3.レスポール・タイプ
いよいよエレキギター、ソリッドボディの代表モデル3機種のうちの一つ、レスポールです。
レスポールポールとは?
「レスポール」というのはそもそも人名です。「Les Paul」という人はもともとギタリストで、発明家でもあった人物。Gibson社から発表された彼のシグネイチャー・モデルである「レスポール・モデル」として発売されたのです。それがいつしか数々のギタリストによって演奏され、今では3大ギターシェイプの一つとしての地位を築き上げています。
↑レスポールがギタリストでもあり、発明家でもあることが分かる動画です。
レスポールの特徴は、マホガニー材のボディにメイプル材を貼った「メイプル・トップ、マホガニー・バック」という構造で、しかもボディトップは湾曲したアーチトップになっていること。ペグはヘッドの両側に3個ずつ配置。そしてネックをボディに直接接続して接着する「セットネック」というシステムです。
このセットネック方式と、厚めのボディ、太めのネックというコンビネーションが、ストラトやテレキャスにはないサスティンを生み出します。ピックアップはハムバッカーが搭載されることが多いです。
ボディの材、厚み等々の理由からレスポールはかなり重めのギターとして有名。その質量があることもサスティン向上に繋がる大切なポイントなんです。
※2008年以降のレスポールはボディ内部に穴をあけた「チェンバー加工」を施しており、それまで重くて弾き辛いといった声を払拭。またレスポールのサウンドを継承しながらも、ギター自体の「鳴り」を意識したモデルに進化しています。
レスポールを使用するギタリスト(海外)
レスポールが最初に発売されたのが1952年。それから仕様変更を経て現在のレスポールの形に落ち着きますが、ギターサウンドのパワーもありすぎ、あまり世間に受け入れられませんでした。その結果1960年にレスポールは一度生産を終えます。
それから数年後、今ではストラトが代名詞であるクラプトンがレスポールを使い始め、レスポール人気が上昇。
マーシャルの1962というアンプをフルアップ(すべてのツマミを10まで上げる)して歪ませるサウンドが定着しました。
そして1968年、Gibsonはレスポールを再発売。それからこのギタリストの使用でレスポールはまた大きな注目を浴びます。
レッド・ツェッペリンのジミー・ペイジです。レスポールを低い位置に構え、マーシャルアンプで歪ませて鳴らすギターサウンドはその後のハードロック界の歴史を作ったと言えるでしょう。
しかしレスポール人気はまた陰りが見え始めます。70年代後半~80年代前半はフュージョンやテクニカルなハードロックが流行した時代。ギターもストラトや、変形ストラトタイプが非常に多く使われました。
そこで登場したのがこの人。
ガンズ・アンド・ローゼズ(GUNS N’ ROSES)のスラッシュです。
ジミーペイジ同様、レスポールを腰より低い位置に構え、マーシャルでがっつり歪ませたサウンド、そして何よりもワイルドなプレイスタイルでレスポールをもう一度表舞台に引っ張り出しました。
あ、この方も忘れちゃいけませんね。エアロスミスのジョー・ペリーです。
ジョーも自身のシグネイチャー・モデルがGibsonから発売されているギタリストの一人。レスポール人気の立役者の一人です。
…ジョーのギターの位置も低いですね。レスポールは低く構えるのが基本なんでしょうか。
これまでの3人よりは低くないですが腰あたりで比較的低めの位置に構えるのがゲイリー・ムーア流。
レスポールだからこそのサスティンと、彼の涙が出てくるようなビブラートを堪能してください。
と、挙げていくとキリがないですね。続けて国内ギタリスト行ってみましょう。
レスポールを使用するギタリスト(国内)
国内でレスポールといったらまずはこの方を紹介しないとけません。
アジア人初のGibsonエンドース・アーティストとなったB’zの松本孝弘さん。
今はTAK DCやTAK FIREBIRDなどのモデルも発売されていますが、最初のシグネイチャーモデルはキャナリー・イエローのレスポールでした。1990年代、海外ではスラッシュが、国内ではB’zが、レスポール人気を圧倒的に押し上げていました。
スタイルは全く違いますが、レスポールを愛している方といえば奥田民生さん。
彼のレスポールは1959年製。発売~生産完了となる前ギリギリの、ヴィンテージモデルです。
真島昌利(ザ・クロマニヨンズ)さんもレスポールがメイン。
ブルーハーツ時代からマーシーのイメージはレスポール(後述の「ジュニア」も含めて)です。
(ストラトも使われますけどね。)
X JAPANのPATAさんもずっとレスポールメインですね。
やっぱりロックをやるにはレスポールを低い位置に構えるのが良いようです…
そういえばこの人もレスポールですね。
数年前から続くチェリーサンバーストのレスポール人気の要因の一つです。
レスポールの種類
とここまで見てきましたが、実はレスポールにはいろんなモデルが存在します。
最初に発売されたレスポールは、レスポール・スタンダードと呼ばれるタイプ。
指板がローズウッドで金属パーツ類はクローム。ヘッドには「Les Paul Model」と書かれています。発売当初はボディトップがゴールドに塗られ、今は「ゴールドトップ」と呼ばれているモデルでした。
その後1954年にレスポール・カスタムが発売されます。
これはレスポール・スタンダードの上位機種という位置づけでした。パーツ類はゴールド、塗装は黒という精悍なルックスのため、後に「ブラック・ビューティー」という愛称が与えられます。他にもスタンダードとの違いは、ポジションマークの形と、1フレットめにもポジションマークがある点、ヘッドにダイアモンド・インレイと呼ばれる模様が入っている等です。後に白のカスタムも発売されています。
レスポールカスタムといえばこの方ですかね。
ジョン・サイクス。レスポール・カスタムですがパーツ類やピックガードまでクローム仕上げになっているのが彼のトレードマークでした。
1954年発売のもう一つのモデルがレスポール・ジュニア。
当初はシングルカッタウェイで発売されましたがその後ダブルカッタウェイに変更されました。現在はどちらのモデルも生産されています。
トップが湾曲していない、フラットトップで木材もマホガニーのみ(メイプルはトップに貼っていない)。ポジションマークもドット・インレイというシンプルなものです。ピックアップはP-90と呼ばれるシングルコイルが一つ、リアに搭載されています。
KANABOONの谷口鮪さんもジュニアを使用です。
そしてジュニアが発売された翌年の1955年にジュニアのピックアップを二つにしたモデルとしてレスポール・スペシャルが登場します。
こちらもシングルカッタウェイ→ダブルカッタウェイの道を辿りますが、現在はどちらも入手可能。
BUMP OF CHICKENの藤原基央が使用してかなりブームになりました。
その他、レスポール・スタジオ、レスポール・クラシック、トラディショナル、レコーディング…とレスポールにはたくさんの種類が発売され、現行だったり廃盤になったりしていますが、ここではスペシャルまでを把握しておきましょう。
やはりレスポールは少し男くさくてワイルドな印象があります。女性が使うとそれもロックでカッコイイ感じですが、重さもあるので慎重に選びましょう。
と、長くなってきてしまいましたので、エレキギターの回は2回に分けたいと思います。
今回はとってもスタンダードなモデル達を取り上げましたが、次回の「エレキギターを知る②」ではもう少しマニアックなものや、変わったタイプも出てきますのでお楽しみに。
