【今さら聞けない】エフェクターの基礎知識編 ~ダイナミクス系エフェクター~
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リミッター
リミッターとは
コンプの項で説明したこの図。
分かりやすくレシオを∞:1で記載したのですが、実はここまで極端だとリミッターの図になるのです。
コンプはスレッショルド値を越えた音に対して、上から叩いて落とすイメージ。レシオ次第ですが、まずは一度スレッショルド値を超えるものと言えます。
リミッターはスレッショルド値をそもそも越えないというもの。
※リミッターではスレッショルド値を「Cell(セル・天井)」とも呼びます。最大音量値になるからですね。
ギターではあまり使われる事のないリミッターですが、ベースでは定番であり、マスタリングでは必須となるのがリミッターです。
リミッター代表機種
BOSS LMB-3 Limiter/Enhancer
オープンプライス
販売価格 (税込) ¥11,000 (税抜 ¥10,000)
JAN:4957054036874
スレッショルド値が設定できるツマミに加え、レシオ・ツマミを搭載した、ベース専用機。これによりリミッターとして格段に操作しやすく、サウンドを「らしく」なるように作り込むことが出来ます。
さらにエンハンサー機能(後述)も搭載し、音抜けも追加できるようになっています。
Taurus Tux Silver Line
メーカー希望小売価格 (税込) ¥32,780 (税抜 ¥29,800)
販売価格 (税込) ¥27,940 (税抜 ¥25,400)
JAN:4519581030574
パッシブ・オプチカル回路を搭載する事によって、ノイズレスで音を圧縮できるコンプ/リミッター。左上のCOMP/LIMITERスイッチによって切り替えが出来るので、コンプでもリミッターでもしっかりした効果を得られます。
やはりベースでの使用を想定しているようです。
MAXON RTC600 -Real Tube Compressor/Limiter-
メーカー希望小売価格 (税込) ¥47,080 (税抜 ¥42,800)
販売価格 (税込) ¥37,620 (税抜 ¥34,200)
JAN:4515615006591
こちらもコンプ/リミッターと名付けられたペダル。レシオの設定によってコンプかリミッターかの効き方を選択します。特徴はやはり真空管を搭載しているという点。温かでリアルなサウンドが魅力でしょう。
ACアダプターから9Vで入力された信号は、25Vまで昇圧されてコンプ/リミッター回路に供給されるため、どんな楽器にも対応できる広いヘッドルームを保有します。
※ヘッドルームとは、信号が入力されてからそれが飽和してしまう(チリチリ鳴ってしまう)までの余裕の事。ヘッドルームが広すぎると、逆にS/N比が下がり、ノイズが目立ちやすくなってしまいます。
マキシマイザー
マキシマイザーとは
マキシマイザーというのは、コンプ/リミッターとほぼ同じもの。役割が違うと考えてください。
コンプの項で出てきたこの図。
これこそがマキシマイザーが行う事です。
要は、「音量を持ち上げて音圧を出す」役割を担うという事です。コンプと決定的に違うのは、役割だけという事になります。
レコーディングではマキシマイザーが定番エフェクトとして使用されていますが、ギター/ベースではほとんどその名のエフェクターは存在しません。モノラルのシンプルなサウンドエあれば、コンプ/リミッターで出来てしまうからでしょうね。
マキシマイザー代表機種
2017年5月現在ではBBEの代理店が無くなってしまったので、第一回でご案内したBBE SONIC STOMPも正規品は入手出来ません。そんな中で重宝するのが、コレ。
ZOOM B1Xon
メーカー希望小売価格 (税込) ¥10,450 (税抜 ¥9,500)
販売価格 (税込) ¥8,888 (税抜 ¥8,080)
JAN:4515260012961
このB1Xonには様々なエフェクターが搭載されており、「BBE ソニックマキシマイザー風」と銘打たれたエキサイターが選択可能です。B1Xon搭載エフェクターリストはこちら。
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エキサイター??
なぜ「マキシマイザー風エキサイター?」
それでは次のエキサイター/エンハンサーに行ってみましょう。
エキサイター/エンハンサー
エキサイター/エンハンサーとは
音量を持ち上げるマキシマイザーに対して、エキサイター、エンハンサーは「埋もれてしまったサウンドを前に出す」という効果があります。
その原理は、サウンドの原音成分から抜け落ちてしまった、もしくは削れてしまった倍音成分を作り出して持ち上げる、というもの。根本的には歪ませる回路を活用したものです。バンド内でギターやヘベースのサウンドを前に出して目立たせたい場合や、ベースのスラップを、より煌びやかに響かせるといった活用法があります。
エキサイター/エンハンサー代表機種
以前はBOSSのEH-2 Enhancerが販売されていましたが、今では生産完了品。現在はラインナップが非常に少ないこのジャンルですが、ありますよ。
VOCU MTR(Magic Tone Room)
メーカー希望小売価格 (税込) ¥22,000 (税抜 ¥20,000)
販売価格 (税込) ¥22,000 (税抜 ¥20,000)
JAN:4589501310185
ツマミを見ればわかる通り、高音域と低音域両方の倍音成分を別々に付加する事が可能。
さらに左側のCF(カットフィルター)⇔HE(ハーモニックエンハンサー)を切り替えることで、フィルターとしても機能します。(CFにした場合は4つのツマミはフィルターのコントロールとなります)
このページの冒頭で紹介したBOSS LMB-3 Limiter/Enhancerもエンハンサーを搭載しているので、ベーシストにはそちらの方が入手しやすいかと思います。
ダイナミクス系エフェクターの必要性
どちらかというと、ダイナミクス系のエフェクターは楽曲のミックス時に必須のエフェクター。iZotopeのNeutronなど、プラグインでもたくさん種類が出ています。
それでは、ギター/ベース用エフェクターとして需要はないのか? そんなことはありません。特にギターではカッティング時の音の粒を揃えるためのコンプ、ディストーションサウンドでのサスティンUPや粒を揃えるためのコンプなど、コンプは必要不可欠。
ベースであれば、フレーズ全般で音の粒を揃えるためのコンプ、スラップ時のリミッターなど、無ければいけないエフェクターとなっています。
ではそれ以外のダイナミクス系は?
残念ながらメインストリームとは言えません。やはりミックス段階で必要になってくるエフェクターというのが一般的な認識です。しかし効果がある事は事実なので、お店でエンハンサーなどを見つけたら、積極的に試してみて下さい。新たな境地が開けるかもしれませんよ!!