラスの項でも言及したBBD素子が登場すると、Rolandがコーラスを生み出したようにMXRがフランジャーを生み出します。
1970年代後半のことです。
ここで初めて、ギターエフェクターとしてのフランジャーが登場したのです。

現在のAbbey Road Studios

フランジャーの仕組み

フランジャーがBBD素子を使用しているということは、コーラスと兄弟のような関係。
でもコーラスとフランジャーは全くと言って良いほど効果が違いますね。

過激なフランジャーサウンドまでしっかり体感できるのがこの動画。
http://youtu.be/bkUfPUKilWI
Paul Guilbertがプロデュースした、Ibanez “Airplane Flanger AF2”をPaul自身がプレイしながら解説しています。

ではコーラスとフランジャーの違いを簡単に...

  • ディレイ・タイム
  • フィードバック

この二つです。
コーラスのディレイ・タイムが10~30msecなのに対して、フランジャーでは0.5~15msecとかなり短く設定されます。
さらにフィードバック(簡単に言うと、遅れた音をまたインプットして、何回繰り返すか)を増やします。
この二つで位相のズレを発生させて、フランジャー独特の金属的なウネリが生まれるんですね。

フランジャーの代表機種

s-m117r
MXR “EVH117 Flanger Flanger”
メーカー希望小売価格 (税込) ¥38,500 (税抜 ¥35,000)
販売価格 (税込) ¥21,560 (税抜 ¥19,600)
JAN:0710137033061

 

Flangerというエフェクターを世界で最初に生み出したのがMXRというのは先ほど「歴史」の部分でも触れました。
そして「Flanger」と聞いて一番最初に思い浮かぶミュージシャンといえばEdward Van Halen。(←個人的好みも多分に含んでます)
このEVH117RはMXRの最初のフランジャー、M117(なんとAC電源オンリーw)に近い設計になっているそうで、さらにEddieの“Unchained”セッティングを瞬時に呼び出す「EVHスイッチ」を搭載と、Eddie好きにはたまらない仕様になっているのです。
彼のギター“Frank”の模様をペイントした筐体も良いですよね。
Van Halenを弾くなら必須なんですが、エフェクトのかかり具合もといろんな場面で使える優秀なフランジャーだと思います。

s-af2
Ibanez “AIRPLANE FLANGER AF2”
メーカー希望小売価格 (税込) ¥25,300 (税抜 ¥23,000)
販売価格 (税込) ¥21,560 (税抜 ¥19,600)
JAN:4515110574649

 

さきほども出てきた、Paul Guilbertが彼の満足いくサウンドを生み出すためにIbanez開発陣と共に製作したフランジャー。
製作してみたらPaul自身も想定していなかった使い方まで出来てしまう、魔法のフランジャーペダルです。
TaxiモードとTakeoffモードの2種類がフットスイッチで切り替え可能になっていて、Taxiモードではノーマルなフランジャーらしい使い方(設定によってはかなりエグくなりますが)、そしてTakeoffモードでは文字通り飛行機が離陸するかのようなサウンドが生み出せます。

http://youtu.be/3A-2D5AkE3I?t=3m19s

2009年、再結成を果たして「Next Time Around 2009 Tour」で武道館公演の際の映像。
3:25あたりでこのAF2サウンドを聞くことが出来ます。
最初に来たときはまだAF2が発売される前で、「あれはどうやってるんだ?」と思った覚えがありますね。

s-vortex
tc electronic “Vortex Flanger”
メーカー希望小売価格 (税込) ¥19,250 (税抜 ¥17,500)
販売価格 (税込) ¥15,400 (税抜 ¥14,000)
JAN:5706622010407

 


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1976年の創業時にSCF(Stereo Chorus + Pitch Modulator & Flanger)を発売し、その後もラックエフェクターをメインに上質なエフェクトをラインナップし続けてきたtc electronicが、近年力を入れているのが、ペダルタイプのコンパクトエフェクター。
それまでの上質なサウンドをコンパクトな筐体納めて、さらに価格もコンパクトペダルらしい価格、とギタリストには嬉しい変化を遂げています。
そんなtcのフランジャーがコレ。

tcの最近の特筆点はもう一つあって、“Tone Print”というもの。
これはプロ・ギタリストの設定をそのまま移植できるという機能。
tcのVortex Flanger、Tone Prointサイトを覗いてみるとこんな方たちの名前が...

  • Joe Perry
  • John Petrucci
  • KenKen
  • Orianthi
  • Steve Stevens
  • Syu

他にもたくさんの名前があって、いろいろダウンロードしたくなります。
この機能は、「あのサウンドを出したい」って時に非常に便利ですね。

s-bf3
BOSS “Flanger BF-3”
メーカー希望小売価格オープンプライス
販売価格 (税込) ¥12,540 (税抜 ¥11,400)
JAN:4957054057510

 


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BBD素子を使用したエフェクターとして世界初のコーラスを発売したBOSSブランドですが、フランジャーはMXRが先。
そんなエフェクター黎明期を築いてきたBOSSが現在ラインナップするのが、このBF-3。
BOSSらしくバッファーを内臓し、様々なフランジ・サウンドを生み出せるコントロール類と、ベース入力にも対応している点が一味違います。

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