今年9月開催予定の『信州ギター祭り2025』に向けて、当店では長野県松本市を拠点とするギターブランド「MOMOSE(モモセ)」へ、フルオーダーを依頼いたしました。
2025年初頭にはメーカー本社を訪問し、木材の選定から仕様の検討に至るまで、すべての工程を吟味して製作を進めています。
本記事では、MOMOSEブランドならではのクラフトマンシップと、日本が誇る和材の魅力を活かしたオーダーギターについてご紹介いたします。
また、数あるオーダー品の中から、特に個性豊かな1本をピックアップし、特徴や材の選定理由なども詳しくお伝えしてまいります。
その1・工場・制作者の紹介
長野県松本市を拠点とするギターブランド「MOMOSE(モモセ)」。
こちらのブログでは信州ギター祭 2025 開催にあわせた特別仕様のオーダーモデルの製作過程をお届けします。
その1にあたる本記事では、その製作を担う工房および製作者についてご紹介いたします。
MOMOSEとは

「MOMOSE」は、株式会社ディバイザーが企画・監修し、製造は長野県内にある提携工房で行われている、国産クラフトギターブランドです。一本ごとに熟練の職人が手作業で組み上げるそのギターは、演奏性、音色、造形のいずれにおいても高い完成度を誇り、多くのプレイヤーより高い評価を得ております。

ショールーム・倉庫・工房が一体となった施設『ディバイザーテクニカルセンター』
今回、当店が製作を依頼したモデルは、信州ギター祭のために企画されたオリジナルの仕様となっており、完成後はイベント会期中、および店頭にて展示・販売を予定しております。
製作工房:有限会社 飛鳥


本カスタムオーダーの製作を一手に担うのが、長野県松本市に拠点を置く『有限会社 飛鳥』です。
同社は、国内有数のハンドクラフト技術を有し、MOMOSEをはじめHeadwayやBacchusといった国産ブランドの製造拠点として知られています。木材の選定から木工加工、塗装、セットアップまで、MOMOSEの全製造工程は自社内で完結しております。この一貫した生産体制こそが、MOMOSEクオリティを支える根源となっております。
信州の自然に囲まれた立地も、良質な木材の保管・乾燥環境として最適であり、まさに信州ギターと呼ぶにふさわしいギターづくりの現場です。
工房長 高取 裕二 氏

プロフィール
1981年生まれ、宮崎県出身。中学生からギターを弾き始め高校生の時にギターの構造に興味を持ちはじめ、高校卒業後に国立音楽院ギタークラフト科に入学しギター製作を学ぶ。2001年に現在の飛鳥工場の前身であるHEADWAYに入社。木工加工をメインに担当しレギュラーモデルだけにとどまらず、特注品やイベント用ワンオフモデルを制作する飛鳥屈指のビルダーである。

今回の信州ギター祭向けオーダーにあたっては、弊社担当スタッフが飛鳥工場を訪問し、高取氏とともに材料の選定作業を実施いたしました。
工房で並べられた多数の材から、どの組み合わせがこのモデルの意図に合致するのかを、工房長とともに一点一点確認・比較しながら選び抜いた結果、今回のオーダーにふさわしい組材が整いました。

今後の更新予定
今後のブログ更新では、今回オーダーしたモデルを1本ピックアップし、順次ご紹介してまいります。
本企画を通じて、国産クラフトギターの魅力と、製作現場の高いこだわりを、皆さまにお届けできましたら幸いです。
その2・材料についての紹介

木材選定へのこだわりと現場の様子
今回のオーダーモデルの製作にあたり、担当スタッフは飛鳥工場を訪問し、一枚一枚、木材を吟味いたしました。
ギターは使用する木材によって音色や鳴り、ルックスが大きく左右される楽器であるため、スペック表記だけでは分からない「素性」や「個性」を直接手に取り、目で見て、触れて確かめるプロセスが不可欠です。
工房長 高取氏の豊富な経験に基づくアドバイスを受けつつ、モデルコンセプトに最適な材がそろいました。
使用木材の特長 ~主な材種について~

石川県で産出された栃材を贅沢に使用したボディ。
MOMOSEブランドでは、日本各地の自然素材を活かしたギター作りを推進しています。
栃は、古くから家具や茶道具などに用いられてきた伝統的な木材です。そのサウンドは、ローミッドからミッド付近が明るく抜けてくる、ほどよくソリッドなトーンが特徴と言われています。歪ませた際には、重心がやや低めの位置から響く心地よいサウンドが得られ、栃材がトーンウッドとして高いポテンシャルを持つことを実感していただけます。
今回、担当スタッフが日頃から石川県で暮らしていることもあり、ゆかりのある石川県産の栃材を選定しました。
その3・塗装についての紹介

写真左側に写っているブルーカラーのモデルが、本モデルです。
栃材のフレイム(杢目)と、ブルーの力強いグラデーションが、未完成の段階からすでに存在感を放っています。
次回はいよいよ、完成品をお披露目する予定です。ぜひご期待ください