ギタセレをご覧の皆様、こんにちは。島村楽器アコースティックギター・バイヤーの古川(ふるかわ)です。
今回ご紹介するのは、岐阜県可児市が誇る世界的ブランド「K.Yairi(ヤイリギター)」のカスタムショップにおいて、次代を担うクラフトマンとして国内外から注目を集めている伊藤隆司(いとう たかし)氏が、設計から木材選定、製作、最終セットアップにいたる全工程を単独で手がけた最新作。
アコースティックギターが持つ奥深き職人の世界。その興奮が冷めやらぬ中、またしても素晴らしい「ワンオフモデル」が、島村楽器へと到着いたしました!『OM CUSTOM #26059』です。
以前、私が岐阜県の工房へ潜入取材した、こちらの記事でも伊藤氏のものづくりに対する真摯な哲学を伺いましたが、今作はその情熱が色濃く具現化された仕上がりです。
前回の記事や対談の様子については、以下のリンクよりご確認いただけます。
それでは、洗練されたデザインと豊かなサウンドクオリティを誇る、特別なモデルの魅力をご紹介いたします。
ルシアー 伊藤隆司 プロフィール

岐阜県可児市に本拠を構えるハンドメイドギターブランド「K.Yairi」。その中でも、一握りの熟練職人のみが手がける「カスタムショップ」において、正統にして革新を体現する気鋭のルシアーが伊藤隆司氏です。
仕上げ部門の最終検品担当から主任を経て、2020年にカスタムショップルシアーへ就任。以降は設計から材の選定、塗装、最終セットアップまでを一貫して自身の手で行っています。
そのギターは、精度の高い仕上がりと演奏性、立体的な音響バランス、そして自由な表現力を併せ持ち、弾き手に心地よいインスピレーションを与えます。
とりわけ注目すべきは、木と樹脂を融合させた「スタビライズドウッド」の意匠です。ロゼッタやヘッドプレートに用いた幻想的な模様は、工芸品としての気品とアートピースとしての新しさを備え、多くのギターファンを惹きつけています。
伝統の美学を大切に受け継ぎながら、ギター製作にモダンなアプローチを提案する、次代を代表するクラフトマンの一人です。
OM CUSTOM #26059 の紹介


伝統的なOM(オーケストラモデル)シェイプをベースに、伊藤氏の豊かな美意識と確固たる木工技術を落とし込んだ、特別な存在感を放つオーダーモデルです。
詳細仕様(スペック)
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| モデル | OM CUSTOM #26059 |
| 表板(トップ材) | ジャーマンスプルース(単板) |
| 側・裏板(サイド&バック) | マダガスカルローズウッド(単板) |
| ネック | マホガニー |
| 指板(フィンガーボード) | エボニー |
| ナット材・サドル材 | 牛骨 |
| ブリッジ | エボニー |
| ブリッジピン | エボニー |
| バインディング | ローズウッド |
| スケール(弦長) | 645mm |
| ナット幅 | 44mm |
| ヘッドプレート(表) | 花梨スタビライズドウッド(K.Yairiロゴ+Yマーク白蝶貝インレイ) |
| ロゼッタ(口輪飾) | 花梨スタビライズドウッド |
| ペグ | Gotoh SGV510-FL5-GG |
| 塗装(フィニッシュ) | ラッカー |
| ケース | 岩本製ハードケース |
| 製造年 | 2026年 |
| 付属品 | 認定証・クロス・限定ピック2枚・取扱説明書 |
| 管理コード | 2370000733511 |
特徴・ディテール
■ ボディサイズ
抱え心地が良く、繊細なタッチにも素早く追従する伝統的なOM(オーケストラモデル)サイズです。ノンカッタウェイならではの均整の取れたスマートなプロポーションから生み出される豊かな空気感と、優れた操作性を両立させています。
■ 表板(トップ材)
目の詰まった良質なジャーマンスプルースを採用しています。レスポンスに非常に優れ、弾き手の爪弾いたピッキングの強弱や繊細な表現のニュアンスを、豊かな振動エネルギーへと変換します。



■ 裏板・側板(バック材)
芯のある重厚な響きを放つマダガスカルローズウッドを側裏板に使用しています。トップ材のジャーマンスプルースが放つ上品な響きに、マダガスカルローズ特有の芯のある太い音像が加わることで、優れた音響バランスを実現させています。



■ ヘッド表
ヘッドの突板には、美しくスタビライズされた花梨のバール材を配置。白蝶貝の埋め込みによるブランドロゴとYマークインレイが端正に調和し、モダンかつスタイリッシュな佇まいを演出します。





■ ヘッド裏
ペグには、高い機能性と美しさで定評のあるGotoh製の「SGV510-FL5-GG」を搭載。ゴールドに輝く流麗な質感はさることながら、トルク感も非常に滑らかで、精微なチューニングをサポートしてくれます。
ヘッド裏の突板にはローズウッドを採用し、楽器としての一体感と美しい統一感を図っています。



■ フィンガーボード
指板(フィンガーボード)には、10年以上もの歳月をかけてじっくりと自然乾燥(シーズニング)を施した上質なエボニーを採用。滑らかな運指をサポートするとともに、アタック音の輪郭をクリアに引き立てています。


■ ネック材
剛性に優れ、弦の振動エネルギーをボディへとスムーズに伝達するマホガニー材を採用。伊藤氏の丁寧なセットアップワークにより、手馴染みの良さと高い演奏性を両立しています。


■ ロゼッタ
サウンドホール周りを飾る口輪飾り(ロゼッタ)には、ヘッドと同様に花梨スタビライズドウッドを用いました。天然木ならではの質感と新しい意匠が、伝統のOMスタイルの中でスタイリッシュなビジュアルを演出します。



■ バインディング
ボディ全体の輪郭を囲う美しいバインディングには、落ち着いたトーンを持つダークな「ローズウッド」を採用。あえて木製の天然素材を使うことで、ボディ全体の輪郭を引き締めつつ、シックで統一感のあるモダンなデザインへと昇華させています。





■ ブリッジ
指板と同じく、硬質で音抜けに優れたエボニー(黒檀)ブリッジを採用。弦振動をダイレクトにボディトップへ伝え、豊かな余韻を引き出す重要な土台です。

■ ラベル
サウンドホール内を覗き込むと、K.Yairiカスタムショップ製である証とともに、ルシアー伊藤隆司氏がこだわりを持って単独で製作に携わったことを示す、品格あるラベルが佇んでいます。

■ ケース・付属品(認定プレート)
ワンオフモデルを証明する認定プレート、クロス、ピック2枚が付属します。ケースは楽器を外部の衝撃や温湿度変化から手厚く保護する、気密性と堅牢性に優れたクラシックなスタイルの「岩本製ハードケース」が付属します。


バイヤー古川のコメント
「とにかく繊細でモダン、そしてスタイリッシュな外観は唯一無二の仕上がりです。
ただ美しいだけでなく、アコースティックとしての『鳴り』が極めて優秀で、爪弾いた瞬間にガツンと前に押し出される、スピード感あふれる力強いレスポンスが素晴らしいです。
ジャーマンスプルースとマダガスカルローズウッドという王道のウッドコンビネーションが、伊藤氏の確かな感性とセットアップ技術によって、息をのむほど太く明瞭なサウンドへと昇華されています。」
「アメリカンレガシー × ジャパンルシアーフェア 2026」巡回展示情報 & 全日程
現在、アコースティックギターの本場である米国の伝統ブランド(Martin Custom Shop、Bourgeois等)と、日本の精鋭ルシアーたちの特別なギターを一堂に集めた巡回展示イベントを開催中です。
前回ご紹介した小林一三氏の特別な3モデルに加え、今回仕上がってきた伊藤隆司氏の『OM CUSTOM #26059』も、次の巡回先となる「広島パルコ店」会場より、急遽皆様にお披露目されることが決まりました!
巡回フェア全体の趣旨や出展ブランドなどの全貌については、以下のリンクよりご確認いただけます。
全国巡回スケジュール・会場一覧
日本の職人たちの精緻な技術と、世界に一本だけの銘記が集結、以下の全7拠点を約3ヶ月かけて巡回いたします。
| 開催店舗 | 開催日程 | 備考 |
|---|---|---|
| 新宿PePe店 | 5月23日(土)〜 5月31日(日) | 終了しました |
| 広島パルコ店 | 6月6日(土)〜 6月14日(日) | ※伊藤隆司氏モデル緊急お披露目! |
| 札幌パルコ店 | 6月20日(土)〜 6月28日(日) | |
| 仙台ロフト店 | 7月4日(土)〜 7月12日(日) | |
| 梅田茶屋町店 | 7月18日(土)〜 7月26日(日) | |
| アミュプラザ博多店 | 8月1日(土)〜 8月9日(日) | |
| 名古屋パルコ店 | 8月15日(土)〜 8月23日(日) |
広島パルコ店より実機を公開
- 開催期間:2026年6月6日(土)〜 6月14日(日)
- 開催場所:島村楽器 広島パルコ店 特設ブース
スペシャルゲスト「矢後憲太」氏によるデモンストレーション&アドバイス会
広島パルコ店では、フェア初日の6月6日(土)に抜群の演奏表現力を持つソロギタリスト矢後憲太(やご けんた)氏をお迎えいたします。

① ミニライブ&テクニック講座(13:30〜15:00) / 参加費:¥4,400 (税込) [予約制]
② 楽器選定アドバイス会(15:30〜17:00) / 参加費:無料 [個別相談枠・予約制]
ルシアー伊藤隆司氏がこだわり抜いて作り上げた一本を、矢後氏の流麗な演奏デモンストレーションでお確かめいただけるほか、あなたのプレイスタイルにマッチした銘器をプロの視点から一緒に選んでいただける実りある時間をお届けいたします。
各ブース・時間の枠には限りがございますので、ご希望のお客様はお早めに広島パルコ店までお問い合わせください。
まとめ
K.Yairiカスタムショップが誇るクラフトマン・伊藤隆司氏。受け継がれてきた伝統の木工技術に、自身のモダンな美意識を落とし込んだ、まさに彼にしか生み出せないスタイリッシュなワンオフモデルです。
完成したギターを「まるで娘を嫁に出すような気持ちで送り出している」と熱く語る、伊藤氏の確固たる情熱が、細部の美しい仕上げや、スピード感のある明瞭なサウンドに見事に息づいています。
木工職人としての誇りと、先進的な美学が宿った特別な一本を、ぜひ各地のフェア会場やルシアーズセレクション展開店舗にてご体感ください。皆様のご来店を心よりお待ちしております。
銘器探訪の管理人

古川 惠亮プロフィール
京都府出身。大阪での歌い手としての活動を経て、「音楽の楽しさを届ける側になりたい」との思いから、2004年に島村楽器へ入社。
ギターへの深い愛情と幅広い知識を武器に、アコースティックギターの販売で10年連続トップセールスを達成。
現在はバイヤーとして、米国のMartin社での買い付けをはじめ、Furch、K.Yairi、Takamineなどのブランド、ならびに国内外のルシアーと共に、数々のカスタムモデルの企画・仕様策定・デザインを手がける。
プライベートでは3児の父として、家族との時間を大切にしている。
目下の悩みは、子どもとのゲーム対戦でなかなか勝てないこと。









