長野県塩尻市に工房を構える、国内屈指の技術力を誇るRED HOUSE(レッドハウス)。
「信州ギター祭り 2025」の開催にあたり、今年も同工房とタッグを組み、オーダーメイド製作を行いました。
今回から4回にわたって、その製作の様子をご紹介していきます。
初回となるVol.1では、RED HOUSEの工房と代表者、そしてオーダーしたギター・ベースについてお伝えします。
その1・工場・制作者の紹介その1・工場・制作者の紹介
RED HOUSEとは

RED HOUSEは、1987年に長野県塩尻市で創業されたギター工房です。
代表兼マスタービルダーの石橋 良市(いしばし りょういち)氏が、自らの手で1本1本丹念に仕上げるギターは、高い精度と演奏性で知られ、多くのプロ・アマ問わずギタリストから信頼を集めています。
代表 石橋 良市氏について

石橋氏は1961年生まれ。
高校時代にロックとギターに出会い、その影響からクラフトマンを志します。
卒業後は松本市の「原山ギター製作所」で修行を積み、1987年に独立し、Red House Guitarsを設立。
工房名の「RED HOUSE」は、石橋氏が敬愛するジミ・ヘンドリクスの楽曲『Red House』に由来しています。
その名の通り、ロック・スピリットとこだわり抜かれたクラフトマンシップが根付いた工房です。
製作に込めたこだわり
RED HOUSEでは、「楽器に不安を持たず、音楽を心から楽しんでほしい」という想いのもと、演奏者のストレスを取り除く弾き心地と完成度を徹底的に追求しています。
すべての構造において高精度な設計・加工が行われており、特にネックに組み込まれるトラスロッドキャビティは、ガタつきを完全に排除。これにより、演奏時にネック内で生じる不要な共振を抑え、クリアな響きを実現しています。
また、Head Vibration Controllerと呼ばれる独自構造が有名ではないでしょうか。
ヘッドの余分な振動が抑えられるため、タイトなサウンド、ヘッドの共振を抑えてデッドポイントの減少、ヘッドで振動エネルギーを消費しないことによるサスティーンの向上を実現するRED HOUSEならではのポイントです。
オーダーしたモデル
Seeker S/HH FRT
こちらのモデルですが、激しめの音楽が好きな方ならモデル名でピンと来たのではないでしょうか。
そうです、フロイドローズブリッジ搭載です。
昨今の音楽シーンではアーミング自体の登場シーンが少なくなってしまった印象がありますが、フロイドローズを用いた激しいアーミングは唯一無二のカッコよさがあります。
また、信州ギター祭りでフロイドローズ搭載ギターが出ること自体も久しぶりではないのでしょうか。
こちらは画像の右のネックになります。
フロイドローズ搭載に合わせてロックナットも取り付けますので、特徴的なナット形状ですね。

最後に
RED HOUSEは、“楽器に向き合うすべての演奏者”が「自然体で演奏を楽しめる」ことを大切に、楽器製作に取り組んでいます。その精緻な技術と情熱は、塩尻の地から全国の音楽ファンに届いています。
次回Vol.2では、オーダーされたギターとベースに使用される「材料」について詳しくご紹介します。
どうぞお楽しみに!
ご覧いただき、ありがとうございました。
その2・材料についての紹介
ボディ材
こちらのモデルはボディ材にアッシュを使用しています。
アッシュを採用した理由ですが、本機はFRTブリッジを搭載しています。
皆さまはFRTブリッジ搭載ギターといえばどんなジャンルを想像しますか。
多くの方がメタル・ハードロック系を思い浮かべると思います。
本機のコンセプトですが「音像の重心は低めで、メタル・ハードロック系に合うサウンド」というのがあります。
そこを意識した際に一番コンセプトにマッチするのがアッシュではないか、という事でこの材を採用しました。

ネック材
ネック材は前回の記事でちょこっとだけお見せした通りメイプルを採用しています。
指板材
こちらも前回の記事でちょこっとだけお見せした通りローズウッドを採用しています。
本機をオーダーする際に指板材をローズウッドかメイプルで悩みましたが、ローズウッドの粘り気のある音色が本機のコンセプトに合うという事で、ローズウッドが選ばれました。
ボディ材で書いた通り本機のコンセプトが「音像の重心は低めで、メタル・ハードロック系に合うサウンド」なんですが、様々なジャンルでも使用していただきたいです。
そのため、音が固くなり過ぎないようにピックアップをエスカッションマウントにしてあります。
また、ピックアップセレクターはトグルスイッチをセレクトしています。
意外とあるようでない、FRTブリッジ・エスカッションマウント・トグルスイッチというスペック。
完成が待ち遠しいですね。
さて、次回は塗装についてご紹介します。
どうぞお楽しみに!
ご覧いただき、ありがとうございました。
その3・塗装についての紹介
今回は本機の塗装を紹介致します。
塗装とは正にギターの顔であり、ギターの第一印象を決定付ける大事な要素です。
本機はボディ材にアッシュ使用しています。
世の中にアッシュを使用したギターは多数有りますが、その殆どが杢目が見えるシースルー塗装ではないでしょうか。
そんな個人的な意見を元に、本機も杢目が見えるシースルーを採用しました。
塗装前のボディがコチラ。



キレイなアッシュですね。
この杢目に青色が薄く着色されていく予定です。
さて、次回はついに完成した実機の画像を公開いたします。
どうぞお楽しみに!
ご覧いただき、ありがとうございました。