前回の【ビギナーズ倶楽部】第1回 ギターの種類 ~アコ? エレキ? ベース?~でギターというものは大きく3種類に分かれることを解説しました。今回はアコースティックギターについてもう少し詳しくお話したいと思います。
前回の内容で「例外」と言っていた部分にもしっかり触れていきますよ~
アコースティックギターもさらに3種類に大別
前回アコースティックギターを大きく以下のように定義しました。
- 電気信号で増幅しないギターである。
- 弦は6本。スチール弦かナイロン弦。
- ボディ(胴体)は生音が大きく鳴る為、空洞である。
そのアコースティックギターはさらに3種類に分けられます。
- フォークギター
- エレアコギター
- クラシックギター
の3種です。それぞれ順に見て行きましょう。
と、その前に、ギターの各部の名称をチェックしておきます。

これらの名称は「基本中の基本」なので、ここで頭に叩き込んじゃいましょう。
フォークギター

フォークギターとは、スチール弦を張ったアコースティックギターのこと。主にボディのトップがフラットなものを指します。(ボディトップが湾曲した、アーチドトップ構造のアコギは「ピックギター」と呼ばれます。これは今回の最後に少し触れます。)
弦はスチール弦を張っている事が特徴ではありますが、ひとえに「スチール弦」といっても実はいろいろあります。ちょっとこの画像を見てみてください。(ちなみにギターは細い方から太い方に向かって「1~6」と番号が振られます。画像右側の細い弦が「1弦」です。)

1弦、2弦はスチール、すなわち鉄の弦が張ってありますが、3~6弦は色も違うし、横に線が入っていますよね?
これは1、2弦のようなスチールの芯線に銅の細い線が巻かれたもの。「巻き弦」と言います。
「あれ? スチールじゃないの?」って思いますよね? そうなんです。フォークギターの弦は1、2弦と3~6弦の芯線がスチール、3~6弦の巻いてあるのは胴という混合なのです。

こんな感じです。(これはD’Addarioという有名弦メーカーのパッケージ写真。エレキギターのパッケージですがそこはご容赦ください。構造は一緒なので。)
ちなみに英語では“Steel String Acoustic Guitar”と呼ばれる事が多いみたいです。(Folk Guitarでも通じるようです。)
なぜ「フォーク」ギターなのか?
1960~70年代、「フォークミュージック」というものが流行りました。
↓日本フォークソングのヒット曲、かぐや姫の「神田川」。
このフォークソングで使われることが多かったため、スチール弦のアコギはフォークギターと呼ばれるようになりました。それから時代は流れてエレキギター全盛期が続きますが、90年代にゆずがデビューしてフォークギターが再度、脚光を浴びます。
そのくらいからでしょうね。「アコースティックギター」という言葉はフォークギター(スチール弦のアコギ)の意味を持つようになりました。
しかし正しくはアコギは「生のギター」「電気で増幅しないギター」の総称だという事は知っておいて下さいね。
ドレッドノート・タイプ
フォークギターには大きく5つの代表的なシェイプがあります。現在世の中にあるフォークギターのほとんどはその5つのシェイプを基にしていると言っても過言ではありません。その代表的なシェイプ5つは覚えてしまいましょう。
まずはドレッドノート・タイプ。

マーチン(Martin、C.F.Martin & Co., Inc.)社が1916年に開発した、「ザ・フォークギター」とも言えるのがこのドレッドノート・タイプです。
ドレッドノート(Dreadnought)という名は、当時イギリス海軍が誇っていた世界最大・最強の戦艦”HMS ドレッドノート号”にちなんで付けられました。(このドレッドノート・タイプが開発されるまでは、小さなボディの「パーラー・ギター」というものが一般的だったので、大きい=強い→戦艦という発想になったのでしょう。)
ちなみに画像はドレッドノートの中でもさらに王道、D-28というモデル。1931年に発表され、フォークの流行で世の中にあっという間に広がった、今では定番、憧れ、すべての賞賛を一手に占めてしまうほどのモデルです。
指弾きからピック弾きまでマルチにこなすシェイプですが、後述の000に比べれば、どちらかというとピックで弾くイメージの方が強い気がします。
どちらにせよ比較的大きなボディなので低音の鳴りが良く、音量もけっこう大きいのが特徴です。
000タイプ(トリプル・オー)

こちらもマーチン社がオリジナルのタイプ。ドレッドノートよりも小ぶりで、くびれが深いのでギターの位置が低くなり、ボディもドレッドノートより薄いため抱えやすいモデル。
「0」の名前がついたモデルはマーチン社には4つ。「0」「00」「000」「0000」。0が1個増えるにしたがってボディは少しずつ大きくなります。まず最初にマーチン社が作ったボディタイプが00。その後それよりも小さい0が生まれ、さらに「オーディトリアム」(公会堂)という別名を持つ000が生まれます。それからドレッドノートが発表されるまではもっともボディの大きなギターで、マルチに活躍していました。
そのマルチっぷりはクラプトンのUnpluggedを見てもらうと分かると思います。
ラウンドショルダー・タイプ
フォークギターの二台巨頭、をマーチンと共に担うのがギブソン(Gibson)。そのギブソンで1942年に発売されてから生産され続けているモデルこそがこのJ-45です。

マーチンのD-28が1931年に発表され、それに対抗して1934年頃から作られたのが「J」の名を持つシリーズ。(それ以前にギブソンはSJ-200という、「Super Jumbo」の名を持つギターを発売していましたがマーチンのDの大きさがヒットしたので同サイズで対抗したのだと思います) ちなみにJ-45というのは「定価$45のJumboボディ」という意味。Jのシリーズの中で、いや、ギブソンの中でもっともヒットしたモデルでしょう。
ボディの肩の部分がなで肩になっていますね? これが「ラウンド」(丸まった)「ショルダー」(肩)という名前の由来です。
指弾きでしなやかに、ピックでガツガツ、いろんなスタイルに対応できる名器です。
スクエアショルダー・タイプ
さきほどラウンドショルダーに触れたので、もうお分かりですね。そう、肩がスクエア(四角)になっているタイプです。

このモデルはハミング・バード(Humming Bird)というギブソンから発売されているモデル。最初に発表されたのは1960年。ラウンドショルダーよりかなり後になってからですね。これもボディが大きめなので、ピックでかき鳴らしながら歌うスタイルに使用されることが多いです。
ジャンボ・タイプ
J-45のJはジャンボのJと言っておきながら何ですが、J-45やドレッドノートよりも大きなジャンボタイプと呼ばれるタイプがあります。

見るからに大きいですよね。(サイズ感分かりづらいかも…) 画像はギブソンが1937年に発表したJ-200というモデル。エルヴィス・プレスリーが使用したことで世の中に広く知れ渡ったものです。
※発売当時はSJ-200(スーパージャンボ)というモデル名でした。
やはりボディが非常に大きいのでピックでガッツリ弾くスタイルにマッチしやすいです。
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エレアコギター
エレアコギターとは、エレクトリック・アコースティックギター(Electric Acoustic Guitar)の略。…あれ? アコギは「電気信号で増幅しないギターである。」と定義しましたよね? そうです、これが例外パターンなのです。

エレアコギター(エレアコ)というのは、アコギの音をアコギの音らしいまま、電気信号で増幅するギターです。
エレキギターではアコギの音は基本的にしません。エレキギターらしい音がします。
こんなカンジで、クリーンな音もアコギのそれではないですよね。
しかしエレアコだったら…
アコギの音がします。こういった違いが出るワケです。
プリアンプ
エレアコにはこういったものが付いていることが多いです。

これはプリアンプと言って、簡単に言えばギターの音質を調整するもの。
しかしエレアコだからといってこのプリアンプがすべて載っているわけではないのでご注意を。エレアコかどうかの見分け方は…

こういった「ジャック」と呼ばれる、シールド・ケーブルのプラグを挿す部分があるかどうか。これで見分けが付きます。
エレアコを使う理由
エレアコを使う理由の大半は以下の3つかと思います。
- バンドと一緒に演奏する(一人でもステージで大音量で演奏する)
- レコーディングする
- タッピング*主体の演奏がしたい
(*)タッピング=指板の上の弦を叩いたり(ハンマリング)、引っ掛けながら離したり(プリング)して演奏する方法。この方の演奏が非常に分かりやすいと思います。
エレアコのタイプ -Ovation(オベーション)-
エレアコは「こういった形がエレアコである」というものが存在しません。通常のノーマルなアコギにピックアップと言われるマイクを載せてしまえばエレアコに変身します。もちろん、最初からピックアップが載ったエレアコも販売されています。
ということで、ここでは代表的なエレアコメーカーとその特徴的な形を見てみます。まずはOvationから。

お!? いきなりアコギらしくないですね! これはOvationの中でも「エリート・シリーズ」というもの。サウンドホールがボディの真ん中ではなく両肩に移動しています。エレアコなのでステージで大音量で弾くとハウリング*が起きてしまいやすく、それを軽減するという目的もあるようです。
(*)ハウリング=ギターから出た音がスピーカーから出て、その音が弦を震えさせ、ボディの中で共鳴し…という音の循環が出来てしまう状態。カラオケでいきなり大音量で「フィーン!」ってなる、あれです。マイクをスピーカーと逆向きにすると鳴らなくなりますよね。
ボディ・バック(背面)の「ラウンドバック」と呼ばれる構造もOvationの特徴。このバックの材料はグラスファイバーです。
バックをラウンド形状にすることで音がサウンドホールに向かって出て行くという構想から、このような形状になっています。ハウリングにも一定の効果があるようです。
Ovationを使用しているアーティストに、Charさんが挙げられます。
ちなみにOvationにはCelebrity(セレブリティー)、Applause(アプローズ)という比較的低価格なシリーズもあります。
エレアコのタイプ -K.Yairi(ケー・ヤイリ)-
エレアコのみならず。日本で製作されるクオリティの高いギターとして世界に名を馳せるK.Yairi。岐阜県可児市の「ヤイリギター」で職人の手によって作り上げられます。アーティストでもK.Yairiを愛用する方は多数。

これはもうサウンドホール自体ありません! エレアコもここま来れば「エレアコとしてしか考えていない」モデルになるでしょう。何せハウリングが起きづらいですから。生鳴りは度外視です。
ポール・マッカートニーが愛用していることでも知られている、YD-88というモデルです。
エレアコのタイプ -Takamine-
Takamineもヤイリギターと同じように岐阜県で製作されるギターメーカー。Takamineはエレアコとして人気がありますが、プリアンプにも特徴のあるメーカーです。

プリアンプの「特徴」という点でTakamineが有名なものは、「真空管」が入っているタイプ。

真空管というのは電気信号を増幅するもの。エレキギターのアンプなどによく使われています。これが入っていることによって「豊かでナチュラルなサウンド」が得られるのです。
Takamineといえばすぐに思い浮かぶのはこの方。長渕剛さん。
他にも、押尾コータローさんやGLAYのHISASHIさんなど、たくさんのアーティストが使っています。
クラシックギター
クラシックギターはこれまでのアコギとは別物です。これまでのアコギは弦がスチールだったのに対して、クラシックギターはナイロン弦が主流です。

ギターの歴史はクラシックギターから始まったと言えるでしょう。中央アジアで生まれた弦楽器がヨーロッパに伝わり、ギターの祖先と言われる「リュート」になりました。そのリュートからクラシック音楽で使用されるクラシックギターに発展していったのです。(だいぶ端折っています…)
クラシックギターが生まれた当時はガット(Got=羊の腸を細くして糸状にしたもの)を使用していたため、ガットギターと呼ばれることもあります。テニスのラケットに張るガットは同じ意味です。そのガットも今はナイロン製がほとんどのようですが…
そしてクラシックギターは世界へ拡散し、アメリカに渡った後には弦がスチール(鉄)製となって発展。フォークギターが誕生していくのです。
クラシックギターが使われるジャンル -クラシック-
クラシックギターはスペイン製か日本製の楽器に人気があります。低価格のものは東南アジアや中国でも作られていますが、高級なもののほとんどはスペイン製か日本製でしょう。(他にも存在しないことはないと思いますが…)
という事でクラシックギターはどういったジャンルでどの様に使用されるかをご紹介していきましょう。まずは「クラシックギター」だけにやはりクラシック。
クラシックではこれまでのフォークギターやエレアコのように右足に乗せる、ストラップで吊る、といったことはせず左足に乗せて演奏します。そのため左足を高く持ち上げるための足台も必要不可欠。
クラシックギターが使われるジャンル -フラメンコ-
クラシックギターの生まれ故郷とも言えるスペインのフラメンコではやはりクラシックギターが使われます。
※厳密に言うとフラメンコでは音の立ち上がりがよく、あえてサスティン(音の伸び)が少ない材で作られた「フラメンコギター」というものを使用しますが、構造はクラシックギターのそれなので、このカテゴリーに含めたいと思います。
フラメンコでは奏法が激しいためボディトップに「ゴルペ板」と呼ばれる透明や白の板が貼られる事が多いです。ボディトップも厚めで、叩くような奏法にも耐えうる構造になっています。
クラシックギターが使われるジャンル -ボサノバ/ボサノヴァ-
ジャズやサンバの要素から、ブラジルで生まれた音楽。「ジャズの一種」「サンバの一種」などいろいろな説がありますが、「ボサノバはボサノバだ」といえるほど現在では一ジャンルとして確立されていると思います。基本的にはクラシックギターを指で奏でます。
クラシックギターが使われるジャンル -演歌-
古賀政男さんの曲をクラシックギターで演奏することが1950年代に流行したそうです。古賀政男さんは演歌、歌謡曲の作曲家でもあり、ギタリストで、そこから演歌をクラシックギターで弾くというスタイルが定着したんですね。
クラシックギターが使われるジャンル -ポップス/ロック-
ポップスや、ロックでもクラシックギターは使われます。曲を通してクラシックギターで伴奏したり、ナイロン弦のやさしい音色をアクセントとして使う場合など、いろんな使われ方があります。
おや? ここで疑問。布袋さんが使っているクラシックギター、こんなに大きなライブ会場なのにマイクで拾っている様子がありません。
これは「エレガットギター」(エレクトリック・ガット・ギター/Electric Got Guitar)と呼ばれ、クラシックギターにピックアップマイクを取り付けてあるものです。
まとめ
「アコギ」と一口に言ってもいろいろ種類があり、いろんな音楽で使用されることが分かってきましたね。
何よりも「アコギ=スチール弦のギター」ではないことに驚かれた方もいるかもしれません。今はそのように認識されていることが多いですし。本当の意味を知っていても「アコギ=スチール弦のギター」という意味で話すことが私も多々あるワケですが、やはり事実を知っていることは重要なのでココに書かせて頂きました。ぜひ知っておいて下さい。
というわけでビギナーズ倶楽部、第二回「アコースティックギターを知る」でした! みなさん、自分がやってみたい音楽やギターは絞れそうですか? アコギだけじゃ不安ですか?
そんな方は次回の「エレキギターを知る」をお楽しみにー!!
おまけ
フォークギターのところで少し触れた「ピックギター」ですが、フォークギターはトップが平らな「フラットトップ」であるのに対してボディトップが湾曲して盛り上がっている「アーチドトップ」「アーチトップ」のギターのことをピックギターと呼びます。
ギブソンは1920~30年代、アーチトップ・ギターのメーカーとして名を馳せていました。その時に生産されたのがL-5。

現在のGibson Custom Shopでは1934 L-5がラインナップされています。その独特な響きはフラットトップのアコギとは全く違います。
日本が誇るブルーズバンド「憂歌団」です。そう。L-5は生まれた時代的にもブルーズでよく使われることが多いんです。ジャズとか。














