これまで2回にわたりご紹介してきたゴダンのネック・ヘッド割れ修理。
次はいつ更新ですか?なんて嬉しいお言葉も頂戴していましたが、ついに最終回です!!
前回までの記事はこちら!
どんな仕上がりになったのか、早速ご覧いただきましょう。
乾燥のためにぶら下げてあったネックですが、乾いたようです。

今回はラッカー系統の塗料でしたので、乾燥期間はやや長めの2週間程要しました。
出来具合はどうかな・・・

うまくいっています。
ラッカー系の塗料は楽器として使用できる状態になってからも少しずつ乾燥が進み、縮んでいきます。その為、修理の時に部分的に塗装をすると、部分的に塗料のヤセ(縮み)具合に差が出てしまい、どこを部分塗装したかが浮き出て見えてしまう事があります。
今回の修理ではそこも加味して極薄で塗装したので、心配していた新しい塗料のヤセも問題なさそうです。
埋め木の部分をパーツで隠れる様に加工したのは前回ご紹介した通り。ですからそのままで問題ないのですが、白木のままではあんまりですので(笑)、一応目立たぬよう簡易的に色をつけておきました。
因みに、使用している塗料は、こんな感じの缶に入ってます。

型番が製造工場と全く同じなのは勿論、仕入先まで工場と同じなんですよ。
さて、ついに組み込み開始です。
ペグを取り付けていきますが・・・

修理依頼をいただいた際に「ペグと木材の間に隙間がある」というお話しを伺っていました。
仮組みをして見てみると、


ペグのパーツ同士を固定するこのツメが原因のようです。結構出っ張っています。
木材側を見てみれば、ツメが当たる箇所に痕がついています。

作業途中で割れ周囲のビス穴は埋めてありますので、同様に全てのビス穴を埋め、小さめの下穴に空け直せばビスはこれまでよりもしっかり固定され、少しは改善出来そうですが、さすがに隙間ゼロにはならなそうです。
出っ張りが無ければ良いのですが、ツメ自体を削ってしまうとパーツがバラバラになってしまいます。
そこで木材側を加工することにしました。
ツメが当たる部分を丁寧に削っていきます。

ペグを付けてみましょう。

ぴったり
割れた箇所が全然分らなくなっているのもこの画像だとよく分りますね。
ここで弦を張っていきますが、サドルにピックアップが内蔵されていますので、音のバランスを調整しながら張ります。

ピンボケ写真ですみません(汗)
最後にナットを調整して・・・

ついに完成!!!

工房の前で記念写真
いかがでしたか??
今回の様に、島村楽器のギターリペア工房では、お客様の御要望にあわせ、様々な作業を行うことが可能です。
困った時にはまず一度最寄の島村楽器へご相談ください。
さあ近所の島村楽器にGO!!

ルシアー駒木プロフィール
テクニカルチーフとして島村楽器のギターリペア工房に勤務。
アーティスト用・雑誌掲載用などオーダーメイドでの楽器製作を行なってきたキャリアを活かし、お客様の楽器の修理・改造業務を主としながら、海外への買い付け業務や楽器開発協力、世界各国の工場で技術指導も行う。
その実力はアメリカやスウェーデンをはじめとした海外のアーティストから、スペインの伝統的なギター製作現場まで高い信頼を得るほど。
修理・改造業務の他、エレクトリックギターやベース、アコースティックギターの入門書やメンテナンスDVDへの解説出演、ラジオ「SAME’SBAR」への出演など、広い活動の場を持つ。
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