【楽器完成】月産5本のハンドメイドギターSuzukaGuitarDesign/Tierra M-Custom P12EX/MH信州ギター祭り2025

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【楽器完成】月産5本のハンドメイドギターSuzukaGuitarDesign/Tierra M-Custom P12EX/MH信州ギター祭り2025

記事中に掲載されている価格・税表記および仕様等は予告なく変更することがあります。

SuzukaGuitarDesignとは

長野県松本市に工房を構えるエレキギターブランド。2020年に鈴鹿清仁氏によって立ち上げられた。「人生に寄り添うギターづくり」をモットーとして、日夜製作を続けている。

ボディやネック、ヘッドの形状からピックアップに至るまで、独自に設計されたパーツを使用した3モデルのエレキギターをラインナップしている。

特筆すべきなのは、3モデルすべてにおいて、主としてフルホロウ構造を採用している点。フルホロウ構造を採用したギターは、内部が中空になっているため非常に軽量。サウンドにおいてもフルホロウ構造独特の箱鳴り感を持つ。

今回は信州ギター祭り2025モデルとして、既存の3モデル(Tierra,Sierra,Rhetorica)をベースにさらに弾きやすさやサウンドバリエーションを高め、これまでより多くのお客様に届けるべくオーダーを行いました。各モデルの詳細については順次お伝えしていきます。続報をお待ちください。

その1・工場・制作者の紹介

工房のようす

数多のギター工房やパーツ製作を担う工場がひしめく一帯に位置している。松本市は製作途中に木材に狂いが生じにくい気候条件が揃っているそうだ。

主として木材加工を行う1階部分。必要十分な加工機械が整然と並ぶ。木材もストックはほとんどせず、直近の製作に必要なだけ用意して使い切るミニマルな方法を採っている。無駄のないシンプルな美しさは完成品だけではない。

アッセンブリの組み込みや調整を行う2階部分。木材の加工からアッセンブリの組み込みに至るまで、塗装を除くほぼすべての工程が鈴鹿氏一人の手で行われている。モデルにより微妙に異なるが、1カ月で生産可能な本数は3~5本程度。1本1本が非常に貴重である。

製作者プロフィール

1976年生まれ、福島県出身。高校在学中よりギター工房設立を志す。

ESPミュージカルアカデミーギタークラフト科卒業後、松本市のヘッドウェイ株式会社に入社。有限会社飛鳥への異動を経て退職までの22年間、サンプルモデル、フルオーダー、OEM、特殊モデルなどの製作から自社ブランド開発に至るまで、ゼロからイチを生み出す現場で活躍を続けてきた。

特に専門的な知識・経験が必要不可欠な、設計力とアイディア力に磨きをかけ、プロミュージシャンや関係各社の信頼を得るビルダーに成長。前職で養った幅広い技術をベースに、ソリッドモデルから箱物まで柔軟に対応できる工房を目指し、2020年に SuzukaGuitarDesign を設立した。

その2・材料についての紹介

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Tierra M-Custom P12EX/MHの木材

今回オーダーした『Tierra M-Custom P12EX/MH』について詳しくお伝えしていきます。

本モデルは、SuzukaGuitarDesignオリジナルのP90ピックアップ「Porter」をフロントとリアに配しております。

また、ホロウボディ特有のあたたかな響きを活かすべく、ボディとネックの両方にマホガニー材を使用しました。指板にはサウンドにキラリとした輪郭を与えるウェンジ材を使用しております。


そして、見た目には表れにくい点ですが、通常モデルと比較して短いスケールを採用しています。ローフレットのコードワークをもっと楽にできるようにという想いからはじまった、弾きやすさ、弾き手への優しさを追求するための新しい試みです。

このようにフレット数は22フレットのまま指板の全長が短くなっていることが分かります。

スケール(ナットから12フレットまでの長さ)は312mmと、ミディアムスケール(314mm)よりわずかに短いです。これはTieraの設計を大きく崩すことなく短いスケールを実現できる、スイートスポットとでも言うべき長さです。

また、今回普段目にすることのないピックガード下の構造を確認できる製作途中の画像をいただきました。フロントピックアップの真下が空洞になっていることが分かります。SuzukaGuitarDesign独特のエアリーなサウンドを生み出す秘密の一つです。


その3・塗装についての紹介

Tierra M-Custom P12EX/MHの塗装

本モデルのカラーはNatural Brown、ピックガードはホワイトとなっております。

マホガニー材を使用したボディの質感を最大限楽しむことができるナチュラルカラーを採用しております。ピックガードには爽やかな印象を与えるホワイトをチョイスしました。

マホガニー材の柔らかな木肌が見てとれます。さりげなく縦縞の杢目が強調され、木材が本来持っている魅力が十二分に引き出されている素晴らしい塗装です。

背面も非常に美しいです。ピックガードと同素材のバックパネルとボディの間に質感のコントラストが生まれています。

塗膜が持つほのかな光沢と木材の表情が素晴らしいギターです。演奏性を追求したギターとしてふさわしく優しくやわらかな印象を与えます。

その4・ついに完成

ついに完成しました!

完成品をご覧ください。

Natural Brownのボディにホワイトのピックガード、メタルカバーのP90ピックアップが精悍な印象です。リアピックアップをP90にするために従来のTierraとは異なる新たなブリッジパーツが使用されています。テレキャスター用ブリッジを切断したような構造のため、ブリッジが小さくコンパクトに見えます。

ヘッドはスタンダードなブラック。ボリュームキャップやスイッチキャップとあわせてギター全体を引き締めるような配色です。

背面ももちろんNatural Brown。マホガニー材の導管を活かした木肌のぬくもりを堪能できるチョイスです。

ボディトップの杢目とアッセンブリーの構造が分かりやすい一枚。メタルカバーのP90は見た目がカッコいいだけでなくノイズにも強いです。

演奏性に優れ、手触りも優しい。木と人の温もりを感じるギターに仕上がりました。信州ギター祭り2025、ご来場をお待ちしております。

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