別室 野原のギター部屋 Vol.61 “The Indiana Guitar Show April 12th, 2026”

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別室 野原のギター部屋 Vol.61 “The Indiana Guitar Show April 12th, 2026”

記事中に掲載されている価格・税表記および仕様等は予告なく変更することがあります。

大変ご無沙汰しております。島村楽器別室 野原のギター部屋管理人の野原です。

私が勤務する新宿PePe店のXでは既にお伝えしていますが、4月11日から一週間ほどアメリカに滞在していました。いわゆる海外出張(←響きがカッコイイので言ってみたかっただけ)です。

出張の主な目的はナッシュヴィルのギブソン訪問ですが、その前後に一日ずつスケジュールを取り、初日にインディアナポリスで開催するギターショー、最終日にナッシュヴィル地区の楽器店を巡ってきました。

今回は初日に訪れましたThe Indiana Guitar Showの様子をお届けします。たまには細かい話は抜きにして、写真で現地の雰囲気を楽しんで頂けたらと思います。

羽田からアトランタを経由してインディアナポリスへ。インディアナポリスは世界最大級のサーキット「インディアナポリス・モーター・スピードウェイ」を擁するモータースポーツの街なので、飛行機を降りるとインディカーが出迎えてくれます。

この後レンタカーを借り、翌日のギターショーに備え街で食事をしたのですが、皆様が想像されている通りのハンバーガーをいただきましたので、画像は割愛させて頂きます。

朝食をとり、インディアナ・ギター・ショーへ。

インディアナ・ギター・ショーは世界最古の継続開催を誇るギター・ショーとして知られており、ディーラー、コレクター、ミュージシャンが一堂に会します。ギター・ショーは年2回(4月と9月)開催されており、幅広い年代の楽器の販売やトレードなどが行われます。

ダラスやアーリントンのギターショーに比べると小規模でローカルな雰囲気ですが、それでも会場は広くとても見応えのある物量です。

会場に入って直ぐに展示されていたGreenville Pickupsというハンドワウンド・ピックアップ・ブランド。

1950年代後半のPAFのサウンドを目指したSuspicion 2にはラフキャストのアルニコ2マグネットをセレクトしているそうです。もちろん、AWG42プレーン・エナメル・ワイヤーのアンポッテッド仕様。この内容で105.00ドルはなかなか良心的ではないでしょうか。

ヴィンテージと中古を品揃えしているインディアナ州フランクリンにあるFrank’s Guitarsのブース。

ヴィンテージと言っても1960年代以降の比較的お買い求めやすいモデルが並んでいます。写真手前の1963年製Martin D-18も日本国内の取引価格より少しお安い印象。

真剣な眼差しでギターを見ているのは弊社バイヤーの今井と札幌パルコ店の坂口。

1961年に登場したギブソン社初となる量産型の12弦アコースティックギターB45-12。こちらは1,959ドルでした。

両サイドにJ-200スタイルのピックガードが貼り付けられた1963年製のGibson J-200。恐らく後から張り替えられたものだと思いますが、アレンジの仕方がアメリカっぽくて良い雰囲気です。

右はGUILDの12弦ギターF-112。Frank’s Guitarsのウェブサイトを見ると12弦ギターがたくさん掲載されていますので、オーナーのご趣味なのかもしれません。

Frank’s Guitarsのブースを抜けて直ぐ、椅子に腰を掛けたご年配の方がパーツを広げてらっしゃいます。恐らく個人で参加されているのだと思いますが、その雰囲気はまるで日曜日のガレージセールのよう。「ほのぼのしていて良いなぁ」なんて思いながらパーツに目をやると…

T-Top(ギブソンが1966年から1979年の間に製造したピックアップ)が275ドルで売りに出されているではありませんか!

T-Topと言えばジェフ・ベックやジミー・ペイジ(敬称略)も使用したピックアップ。製造時期によって評価額が異なりますが、ピックアップ・マウントリング(エスカッション)とビス、スプリングが付属して275ドルはお買い得です。

残念ながら現金(ドル)の持ち合わせがなかったのでボビンのリード線(の色)やベースプレートのスクリュー、レッグまでは確認しませんでしたが、そんなに新しい時期のものではないと思うんですよね。「買って帰りたかった」というのが本音ではありますが、アメリカのギターショーらしい掘り出し物が見れただけ今回は良しとします。

The BeatlesのSgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Bandの人形やグッズが並べられたブース。ドラムセットはもちろんLudwig。The Beatles好きとしては写真に収めずにはいられませんでした。

随分と貫禄のあるアコースティックギターが並んでいるなと思ったらPre War Martin!

1937年製のD-18はD-18 1937 Authenticとして、1941年のD-28 HerringboneはD-28 Authentic 1941として復刻されるほどのギターで、D-28に至っては同年(1941年)製のものがMartin Guitar Museumに所蔵されていたと記憶しています。まさに戦前マーティンの黄金期を代表するアコースティックギターです。

部分的に擦れて消失してしまったトップコートやピックガードの質感など歴史を感じさせる見た目が最高です。

Pre War Martinに続いては1957年製のGibson Les Paul Custom!スタッド・テールピースのアンカーやその埋め跡が無いことからファクトリー・ビグスビー仕様だということが分かりますが、ビグスビーB-7ユニット自体は近年のものに交換されています。

ビグスビーが新しいと一瞬マーフィーラボに見えなくもないですが、コントロールノブやピックガードなど搭載されているその他のパーツやボディの特徴を見るとオリジナルであることが分かります。

「それと、このトラスロッドカバーもオリジナルで…」などと一緒にギターを見ていた坂口にレクチャーしていると、ブースのオーナーが蓋を閉じた状態で置かれていたオリジナル(1950年代)のブラウンケースを開け始めました。その動きが気になり目をやると

中から1959年製のレスポール・スタンダード、いわゆる「バースト」が出てきました。何となくブースやオーナーのおじさまの雰囲気から勝手に1954~1955年あたりのゴールドトップが出てくるものだと思っていましたが、まさかバーストが出てくるとは。

お話をお伺いすると、1970年代に5,000ドルで購入されたとか。1970年代と言っても具体的な年によって異なりますが、当時のの5,000ドルは現在の価値でおおよそ32,000ドル前後ですので、感覚的には約510万円で購入された感じでしょうか。「良い買い物をされましたね」と言うと、すごく嬉しそうに頷かれていたのが印象的でした。

せっかくなので別角度から。肘の触れる個所、6弦側両ピックアップの間、テールピース左に見える無数の打痕からも長年愛用してきたことが伺えます。ヴィンテージ特有の塗装の艶も色気がありますね。

冒頭で述べた通り有名どころに比べ少しローカルな雰囲気のギターショーなので、正直バーストの展示は期待していませんでしたが、やはり本国は違いますね。展示のみで販売はされていませんでしたが、とても良い物を拝見させていただきました。

こちらは1973年創業のUSED、ヴィンテージギター専門店Jims Guitars(ペンシルベニア州)のブース。雰囲気の良いアンプが並んでいます。真ん中の白いピギーバック・スタイルは1963年製のFender Bassman。見た目からして良い音がしそうです。

Fenderのサインが立てかけられているのは古いSupro。プライスタグまでは見てなかったのですが、サイズ的に1960年代中期のModel 606 Superあたりではないでしょうか。Model 606 Superであれば、ジェンセン製のアルニコ・スピーカー、6V6(パワー管)と5Y3(整流管)を使用した5W程度の出力のアンプになります。

1963年製の他に1959年製のBassmanもありました!史上最高のギターアンプして呼び声が高いモデル(Model 5F6-A)で、このモデルの回路やコントロール・レイアウトを基本にJim Marshallが最初のMarshallアンプを作ったことでも有名です。

1952年にエレクトリックベース用アンプとしてFenderから発売されたBassmanは、1954年末頃のModel 5D6からスピーカー(10″ Jensen)4発のレイアウトが採用され、1960年まで継続します。その間も電子回路が数回にわたり変更され、最終的にModel 5F6-Aに至ります。

Tweed期のFenderアンプはどれも魅力的ですが、特にBassman(5F6-A)とMIDコントロールが追加されてからのTwin(5F8-A)のサウンドは大好きです。

こちらはPeter ”MAX” Baranet氏がハンドメイドで製作したスプリット・ヘッドストックのエクスプローラーのレプリカ。

Peter Baranet氏はオールドの木材(1950年代にストックされていた木材)や1950年代のギブソン社のパーツ、1950年代のレスポール・ジュニアなどを使用し、1958年のFlying V、Explorer、1959年のLes Paul Standardのレプリカを製作していたビルダーとして有名です。
※レプリカ以外にオリジナルモデルも製作しています

アリゾナに移る前の1976年から1990年まではロサンゼルスでギター製作を行っており、著名なミュージシャンにも使用されていました。日本市場にも少量流通しておりましたので、雑誌の楽器店広告でご覧になった方もいらっしゃるのではないでしょうか。

エクスプローラーのレプリカの横には1980年代に製作されたバーストのレプリカも展示されています。

Peter Baranet氏が一部のマニアから注目されていたのは1990年代がピークだったと記憶していますが、その頃はギブソンのリイシュー(Pre HistoricやHistoric Collection)が現在ほどヴィンテージに近いものではなかったため、オールドの木材やパーツを使用したMAXのレプリカが注目されていました。Peter Baranet氏自身がバーストなどを所有し、それらの造詣が深かったことも影響していたのかもしれません。

時折お客様から「MAXのレプリカってどう?」と尋ねられることがありますが、個人的にMAXは1990年代のギブソン(Pre Historicなど)に近しい密度のある鳴り方をする印象ですので、1950~1960年代のギブソンのサウンドがお好みの方には現行のHistoric Reissueをお勧めしています。当時から言われていましたが、やはりMAXはMAXの音であり、ヴィンテージとは異なります。

「レプリカ」と表現すると少し聞こえがマイルドになりますが、この2本はれっきとした贋作です。この特集記事に掲載すべきか悩みましたが、前述の通り一部の著名ギタリストやマニアが使用し認知されていたギターでしたので掲載しました。

オリジナルオーナーの写真が飾られた1オーナーのテレキャスター。時折コンディションが良いヴィンテージにオリジナルオーナーの写真が添えられていることがありますが、とても素敵ですよね。写真には1958年8月の日付けとJim Mengさんのお名前が記載されています。

恐らく出荷時はホワイト・ブロンド・カラーではないかと思いますが、ご覧の通りボディのみリフィニッシュされています。この個体のみならず、ヴィンテージのテレキャスターでは比較的良く見受けられるカスタマイズです。

少し自信がありませんが、Rickenbacker 4080 Double Neckでしょうか。12弦のエレクトリックギターとベースで構成されたギター(ベース)で、ジェネシスのマイク・ラザフォード氏の使用で有名です。デザインが素敵です。

デザインが素敵繋がりで1965年製のEpiphone Olympic。

昔はレスポールやストラトキャスター、Epiphoneだったらカジノなど王道のモデルに興味が向いていましたが、不思議と年齢を重ねるごとにEpiphone OlympicやGibson Melody Makerなどが魅力的に映るようになってきます。

デザインのみならず、特有の軽快なサウンドも良いんですよね。

で、Epiphone Olympicの横には1958年製のFender Duo Sonic。この並び、とても良く分かってらっしゃる。2本とも傷が無いわけではありませんが、非常に良いコンディションを保っています。

先ほどのOlympicやDuo Sonicに比べてだいぶ王道寄りになりますが、SG Specialも大人になってから好きになったモデルです。

1966年製なのでスモール・ピックガードの最終期。ショート・ヴァイブローラのアームバーは取り外されているようですが、非常に素敵です。ウェザーチェックももちろんですが、個人的にピックガードの反りも好きなんですよね。今まで2名のお客様が共感してくださいましたが、他に共感して下さる方はいらっしゃいますでしょうか。

カスタムショップとヴィンテージが並べられたこちらのブース、1本桁違いのギターが混ざっていますね。写真をご覧になってお分かりになりますでしょうか。

正解は1959年製のGibson Les Paul Standardでした。今回のギターショーで2本目のバーストです。1本目に見たバーストよりも杢が出ています。右手の「R8」と書かれたレスポールはGibson 1958 Les Paul Reissueで、近年に製作されたものになります。

慣れると遠目からでもオリジナルかリイシューかある程度察しがつくようになりますが、ピックアップ・マウントリングの色味や質感、ピックアップ・カバーの形状の違いなどは分かり易いと思います。

正面から見てみましょう。チューナー(ペグ)はGrover102に交換されていますが、その他はオリジナルに見えます。写真を拡大して改めて確認してみましたが、もしかしたらナットもフレットもオリジナルかもしれません。ナットとフレットが交換されたことによって価値が大きく目減りするようなことはありませんが、だからこそ当時のナットとフレットの様子が伺える個体は貴重です。

使用による傷の様子、Groverチューナーへの交換された姿から想像するに、しっかりと弾かれてきた個体ではないかと思います。飴色にやけたトップコートと褪色したサンバーストが美しいです。

さて、今回はThe Indiana Guitar Showを皆様と一緒に一回りしてみましたがいかがでしたでしょうか。

日本国内のギターショーにも素晴らしい楽器がたくさん並びますが、やはりアメリカ本国になりますと1オーナーもののヴィンテージなど「ならでは」のものがあって楽しいですね。皆様もお探しの楽器がございましたらお気軽にご相談ください。

それでは今回はもう一度2本目のバーストを眺めて終わりたいと思います。

ギター部屋の管理人

野原 陽介プロフィール

学生の頃よりバンド活動、レコーディングなど様々な場所での演奏とヴィンテージギターショップ巡りに明け暮れる。
のちにギタークラフトを学び、島村楽器に入社。
入社後は米国Gibson社、Fender社への買い付けなどを担当。
甘いもの好き。

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