「暖房の横に置きっぱなし」は危険信号!冬の乾燥からアコギを守るおすすめ保管術

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「暖房の横に置きっぱなし」は危険信号!冬の乾燥からアコギを守るおすすめ保管術

記事中に掲載されている価格・税表記および仕様等は予告なく変更することがあります。

アコギ売場から こんにちは!札幌パルコ店の坂口です。

この度、「アコギ売場から こんにちは!」の連載を担当させていただくことになりました。
これから、アコースティックギターをもっと安心して・楽しく弾いていただけるような情報をお届けしていきますので、ぜひお付き合いいただけたら嬉しいです。

冬はギターにとって「過酷な季節」です。
冬の札幌は寒さと乾燥がとても厳しく、店頭でも

  • 「最近、弾き心地がなんだか変わった気がする」
  • 「急に弦高が高くなったような…?」
  • 「ボディに細い線みたいなものが入っている」

といったご相談をいただくことが増えます。

お話を伺うと、

  • リビングの暖房の真横にスタンドで出しっぱなし
  • ケースに入れているけれど、湿度を測ったことがない
  • 加湿器は部屋用をなんとなく置いているだけ

というケースが多く、実際に楽器を見てみると「乾燥」が原因と考えられる症状が出ていることも少なくありません。

今回の記事では、冬場に特に気をつけたい「アコースティックギターの保管方法」と、実際に店頭でもおすすめしている「乾燥・湿度対策アイテム」をご紹介します。

アコースティックギターにとって最適な環境

一般的に、アコースティックギターにとっては湿度40〜55%前後が安定しやすいと言われています。
湿度が変化すると、木材が膨らんだり縮んだりして、次のような影響が出やすくなります。

湿度状態
60%以上水分が多すぎる状態。木部の膨張やネックの逆ぞりが起こりやすく、金属パーツのサビやカビの発生にも注意が必要。
55%~40%理想的な湿度範囲。ギター本体やパーツにとって最も安定した環境。
40%~30%空気が乾燥し始める。ネックの順反りやフレットバリ(フレットの端が飛び出す現象)が発生しやすくなるため注意が必要。
20%~10%極度の乾燥によって木部が収縮しやすくなり、割れやヒビなど重大なダメージが生じる危険性がある。

ハードケースで保管してみる

冬場は暖房からの風、窓からの冷気などで部屋の湿度が急激に変化しやすく、置き場所によってはギターにとって過酷な環境になってしまいます。そんな時は「ハードケース保管」がとても有効です。

弾き終わったらハードケースに戻すだけでも、冬の乾燥による影響を受けにくくなります。

「ケースに入れるだけで変わるの?」と思われるかもしれませんが、ぜひ試してみてください。

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ケースやお部屋の中の湿度は何%なのかをチェック

まずは現状を知るところから。
乾燥対策をするうえで大切なのは、「なんとなく乾いてそう」ではなく、湿度を数字で把握することです。

部屋用の湿度計で、普段のリビングの湿度を確認したり、さらに、ギターケースの中にも小さな湿度計を1つ入れておくと安心です。

ケースの中が「いつも何%くらいなのか」を知っておくと、「最近ちょっと低めだな」と気づける「加湿アイテムを追加しよう」と判断できるといった、早めの対策につながります。

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湿度管理にオススメなアイテムを紹介!

ここからは、札幌パルコ店でもおすすめしているアイテムをいくつかご紹介します。

E.D.GEAR AGC-1 加湿機能付き フィードバックサプレッサー

2つの役割を持った便利アイテムです!

  • ライブでのハウリング対策
    • サウンドホールをふさぐことで、マイクやピックアップが拾ってしまう余計な「回り込み(ハウリング)」を抑えます。
  • ギター内部の加湿
    • 本体内部に加湿用スポンジが入っており、水を含ませてからサウンドホールに装着することで、ギター内部をゆっくりと加湿してくれます。

ライブ・スタジオで大音量で弾く機会が多い方や、冬場の乾燥が気になるけれど、ケース内だけでなく「ギター本体の中もしっかり守りたい」方におすすめです。
「普段はライブでハウリング防止、冬場は加湿器としても活躍」という、一石二鳥の頼れる相棒です。

オアシス OH-1 ヒューミディファイア

サウンドホールからボディ内部に吊り下げて使用するタイプのギター用加湿器です。

特徴

本体のボトルの口から水を注ぎ入れると、内部の素材がジェル状に水分を保持して少しずつ水分を放出するので、時間をかけてギター内部を加湿します。
中身がジェル状なので、水がこぼれにくい構造です。

使用イメージ

冬場の乾燥が厳しい時期に、ハードケース内でギターに付けたまま保管したり、長期保管の際にも適切な湿度を保つサポート役として活躍します。
ケース内+ギター内部の両方をケアできるこういったアイテムを1つ入れておくと安心です。

HISTORY HPO3 指板面オイル

指板の保湿・汚れ落としのために調合した指板面専用オイルです。

なぜ指板ケアが大事なのか?ですが、ローズウッドやエボニーなどの塗装がされていない指板材は、冬場の乾燥の影響を受けやすい部分です。指板にヒビが入ったり、表面がカサついて演奏時のフィーリングも悪くなることを防止しましょう。

おすすめの使い方

  • 弦交換のタイミングで弦をすべて外す
  • 指板のホコリをブラシなどで軽く払う
  • 指板面オイルを少量クロスに取り、指板に薄く伸ばす
  • 数分おいてから、乾いたクロスで余分なオイルを拭き取る

この「ひと手間」を定期的に行うことで、指板のひび割れやカサつきの予防につながり、見た目もつややかに保てます。

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まとめ

冬場の「ひと手間」で、ギターの寿命が大きく変わります
冬の乾燥は、ギターにとって見えないストレスです。

  • ハードケースに入れて保管する
  • 湿度計でケース内の湿度を数字で把握する
  • 必要に応じて加湿アイテムを併用する
  • 弦交換時に指板ケアをしてあげる

この4つを意識していただくだけで、大切なギターを、より長く・良い状態で楽しんでいただくことができます。

「自分の環境にはどのアイテムが合うのか知りたい」「今の保管方法でも大丈夫か、一度見てほしい」

という方は、ぜひお近くの島村楽器までご相談ください。
皆さまのアコギライフが、冬も安心して楽しめるようお手伝いさせていただきます!

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