皆様こんにちは!石田でございます。
ようやく春の陽気の兆しを感じられつつも、花粉の気配に戦々恐々としている今日この頃です。
今回は”Luxualy Order Model”の1本、Red House Guitarsにオーダーしたワンオフモデルをご紹介します。
Red House Guitars(レッドハウス)について
長野県は塩尻市に居を構えるカスタムギターメーカー。
その歴史は古く、有名ブランドのOEM生産などをメインに手がけていたため、レッドハウスの名前は知らなくても実は手に取ったことはある、という方も多いのでは。
オーソドックスなボディシェイプの楽器が多く、一見普通ですが「ヘッドシェイプをコンパクトにしながらも厚めにして重量を稼いで共振を抑える」「キャビティ構造を変えて鳴りをコントロールする」など言われなければ分からないような工夫によって独自のサウンドを作り上げているブランドです。
私自身も自分の楽器を依頼しており、その演奏性や安定性、仕上げの美しさから絶大な信頼を寄せています。
そんなレッドハウスに、贅の限りを尽くしてオーダーしたのが今回の逸品です。
General S22 SSH 5A Quilted Maple Honduras Mahogany Jacaranda Fingerboard Indian Rosewood Neck / Tiger Eye
本楽器のコンセプトは”一目でわかる高級感と重厚感のあるサウンド”
国内で手に入る最上級のキルトメイプルを使用し、上品なカラーで仕上げました。
5Aキルトトップ、ホンジュラスマホガニーバック
「高級感」ということでボディトップにはキルトメイプルをチョイス。
やはり年々、整った杢目のものは確保が難しくなっており、今回のようなものはそう選べるわけではありません。
レッドハウス側でも今回のオーダーのコンセプトを理解してくれており「これなら」という物を使わせてもらいました。
重厚感のあるサウンドという観点から、ボディバックにはホンジュラスマホガニー。
あえてアフリカンマホガニーを選ばなかったのは「せっかく5Aキルト使うならバック材もホンマホにしたいな」という気持ちからで、特に大きくサウンドが異なるという意識からではありません。
それよりも重要なのは重量バランスだと思っており、その辺りはレッドハウスにお任せです。
加工が進み、ギターのカタチになってくると、製作途中の写真を見慣れている私でもすごくワクワクしますね。
キャビティ加工が進むともう完成は間近。
ここでカラーの確認です。
複雑なカラーの場合はこのような手板を送りあって確認するのですが、今回は写真だけで一発OK!
着色後、トップコートも吹いてボディはこれで完成です。

インディアンローズネック・ハカランダ指板
ボルトオンながら「サスティーンと低音のタイトさを出したい」という思いから、ネック材にはインディアンローズウッドを採用。
標準のGeneral Sのハードメイプルネックに比べて比重が大きく、音の伸びだけでなくまとまりも得られます。
指板にはエキゾチックなハカランダを採用。
ネックに合わせてインディアンローズという選択肢もありましたが、指板にインディアンローズを使うとどうしても甘めなトーンになる恐れがあるため硬質なハカランダを選びました。
ボディのキルトに負けないくらい派手な杢目も魅力的。
この指板も複数の中から選びました。
このグレードのハカランダがスッと出てくるあたりがレッドハウスのすごいところ。
ネックも加工途中をお見せします。
ローズネックの加工途中はなかなか見る機会がありませんからね。
ここから・・・
こうなります。
ほかに写っているネックは今は気にしないでください...
アクリルべっ甲のカスタムピックガード
一般的に使われている塩化ビニル製のものではなく、透明度のあるアクリル製べっ甲柄ピックガードを採用。
立体感のある美しいルックスはもちろん、素材自体の硬さもサウンドに影響します。
ピックガードにはノイズ対策でシートが貼られていますが、トレモロパネルには貼られていないので少し透けるのが若干のこだわりポイント。

カスタムメイドのピックアップを搭載
心臓部であるピックアップにはレッドハウスオリジナルのものを搭載。
ですが、当社用に「より歯切れよく」「より存在感を増したイコライジング」という要望でカスタムメイドしたピックアップを搭載しています。
STタイプのギターに求められるコードの分離感や透明度の高いリードサウンドに貢献します。
ゴトー製最高峰モデルのペグ、ブリッジ
高級感を演出する”X-Finish”を身にまとったペグ、ブリッジを採用。
特殊なコーティングにより酸化に強く、美しさや操作性が長持ちします。
サテン仕上げによりゴールドパーツが主張し過ぎないのもポイント。
ブリッジはスチールブロックのものを採用しています。

畑精密工業製コントロールノブ、ストラップピン
本モデルを企画するにあたって「このギターに合うハタノブを着けたい」というのも同時に考えていました。
様々なタイプがある中で選んだのはオーソドックスなSTタイプのノブの形状に近いながらもローレット加工により操作性が一線を画す平型ハットノブ。
更に天面と側面を別カラーにして特別感を持たせました。
レバースイッチノブもねじ止めできる利便性から-HATA-のものを採用しています。
ストラップピンも-HATA-製。
せっかくなので細かいところにもこだわっています。
ポジションマークもコダワリ
せっかくのエキゾチックハカランダなのでポジションマークを入れないのもアリかと思いましたが、ちょっと雰囲気が変わってしまいそうなのでハカランダの存在感に負けないアバロンをトップポジションに。
サイドマーカーには蓄光のLuminlayを採用しています。
レッドハウスよりコメント
生地着で深く杢が出る材なので研磨が荒くならないよう番手を細かくして対応しました。
材料は最終のトーンを考えて選択しています。
ローズウッドネックだとタイトになる傾向も考えてボディ材を選定しています。
組み込みもその辺りを意識して工夫しています。
また、ローズネックの特性上割れや塗装剥離が起きやすいため慎重に作業しました。
サウンドインプレッション
まず持つとズシッとくる約3.8kgの重量感。
ネックとボディのバランスが良いのでそこまで重くはありませんがサウンドへの期待が高まります。
アンプにつないでチューニングしようとすると、そのチューニングトーンがなかなか減衰しないのに驚きます。
まるでスルーネック。
レッドハウスの楽器全般がそうなのですが、ネックのエッジ部分が絶妙なサイドスキャロップ加工をされているため握り込んでもネックの存在感が主張し過ぎず、まるで初めて触るギターではないよう。
サイドスキャロップはやり過ぎるとフレットが飛び出て逆に弾きづらくなるのですが、そこはうまい具合に調整されています。
サウンドは期待通りの重厚感と、深く歪ませて刻んでもつぶれない低音の明瞭感が実感できます。
ローズネックは硬過ぎて味気ないサウンドに仕上がってしまっている楽器もあるのですが、適度な「鳴り感」も感じられ、ハカランダ指板特有の速さとレスポンスの鋭さに少し苦労させられる感もあるのですが、弾いていて楽しいギターに仕上がりました。
ぜひ実際に体感してみてほしいです。
商品詳細
メーカー | Red House Guitars |
型名 | S22 SSH 5A Quilted Maple Honduras Mahogany Jacaranda Fingerboard Indian Rosewood Neck / Tiger Eye |
販売価格 | (税込) ¥598,000 (税抜 ¥543,637) |
JANコード | 2370000530004 |

石田 純一プロフィール
ギター演奏はそこそこに機材いじり(改造、音作り)をメインに楽しむ学生時代を送り、機材好きが高じて、「いつの間にか楽器店の店員になっていた」インドア派。
入社後はPRS(Paul Reed Smith)現地工場でのPrivate Stockオーダーをはじめ、自身の経験を活かし、多彩なブランド・ジャンルでの楽器開発も手がけています。